ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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雷鳴鳴り響くデクラレイション・オブ・ウォー

「さっきと同じ最小戦闘単位(エレメント)でいく。数は向こうのほうが上だ、集中砲火に気を付けろ!」

 

『もちろん、まっかせて!』

 

『ミエリのためにも全力でいきます』

 

『ご命令のままに。行きます!』

 

 ハレ、ククリス、ゼフィリスの返事は勇ましく凛々しい。

 

 操縦桿を強く握り、フットペダルを踏み込んだ。ビル屋上に着地していた四機の人型機動兵器が一気に離陸。垂直上昇のGが全身にかかる。

 

 視界に敵影を見据えると、少女たちのナノシェルスーツの包まれたカラダが、興奮で昂った。

 

 ミエリが率いる突撃小隊は、予想にまったく反する動きをして敵を攪乱した。

 十二機のラムダヴァイパーに対して、たった四機の小隊だというのに、ゲリラ戦に向いた市街地に隠れず、空中戦を挑んだのである。

 

 機動性が試される空中戦のほうが性能テストになる。それが臨時小隊長ミエリの判断だった。それに市街地を利用するのは性に合わない。

 

 

 戦力劣勢な突撃小隊はビル群に隠れ潜みながら狙撃戦を展開する。

 その前提で対地攻撃態勢を取っていた連合の部隊は、大いに面食らったようで金髪オレ娘は、思わず得意気な表情に。

 

「まずは先を取った!」

 

 ミエリはトリガを押し込み、チャージしていたバスターキャノンを発射。

 続いて赤髪ツインテのパラディンFXが時間差でバスター砲撃。拡張現実として表示された仮想の集束エネルギービームが、ラムダヴァイパーの編隊を崩す。

 

 ミエリは確かな手応えを感じた。一機撃墜判定。さらに、ゼフィリス機の砲撃で二機が中破している。

 

 相手もただの案山子ではない。

 一線級とはいえない星系軍であっても一流の訓練を受けている。生き残りのラムダヴァイパーは二手に分かれ、すぐさま反撃に転じようとしていた。

 

 

『アタシ達も頑張ろうね、ククリス♪』

 

 白赤ツートンと深緑色の二機が吶喊し、ミエリとゼフィリスを狙った攻撃を妨げる。

 

 ハレは飛び立つと同時に戦闘機(ファイター)形態に変形していた。

 高度を取ってから反転。太陽を背にして動力降下(パワーダイブ)――ミサイルを乱射。

 同時に軽くチャージしていたバスターキャノンの牽制射撃も行い、相手の回避選択肢の一つを削っている。

 

「おっラッキー」

 

 牽制のつもりだったバスター砲撃だが、迂闊に射線に入った一機に当たり、撃墜判定を食らわせた。

 

 ハレが上空から攻撃を仕掛けたのと対照的だ。ククリスは低空から突き上げるように猛加速している。まっしぐらに突っ込むダークグリーンの重装機。その威圧感と存在感は、攻撃を集中させるのに十分だった。

 

「その程度の攻撃で!」

 

 被弾によって揺れるコクピットで力強く踏ん張り、敵を見据える黒髪褐色JK。

 防御力特化とはいえ、対艦クラスのバスターキャノンや艦砲射撃を食らえば一たまりもない。これが重装甲機の辛いところだが、アサルトレールガンの砲弾くらいなら弾き返せる。

 

 回避運動を交えて敵のバスターキャノンから逃れつつ、背面ウェポンラックの拡散レーザーキャノンを照射。隙間なく展開される弾幕。

 

 主に防御力の低い航宙機、攻撃端末、誘導弾を撃ち落とすための兵装だ。

 アロウヘッドを一撃で撃墜するほどの威力はないが、無視できるほどダメージが軽微なわけでもない。連続被弾による撃墜や破損を避けるため、ラムダヴァイパーはレーザー弾幕から逃げざるを得なかった。

 

 ククリスは打つ手のないラムダヴァイパーを勇猛果敢に攻め立て、撃墜していく。重装甲のパラディンは両手にそれぞれ持った光子ガトリングガンを乱れ撃っている。突撃時の使用を想定した武装だ。

 

 容赦なく砲撃しながらククリスは突撃し、そのまま上昇。追撃を振り切り、重装甲パラディンは緩やかに旋回する。

 

 ただちに再攻撃はしない。次にククリスとハレの編隊が攻撃するのは、ミエリたちが敵を全滅させられなかったときだ。

 

 

 フルスロットル。ミエリ・ライオネルは純白のパラディンFXを駆り立て、くすんだ白色のゼフィリス機が、技量を尽くしてミエリ機に並走する。

 

「そうこなくっちゃな!」

 

 敵部隊が放った苦し紛れのミサイルや銃撃、バスター砲撃がミエリ機とゼフィリス機に迫ってくる。危険が増したことで、アドレナリンが分泌される。

 

「くうぅぅッ!」

 

 二機のパラディンFXは跳ねるような機動。四方八方に動いて躱す。パラディンFXは推力だけでなく、運動性も桁違い――慣性制御のキレが別次元だ。

 

