ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
惑星S7静止軌道。
工廠艦ヤズマを中心とした《袰月》使節艦隊の錨泊宙域のちょうど反対側に、白頭鷲主義連合の要塞級重軍事ステーションがあった。
本来は植民惑星を防衛する星系軍の重要拠点である。だが、今は連合中央軍から派遣された部隊が乗り込み、強引に指揮権を掌握していた。イーストン大佐の意向を最優先に動かされている。
そしてイースデイル一機につき、連合最新鋭のアロウヘッドであるSA-22"クロムカイル"が二機随伴する、三機編成の五個小隊で構成されている。
クロムカイルは、つい最近ソフトウェアのアップデートが入り、大幅に性能が向上していた。
この"奇跡"は連合の技術力が《袰月》に劣っていないという自信を大いに与えるものであった――《袰月》に送り込まれたスパイ、クリスティ・サンダーランドは退職に併せて支給されたクロムカイルを返却。そのデータをもとに施されたアップデートである。
タイトなホットパンツのボトムスが特徴的な
傲慢さとの際どい境界線にある気高さは、無防備な裸でも失われることがない。
生脚を露出する軍服。
瑞々しい肉体の曲線をむき出しにするぴったりとしたパイロットスーツ。
そのどちらも、部隊のアイドル性も考慮してデザインされたものだった。
連合の価値観からすれば、非常に過激な衣装だ。性的な面を強調しており、それを身に着ける隊員たちも超古典的な美意識に沿って選抜されたかのように華やか。
本格的なデビューの際にはイースデイルの性能と、それを操るパトリシアたちの鮮烈な姿が全銀河に衝撃を与えるはずだった。しかし、《袰月》の次元兵装搭載型アロウヘッドと、さらに刺激的なナノシェルスーツが先に話題を掻っ攫ってしまった。
厚さ0.01mmの密着型
パトリシアの周囲では、イースデイルの搭乗者に選ばれた部隊の中核メンバーが着替えている。
「上の連中はいつ命令を出すと思う?」
ダークブルネットのショートヘアに健康的な肉体美のアストリドが、一緒に着替えている仲間たちに誰となく聞いた。
「そんな予測に意味なんてあるのかしら? それよりも、いつ命令が来てもいいようにコンディションを整えておきなさい」
パトリシアは厳しく嗜める口調でアストリドに言った。常に自分に対しても、他人に対しても厳しく接するのが兵士としてのパトリシアだ。
既にスキンタイトなパイロットスーツを首元まで引っ張り上げて着装していた。
リストバンドモニターをタッチしてコンディションチェックに入っている。パトリシアは部隊の誰よりも着替えるのが早く、戦う支度を完璧に整えているのが常だった。
「ちぇ、ツレないな。一番闘りたいのはパトリシアだろうによ」
記念式典の後のパーティーで《袰月》の長距離打撃戦隊、その小隊の一つと交流してから、アストリドは対決を心待ちにしていた。
ただしそれは、パトリシアのように自らの誇りや存在意義をかけたものではない、スポーツやゲームの対戦のような感覚だった。
「なっレインリィはどう思う? こういう予測得意だろ?」
「わたしもパトリシアに賛成」
アストリドはめげずに金髪碧眼でメガネをかけたショートボブの少女に聞くが、つれない返答される。
レインリィと呼ばれた少女はスラリとしたモデルのような肢体の持ち主だ。クールビューティーといえる美貌。
レインリィはパイロットスーツを着て、減圧スイッチを入れて内部を真空状態にしたところだ。ショートボブの髪が放出された空気に揺れ、密着したボディスーツがスレンダーな肉体美をくっきり浮き立たせる。
パイロットスーツはおヘソの窪みや腹筋、お尻のラインこそ浮き出るが胸の先端や局部の凹凸は出ない造り。
「そんなことより、早く着替えないと風邪引くよ」
「急がないと置いてかれる」
