ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
白頭鷲主義連合領、惑星S7での任務開始から五日が経過した。
純白のアロウヘッドに率いられた突撃小隊は基地に帰投しようとしている。
緩やかに旋回。隊長機であるミエリのパラディンFXが最初にアプローチする。視界に表示されたガイドラインに従い、ぴったりと降下コースに合わせる。
パラディンFXの機体特性はほぼ完璧に掴めていた。
ミエリはスラスターの軽い噴射による減速と慣性制御ドライブの精密制御で、コクピットへの振動をゼロにして、羽のような軽さで
『02ゼフィリス、着陸します』
続いて降りるのは赤髪ウェーブツインテの美少女艦長。情熱と気品を併せ持った妖艶な美貌のゼフィリスだ。
軌道に待機している特務巡洋艦フェンリルで指揮を執るのが本来の役職だが、アロウライダーと同じトレーニングを受けており、魅惑的な肉体の腹筋は綺麗に割れている。
オフホワイトの二番機、ゼフィリスのパラディンFXに続いて人型形態に変形したハレの可変パラディン、最後にククリスの深緑色の重装タイプが降り立った。
ミエリは操縦桿から手を放し、コンソールをタッチ。安全規定に従い、慣性制御ドライブをオフに。スラスターへの電力供給をカット。
突撃小隊の試作アロウヘッドは装甲に夕日を照り返しながら、一列になって格納庫まで歩行開始。
全長18メートルの巨大な人型、宇宙空間を駆けるのみならず、大気を切り裂き飛翔するための空力を考慮して造形されたフォルムの巨体が、地響きを立てながら行進する。
着陸地点から格納庫までは、アロウヘッドの歩幅でも距離があった。
必然、お喋りの時間になった。臨時小隊長であるミエリの視界の隅には仲間たちのバストアップ映像が表示されている。
『今日こそは来るとヤマ張ってたんだけどなー』
と金髪ロングヘアのハレ。
何の話かと言えば、
試験初日に行われた公開演習以来、パトリシア・シェリンガム率いる部隊は一般的の訓練や演習をこなしていた。
試作小隊の黒髪シニヨンの淫魔風女子高生リゼが常に警戒してくれている。
だが、
パーティーの会場で挑発してきたパトリシアがこのまま済ませるワケはない。いずれ挑んでくるはずだ。
勿論、端から手を抜くつもりはないが、
「今夜には何か動きがあるんじゃないか」
隊を先導するミエリは確信している。
今夜《袰月》の派遣部隊は基地で催しを行うことになっており、"式典参加と試験のため"に同じくS7に派遣された連合中央軍の関係者も招いていた。
突撃小隊は格納庫のゲート前に到達。ウォーヘッドの識別信号を検知してすると警告ブザーが鳴り響き、ゲートが重々しく開いていく。
脚で歩行する兵器というのは常に転倒のリスクがある。しかも、アロウヘッドは全長18メートルの巨体だ。安全のため、アロウヘッドが格納庫に出入りする際、中にいる人間はセーフラインの内側に退避するよう定められていた。
しなやかな肉体美を持つ少女たちのなかでも、とびきり鍛え上げられた筋肉を誇る長身。灰髪の不良姉御、ラヴィは地を響かせながら歩を進める純白のパラディンFXを見上げていた。
ピンク髪の女王様メティス、お嬢様風の紅黒、三下不良娘のクーリエ。不良小隊が勢揃いしてミエリ達を出迎えている。
コクピットのミエリは、ラヴィたちにラフに敬礼。
先に帰還していた他の小隊にも目を向ける。多脚の試作アロウヘッドを任された殲滅小隊の四人がキャットウォークに立っているのを見つけた。
最初は半人半砲台型の重アロウヘッドに難色を示していた深紅の髪のシルフ、エイリだがテストしているうちに、思いのほか機体を気に入ったようだ。
エイリは整備クルーと試作アロウヘッドメーカーの技術者と何やら話し込んでいる。アラヒナとレギを従え、眼鏡をかけた妹のエルザレドを隣に置きながら、自慢げに形のいい胸を張って技術者と意見を交わしている。任務にひたむきなのは、皆が認める深紅のシルフ姉様の美点だった。
今回の任務でもっとも多忙なのは間違いなく妖精小隊だ。
試験やアロウライダーとしての交流だけではなく、久遠は王族や巫女としての務めも任されている。
お目付け役の火狩をはじめ小隊メンバーには、久遠の傍に仕える役目もある。
随伴してきた近衛騎士団のシルフと共に惑星S7の各所に赴き、祈祷や神楽を舞う、あるいはインタビューにも応じるなどしていた。
ある日は試験飛行とその他の任務をこなし、その後に試験飛行。また、ある日には試験飛行に専念して一気にテスト項目を消化していた。複雑かつ過密なスケジュールでナノシェルスーツと巫女装束を頻繁に着替えている。
突撃小隊はゴールに到着。純白、赤白ツートン、深緑色、くすんだ白色。四機のアロウヘッドが所定のメンテナンスベッドに固定される。
『みんな、お疲れ様』
ゼフィリスが、女神のように美しい微笑みで小隊のメンバーを労ってくれた。
それを皮切りにミエリ、ハレ、ククリスもそれぞれ仲間を労う言葉を掛け合う。
ミエリはコクピットハッチを開いて立ち上がった。
引き締まった小柄な肢体を包む、青色被膜のナノシェルスーツが金髪オレ娘の動作に伴い、各部から微かな伸縮音を響かせ、着座で圧迫されていたミエリのお尻が凛々しい丸みを取り戻す。