『はぁ……んぅ!』

『く……っ!』

 

 二人が高機動の最中に漏らす吐息はどこか艶っぽい。

 ナノシェルスーツに保護された肉体がシェイクされる感覚。そんな苦痛を味わいながらも、ミエリは強気な笑みを湛えていた。

 

 連合のアロウライダーが狼狽えているのが肌で感じられたが、これでもミエリとゼフィリスのマニューバーは抑え目なほうだ。

 

 ミエリは僚機(ゼフィリス)と目標が重ならないよう敵機をロック。敵編隊と一瞬の交差。副砲アサルトレールガンによる射撃。全機撃墜。

 

 

 アサルトレールガンのマガジン一つを撃ちきるだけで、敵を全滅させた。連合の部隊には悪いが、市街地の防衛兵器を片付けるより簡単だった。

 

 対抗部隊となったラムダヴァイパーのライダー達は、かなりのショックを受けていた。高性能といえど通常型のアロウヘッド相手に、三倍の戦力をもってしても勝てなかったのだから。

 

 戦闘ログを見ただけの者は、彼我の兵器の性能差という形で納得するかもしれない。だが、当事者である連合のアロウライダーたちは技量の差を痛感せざるを得ず、退却する十二機のアロウヘッドは、気落ちしたオーラを滲ませていた。

 

 

『いやー圧勝でしたな~♪』

『素晴らしい采配でした』

 

 ハレ、ククリスの両名に褒められ、ミエリはひと安心だった。

 

 本来の小隊長である金髪ロングヘアの模範的ギャルは、陽気だがアロウライダーとしては厳しい目線を持ち合わせているのだ。

 

五機撃墜(エース・イン・ア・デイ)。お見事』

 

 呼吸を整えたゼフィリスが褒めてくれた。個人撃墜数スコアは五機撃墜のミエリがトップだった。

 

「優秀な部下たちのおかげだよ」

 

 三人とも本当に上手く動いてくれた。ミエリは臨時小隊長を任され、優秀な副官や仲間の有難さを噛み締めていた。

 

『あとで灰音たちにも見せてあげましょう。きっと喜びます』

 

 茶髪の女博士ノイミ・ローレンを乗せてヤズマに上がった灰音たち三姉妹は、次元兵装搭載型アロウヘッドのテスト担当だ。もちろん指揮するのはグリムナイア博士である。

 

 保険でもあった。斧槍兵部隊(ハルバーディア)のイースデイルは、次元兵装を搭載したタイタンだ。同じ次元兵装搭載型の機動兵器を出せるようしておくに越したことはない。

 

「今日の任務はこれで半分終わりだ。帰投するぞ」

『『了解!』』

 

 純白のパラディンFXは、三機のアロウヘッドを引き連れ基地に帰還する。ミエリの言った残り半分は、デブリーフィングやレポートの作成だ。

 

◆ ◆ ◆

 

 突撃小隊は、近隣の試験空域から帰投中の試作小隊と合流した。

 殲滅小隊と不良小隊は先に基地に戻っている。ゼラ先生もいるので喧嘩するようなことはないだろう。多分。

 

 逆に妖精小隊は基地から離れており、その周囲に近衛騎士団のアロウヘッドが付き従っている。久遠たちはナノシェルスーツから巫女装束に着替え、S7の繁栄を祈ったり、インタビューに答えたりと兵士以外のお仕事に臨むのだ。

 

『お疲れ様です、ミエリ。第一日目は無事に終われそうですわね』

 

 アナスタシアからの通信。幼い体は狭苦しい専用機のモノではなく、一般的なアロウヘッドのコクピットに収まっているので、快適そうだ。しかし、アロウヘッドを駆ったため、銀髪縦ロールの少女の肉体は汗だくになっていた。

 

 アナスタシアを筆頭に透き通るような美貌の少女が揃った試作小隊。

 だが、金髪ツインテールのイリシアも、妖艶で危険な黒髪シニヨンのリーゼも、忠実で献身的な白髪メイドのノエッタも。

 今この瞬間はナノシェルスーツが張り付く裸体に甘酸っぱい汗を纏っていた。

 

 

『向こうも始めるみたい。映像共有するね』

 

 黒髪の淫魔風JK、リーゼが宇宙空間で行われている斧槍兵部隊(ハルバーディア)の公開演習の映像を視界に追加した。

 

『実弾演習か』

「危なっかしい真似をする」

 

 試作小隊のツインテイケメン女子、イリシアが興味深そうに呟いた。中々のスパルタだとミエリは思った。ライブ中継の実況で、無人標的機にも実弾が装填されているという説明があった。

 

 斧槍兵部隊(ハルバーディア)の標的となる無人兵器は、連合の旧式艦や航宙戦闘機、攻撃端末、それにアロウヘッド。廃棄処分される旧式だが、こんなもったいない真似ができるのは、超大国である白頭鷲主義連合(イーグル・ステイツ)とグズマ主義連邦くらいだ。

 

「よーし諸君。連合の最新兵器とやらの実力をありがたく拝見しようではないか!」

 