「おっと、いけねえ」
レインリィとメルニアに促され、アストリドはパイロットスーツをロッカーから取りだした。軍服を脱いでからずっと生まれたままの姿だった。
解放的な連合人らしく、局部を隠そうともしていない。
両親に反発して軍の最前線を志望したアストリドの肉体は、鍛錬に次ぐ鍛錬で鍛え抜かれた筋肉質だ。
アストリドは肉体を素早くスーツに滑り込ませ、スイッチを入れて装着する。カラダが引き締められると、力と自信が湧き上がってきた。
「これもまた一つの楽しみ、ということにしておきましょう」
タイタンパイロット最後の一人、シュトリがアストリドに優しく言葉をかける。
パトリシアを含め、年下の部隊員たちを見守るように静かに立つシュトリはタイタンパイロットのなかで、成人している唯一の女性だった。
褐色肌の美人で、黒銀色の髪は女性らしい艶に溢れている。母性を強く感じさせる豊満な胸部に、落ち着いた物腰。シュトリはパトリシアの副官であり、部隊の精神的な支柱だった。
シュトリの視線はアストリドからパトリシアに移った。視線を交わすと、金髪の美少女の怜悧な表情が微かに和らげた。
「そういうこと。さっ行くわよ。まずはライバルに力を見せてあげましょう」
更衣室全体を見渡し、クロムカイルのアロウライダーたちの準備が完了したことも確かめ、部下を率いてパトリシアは格納庫に歩き出す。
部下の戦意を高めるための発言だったが、パトリシア自身も高揚を感じていた。脳裡には、ミエリ・ライオネルの姿を思い浮かべている。
◆ ◆ ◆
超音速で大気を震わせ、四機のアロウヘッドが荒野を突き進む。
外見的には三機と一機の戦闘機で編成された小隊に見えた。
金髪ロングヘアの模範的ギャルJK、ハレがテストする白と赤の二色に塗装されたアロウヘッドは、《袰月》初の可変機として導入を目指しているパラディンのカスタムモデルだった。
その変形機構には、オルランド星系王国より提供されたデルタセイバーのデータが用いられており、《袰月》とオルランド星系王国の深い友好関係を示していた。
ククリス機はダークグリーンの超重装甲型パラディンタイプ。
標準的なパラディンに外装を被せる形になっており、緊急時にはパージも可能。右腕にロングバレルバスターキャノン、左腕に大型防盾を手にしたその姿は重装騎士。
運動性は低下しているが、装甲と一緒に追加した大型ブースターのおかげで推力は極めて高く、突進戦術を得意としている。仲間を守るためではなく、敵の防衛線を真っ向から打ち砕くための鎧だった。
「くっ機体が重い……!」
その総重量は標準的なアロウヘッドの三倍に迫る。神経リンクシステムを介した直感的な操縦であっても、黒髪褐色の寡黙な美少女アロウライダーを少しばかり手古摺らせていた。
「全機散開、超低空侵攻! 岩山より高く飛ぶなよ!」
『『了解っ!』』
臨時小隊長となった金髪オレ娘、ミエリ・ライオネル率いる突撃小隊は、高度一万七千メートルの高空での飛行テストから超低空侵入試験に移行したところだ。
四機のアロウヘッドは無数の岩山が形成する複雑な地形を高速で抜けて、目標地点に向かっていた。
慣性制御による機動が可能とはいえ、マッハ2以上のスピードを維持しながらノンストップで障害物だらけの地形を突破するのは危険だ。それを苦も無くやってのけることで、少女たちは素晴らしい技量を誇示した。
スリルに伴う興奮が全身を駆け抜ける。ミエリたちの熱くなったカラダから甘酸っぱい汗が滲み、ナノシェルスーツに吸収されていく。
水面下で陰謀が蠢く任務だが、本物の惑星の空の下でアロウヘッドをかっ飛ばすのはどんな時だって楽しい。
◆ ◆ ◆
攻撃目標となる仮想都市まで一直線になると、金髪碧眼のオレ娘小隊長は号令をかけた。
『全機集合、ダイヤモンドに組み直す。