アドレナリンと健康的な汗の香りを曳きながら、ミエリは軽やかにコクピットから抜け出す。
ナノシェルスーツの足部分はナノマシンが硬化して黒色のプロテクターを形成している。そのヒールがキャットウォークの床を鳴らす。
アロウヘッドから降りた長身の美少女たちの豊満なバストは、機体から降りる動作で揺れていた。全身にぴったりと密着するナノシェルスーツは、わずかな肉体の動きも露わにする。しかしながら――胸が小振りなミエリのカラダで、揺れるのは可愛いと評判の臀部くらいだ。
「お疲れさま」
「ノイミもな。ヤズマはどうだった?」
窮屈なコクピットから解放され大きく伸びをするミエリに声をかけたのは、ナノシェルスーツに白衣を羽織った茶髪の女性。白色の被膜に覆われた、若々しい肢体は魅力的だったが、戦士として鍛え込まれてはいない肉体。
ノイミ・ローレン博士は、連合の人間として《袰月》と最も深く関わる人物と言っていい。
そんな茶髪の女博士は静止軌道の工廠艦ヤズマでの次元兵装搭載型アロウヘッドの試験を終えて地上に戻っていた。
「先行ってるね〜♪」とハレが呼び掛け、突撃小隊の三人はキャットウォークを降りていく。
キャットウォークの手摺に寄りかかったミエリ。視線の先には漆黒のファイアイーターと二機のカレドヴルフが並んでいる。
長距離打撃戦隊が装備するファイアイーターの兄弟機であるカレドヴルフは、威圧感のある装甲化センサーユニットが特徴だった。
銀髪赤眼の少女たちの機体は見映えが良いように、格納庫の中心に並べられている。
S7首都にあるこの基地は、にわかに騒がしくなっていた。
その原因は灰音たちのアロウヘッドであった。連合に対して次元兵装搭載型の三機を含む試験中のアロウヘッドが公開され、アロウライダーと開発スタッフが質問に答える。それが今夜格納庫で開かれる催しなのだ。
灰音たちは今日の昼頃、宇宙空間での試験を完了して降りてきたばかりだ。ノイミだけでなくグリムナイア博士も同伴している。
専用の黒紫被膜のナノシェルスーツを纏った銀髪赤眼の三姉妹はグリムナイア博士と一緒に漆黒のアロウヘッドの足元にいた。今夜のリハーサルとして質疑応答の練習をしている。
碧髪のグリムナイア博士は相変わらずショートパンツに白衣姿だ。"安全のため"ナノシェルスーツ装着を強要する連合のことなど歯牙にもかけない。
キャットウォークから虚来三姉妹のひたむきな様子を見守るミエリ。ベルカは淑やかな態度で質問役のグリムナイア博士に応対していた。
「あの娘たちのこと、心配してないみたいね」
「ベルカは社交的だし、グリムナイア博士が変なことを言ったときのストッパーを期待してるくらいだ」
ミエリを含め、戦隊員は揃ってテストライダーとして催しに出席する。
質疑応答などの練習は前日までに済ませてある。最終確認をしたりシャワーを浴びて身だしなみを整え、本番に備えるだけだ。
二日間の休暇に入る前の最後の仕事だ。
ミエリはこの催しに、パトリシアが来るのを期待していた。
◆ ◆ ◆
ミエリの期待通り、パトリシア・シェリンガムは格納庫に姿を見せた。
パーティーで会ったときと変わらず、背筋を伸ばし、傲慢なまでに凛々しく堂々とした立ち振舞い。ホットパンツで肉感的な太股が眩しい軍服姿であった。
今夜は先陣を切るのではなく、上官に追随していた。
パトリシアはイーストン大佐と、イースデイルの開発者であるジド技術大尉の後に続いている。
質疑応答の時間がやってきたが、パトリシアは大人しくしていた。銀髪赤眼の三姉妹や碧髪の少女博士に質問をぶつけるのは、イーストン大佐と、イースデイルの開発者であるジドレ技術大尉の二人だ。
黙っているのはパトリシアにとっても不本意であったようだ。抜け目なく、イーストン大佐の隙を見計らい動いていた。
次元兵装搭載型アロウヘッドに関する質疑応答が終わると、イーストン大佐は、長距離打撃戦隊の隊長であるゼラ先生に声をかけ、あれやこれやと言質を取ろうと躍起になっていた。
小娘にしか見えないゼラ先生が、貴族らしい抜け目のなさで持ち掛ける話を躱すものだからイーストン大佐はヒートアップしていた。
周りが見えなくなっている大佐殿の目を盗み、パトリシアはパラディンFXの足元に立つミエリの元にやってきた。
通常型のアロウヘッドとはいえ、《袰月》の最新鋭機。五日間のテストと模擬戦で連合に驚異的な性能を知らしめているパラディンFXの注目度は高く、突撃小隊も質問攻めに会っていたが、パトリシアは上手く機会を見つけていた。
「公開されたのが貴女のファイアイーターではなくて残念」
「そりゃどうも」
パトリシアは身長差を活かして、ミエリを見下ろしながら言った。本気で残念がっているようだ。
両手を腰に当てて可愛らしい胸を張ったポーズで受けて立つミエリ。ナノシェルスーツに引き締められた全身に気合が漲っていた。
そんな金髪碧眼のオレ娘に対して、パトリシアは要件を切り出してきた。単刀直入であった。
「私の部下が是非貴女と話したいって言っているの。明日、車で迎えに来るわ。当然、この誘いを受けてくれるわよね?」
なんて言うものだから、ミエリは明日の予定を変えざるを得なくなった。