 何となく思いつきで、ミエリはゼラ先生の口調を真似てみた。

 斧槍兵部隊(ハルバーディア)の戦場は、S7の月に当たる衛星とのちょうど中間宙域だ。S7との距離は約20万㎞ほど離れていた。

 

 パトリシア・シェリンガムのタイタンが編隊を率いている。

 

 翼竜のパーソナルマークが描かれたパトリシアのイースデイルは青色に塗装されている。左右二機ずつ伴っているイースデイルや護衛機のクロムカイルは白色。

 威圧的なカラーリングを用いることが多い連合軍において、清廉で爽やかな印象を与える。

 

 ミエリは全長約40mの巨人機(タイタン)をつぶさに観察した。

 アロウヘッドに比べるとヒト型を模しているという趣が強いのがタイタンなのだが、イースデイルは優美と形容できるシルエットをしていた。それは、あくまで比較的ではあったが。

 四肢が異様に長いプロポーションやクローアーム状のマニピュレーターなど、非人間的な特徴を備えている。鮮やかなカラーリングのために、それが強調されているように思えた。

 

 バスターキャノンが主砲であることは、アロウヘッドと変わらない。左腕にはクローアームで把持できる近接防御兵器を握っている。

 

 背部には次元兵装デバイスを兼ねた慣性制御ブレードユニットが翼のように広がっている。パトリシア機のブレードユニットはより大型で、より高出力のようだ。

 

 ふと、ミエリはパーティーで出会ったパトリシアの顔を思い浮かべた。どんな表情で戦闘に臨んでいるのか気になっている。

 

 

 演習が開始された。

 斧槍兵部隊(バルバーディア)の戦い方は派手派手しく、力づくのものだった。

 

 イースデイルが敵艦隊に先制攻撃を仕掛ける。

 全長40メートル級巨人機の背面ユニット中心部から青色の高エネルギーが発生し、一気に放出された。五機の一斉射撃だ。それは雷光の嵐となって目標艦隊に襲い掛かった。

 

「さっそく見せてくれるのか」

 

 この異常現象は次元兵装による攻撃だった。青く輝く雷霆により、艦隊が展開していた子機や艦載機は壊滅した。

 イースデイルは既に敵艦隊の射程に入っているが、自律兵器群の攻撃は当てずっぽうであるか、あるいは一発も発砲することなく棒立ちで破壊されている。

 

『電子戦で攻撃を封じて一方的にか。電子戦能力も中々のモノみたいだね。これは一筋縄じゃいかないかも』

『相手は所詮旧式兵器。電子戦能力も相応です。実戦では、これほど上手く行かないでしょう。それにこちらにはリーゼがいます』

『嬉しいこと言ってくれるねー♪』

 

 ホワイトブリムがトレードマークのメイド少女、ノエッタの口調は厳しい。

 アナスタシアに仕えるノエッタは仲間に対しては献身的だが、敵に対して冷酷で苛烈な性格の持ち主だ。

 

 電子戦で敵艦隊を圧倒し続けるイースデイルは、右腕にマウントした大型バスターキャノンを構えた。既に最大チャージされている。閃光が強力な奔流となり、照射型のバスターキャノンで敵艦隊百隻ほどが纏めて殲滅された。

 

『デブリーフィングで対策会議をする必要がありますわね』

 

 斧槍兵部隊(ハルバーディア)の実力は、銀髪縦ロールの幼淑女アナスタシアを感心させていた。

 

 

 戦闘が終わっても中継は続いた。

 惑星S7の方向に向かって、五機のイースデイルが並び、その後方に護衛のクロムカイルが布陣。儀仗兵のようにバスターキャノンを構えて整然と佇む。

 

(まさか、降りて姿を見せる気か?)

 

 ミエリの予想通り、イースデイルのコクピットハッチが重々しく開いた。真っ先に降りてきたのはパトリシアだ。カメラが白と青のスキンタイトな全環境(オムニ)スーツに身を包んだ美少女を拡大表示。スーツの肩には個人識別のために乗機と同じ翼竜(ワイバーン)のエンブレムが描かれていた。

 

 映像のパトリシアとミエリの視線が偶然にも重なった。

 息を呑む金髪オレ娘。パトリシアの強い意志を感じる。胸の鼓動が高まり、操縦桿を握る手の力が微かに強くなる。

 

 他のイースデイルからもパイロットの少女たちと、若い女性が姿を見せた。

 

 裸同然にボディラインが露わになるオムニスーツを着ているので、所作の一つで微かな怯えや恐れや羞恥も丸見えになってしまう。

 パトリシアの部下たちは、負けず劣らずの堂々とした振る舞いで、開いた胸部装甲を足場に立っていた。

 

 中継映像がイースデイルを操るパイロット達のバイザー越しの顔を順番に映し出した。

 

 アストリド、レインリィ、メルニア、シュトリ。ミエリはパイロットの名前はパーティーで出会った殲滅小隊から教えてもらっていた。メルニアという色っぽく人懐っこい印象の少女はカメラに手を振っている。

 

 パトリシアの冷たく結ばれた美貌は真っすぐに惑星S7を見つめている。

 惑星の空を飛んでいるミエリ・ライエネルだけを見ているのだ。

 

 

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