再び、了解の返答が重なる。後方に位置するミエリ機はやや減速して僚機を待つ。
「一番乗りっと!」
派手なバレルロールで編隊に加わったハレ機は、その途中で人型形態に変形する。
変形にかかる時間は約0.3秒。
畳まれていた四肢が自由になり、身を起こした白と赤の機体。根本から折れた機首が胴体にシフトして、シャープなラインのバイザーに覆われた頭部が露わになる。
「ようし♪ オールグリーン、問題ナシ♪」
全方位にGをかけた直後に問題なく変形機構が動作するか試したのだ。
最後に岩山地帯を抜けたククリス機は爆発的な直線加速で遅れを取り戻し、部隊に合流した。
ミエリと同じく新型推進系に換装した、オフホワイトのゼフィリス機が編隊の先頭を司る。両手にそれぞれアサルトレールガンを把持したポイントマン・ポジションだ。
『オーディエンスの反応はどうかしら』
『上々ってところじゃないかな?』
ゼフィリスは自分たちの試験を見物しているアロウヘッドの編隊に顔を向けた。
星系軍のアロウヘッド一個中隊十二機が、ミエリ達の試験飛行に随伴している。試験データの提供は《袰月》が連合と合意した事柄だった。
機種はラムダヴァイパー、細身のシルエットの軽量なアロウヘッドだ。デルタセイバーのような主力アロウヘッドに比べる推力や攻撃性能で劣るが、優れた機動戦能力を持つ。
《袰月》のアロウヘッドとの性能差は大きく、ミエリ達のパラディンを追いかけるのに苦労していた。
市街地の敵戦力を殲滅して制圧する。超低空侵攻試験のシチュエーションは、オルランド星系王国でデルタセイバーに試乗した際と似たようなモノだ。
「気を引き締めていくぞ。
再び編隊を崩す。電撃的な速さで二機で最小戦闘単位に組み替える。
十五分の所要時間を想定していた制圧作戦であったが、ミエリ達は三分でこれを完了。超高層ビルの屋上に着地して警戒態勢に移行した。
次のテストの開始時刻まで、束の間の休息となる。
「んぅ――――」
ミエリは筋肉を帯びながらも丸みがある可愛らしいお尻を浮かせ、シートに座り直す。
圧力で潰れていたお尻がカタチを取り戻し――すぐにまた座席に押し付けられて官能的に変形する。
ついでにミエリはホップアップした通知を確認。灰音たちは無事にヤズマに着艦したとのことで安心した。
ゼフィリスは軽くストレッチ。
ハレは大きく伸びをしてリラックス。
ククリスは失った水分を補給した。
ナノシェルスーツはそれぞれの動作に呼応した。ラバーに似た伸縮音が幽かに響き、ミエリ達が素肌にボディペイントしているではなく、身を守る保護被膜に包まれているのだと示した。
◆ ◆ ◆
「ミッションステータスが更新された。カリンカ・ノイズ艦長の署名入りだ……見学にしちゃ道理で数が多いと思った」
金髪碧眼の小柄な小隊長は腕組みしながら、視界に突如表示された通告を読んだ。
ミエリ達の小隊はこれより都市を占拠したテロリスト役を演じ、連合の部隊と交戦する。ラムダヴァイパーの中隊は最大戦速で仮想都市に接近していた。
上層部間で事前に取り決めされた不意打ちということだ。試作機を仕上げるのが任務なのだから、実戦的なテストは望むところ。
『しかし、テロリストとは』
演習とはいえ、テロリスト扱いされることに不満気なククリスの気持ちも理解できるが。
『小隊長、対抗部隊との通信許可を貰えるかしら』
「許可する」
詳細を聞くこともなく、ミエリはゼフィリスの申し出を認める。
許可を得たゼフィリスは通信回線をオンラインに。
敵部隊、ラムダヴァイパーのコクピットで通信ウィンドウが開き、赤髪ツインテの絶世の美少女の美貌が映る。高解像度のバストアップなので、重力に抗うように突き出た
『こちらテロリスト――――どうぞ、お手柔らかに』
それに気付いていながらも、ゼフィリスは情熱的な眼差しと微笑みを送って対戦相手を魅了するのだった。