ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
「昼飯、まだなんだろ?」
「そうだけど、奢ってくれるのか」
「勿論! あんたはスペシャルゲストだからな!」
ミエリがシートベルトを締めていると、ダークブルネットの髪のアストリドが訊いてきた。
格闘技をやっていると、一目で判る健康的な体付きの少女だ。ミエリが肯定すると、続いて苦手な物は無いか、肉は好きかなど質問された。
「よーし。なら、予定通りアタシが選んだ店でいいな! 出してくれ!」
「了解」
ハンドルを預かる褐色美人、シュトリが頷き、アクセルを踏んだ。
四輪駆動特有の蹴り出すような加速で走り始める。
「もうリサーチ済みだと思うけど、自己紹介させて。レインリィ、よろしく」
「わたしはメルニア。メルって呼んでくれたら嬉しいな」
静かに名乗るレインリィは金髪ショートボブにメガネで理知的な印象を与える。
ストロベリーブロンドの長い髪に白い肌のメルニアは随一の華やかさを持っており、積極的だった。
気難しい殲滅小隊の紅シルフとも打ち解けられるような四人組だから、ミエリは警戒することなく接していた。実際、話してみればすぐに意気投合。お互い、
「ちょっとゴメンね」
「いつでも忙しいなメルは」
一言断り、メルニアは制服のポケットから携帯端末を取り出した。
それを見たアストリドが一言。
「これもお仕事の内だよ。それに将来への投資でもあるし」
メルニアはSNSの更新を始めようとカメラを起動。この場の動画を撮ろうとする。
いわゆるインフルエンサーであるメルニアは、部隊のカジュアルな広報活動を担当しており、自分のアカウントでプライベートでの過激なファッションを披露している。
すらりとした高い身長に連合の女性愛者好みの豊かなバストとヒップ。メルニアはビジュアルの良さをフルに活かすタイプだった。
メルニアが披露しているファッションは、それに負けないくらいに過激だった。
透け感なら素肌が見えている分、メルニアに分があるというほど。
意外とナノシェルスーツで外出しても不自然じゃないんだろうか。そんな錯覚に陥ってしまいそうだった。
連合では、こうした色気や外見を推し出したスタンスは、一定の強い反発や批判がある。
それでもメルニアはこのスタイルを貫き、人気を獲得していた。
なぜミエリが詳しいかと言えば。
情報収集の一環として、メルニアのSNSもチェックしていたからだ。
《袰月》の防諜機関である保安局との掛け持ちということもあり、ブリーフィングの司会進行は試作小隊のリーゼが務めた。あの黒髪シニヨンの淫魔が美少女のアカウントを見逃すはずがないのである。
「ミエリにも一緒に映って欲しいんだけど、OKかな?」
「構わないぜ」
「よーし。それじゃ最高のスマイルでお願い!」
ミエリは承諾。アストリドは陽気に、レインリィも無愛想ながらカメラのほうを向く。余所ウケを意識した表情と雰囲気を上手く作っている。
メルニア達の手慣れた感じに、ミエリも後れを取らないように合わせた。
金髪のオレ娘は気品のあるお嬢さんという調子でにこやかに微笑み、カメラに手を振る。
メルニアは数十秒ほどの動画を録り、大袈裟なほど陽気なトーンでお喋り。ミエリの事を「《袰月》の友人で歴戦の勇士、ミエリ・ライオネル」と紹介してくれた。
メルニアがミエリのことを語る際には、能天気なトーンの中に真剣な敬意を滲ませていた。
明るく軽妙だが、軽薄さは無い。物事に対して真摯に取り組める性格の持ち主だった。
(目の前でそう呼ばれると、こそばゆいなぁ)
一方、ミエリはそんなことを思った。小柄ながら強気な金髪オレ娘は、ホットパンツに覆われたお尻を少しばかりもじもじさせている。
「これで大佐からの大目玉は確定」
ごく短時間の撮影が終わると、レインリィは静かに言った。
憂鬱な調子はなく、ただ想定される出来事を述べている。
昨日のパトリシアの様子だと、
「良いのか、そんな独断専行しちゃって?」
「戦果持って帰れば大丈夫」
口を揃えてミエリの心配に答えるアストリド、レインリィ、メルニアの三人娘であった。
冷戦沈着そうなレインリィも、こういう所は連合らしい気質だった。ちらりと様子を窺えば、運転席のシュトリは苦笑している。
「それよりさ、ミエリ。友情の印にわたしもそのスーツを着てみたいな。フィット機能があるんでしょ? 勿論、お礼はさせてもらうわ!」
メルニアはナノシェルスーツに興味津々なようで、身を乗り出しながら持ち掛けてきた。
以前はオルランド星系王国の士官候補生、今回は連合の技術者団にナノシェルスーツが貸与されているが、それは情報漏洩対策と厳正な管理あってのこと。
そもそもだ。建前上は安全のためということでナノシェルスーツを装着しているわけで。
脱いでしまえば本末転倒なのである。
それにだ。羞恥心的な意味でも抵抗があった。
(裸の触れ合いは、もう少し深く付き合ってからにしたいというか……)
仮に許可が出ていたとしても、ミエリとしては、体と直に触れ合ったスーツを他人に渡すことには気後れする。局部など恥ずかしい部分も直に接触するので。
「恥ずかしくない?」
金髪オレ娘は思わず訊いてしまった。胸に片手を当て、ぴっちりと少女の肢体に張り付いて強調するナノシェルスーツを示すミエリ。
「全然! 素敵だと思うわ。今の恰好だって暑苦しくてホットパンツを脱ぎたいくらい」
「最近はズボンもスカートも履かないからな、メルは」
事前にSNSをチェックしていなければ、困惑したであろう会話だった。
メルニアはボトムレススタイルを推していた。下を履かず、インナーだけ。
あるいは下着同然の極めて短いホットパンツなどを履くスタイルだ。脚のラインを魅せることができ、開放的とされている。
「悪いけど、軍事機密に触れるから貸せないよ。それに脱いだらすぐにアラートが飛んで、艦隊のアロウヘッドやら
「そっかー、残念残念」
「
メルニアは本気で持ち掛けたわけではなかった。
レインリィが口にしたのは、《袰月》で言うところの『親しき仲にも礼儀あり』を意味する言葉であった。遠まわしにメルニアを窘めていた。
次の話題はミエリが考えたこともなかった将来についての話だった。
「ミエリは軍を出た後はどうするつもりなんだ? アタシはAMMデビュー狙ってんだけど」
それが当たり前であるかのように、アストリドが質問してきた。
AMMとは連合で盛んな総合格闘技だ。アストリドが身体を鍛えているのは、軍務のためだけではなく、プロデビューのためのようだ。
メルニアはエンタメ業界進出、レインリィはエンジニア志望とのことで、任期が終われば名誉除隊するらしい。
若いうちから夢を抱き、それを実現する計画的な人生設計を持っているようだった。
実直な女性軍人という印象を受けたシュトリも考え中とのこと。
「辞める気は当分ないな。オレだけじゃなく、戦隊皆そんな感じだ」
ミエリは薄い胸を張って断言。最強のアロウヘッドを乗り回すことより、楽しくて向いてることなんてあるのかという顔である。
「えぇ~、あんなに綺麗な娘たちなのに」
メルニアは大げさなほど驚いている。勿体ないと心から思っているようだった。
アストリドとレインリィも彼女ほどではないが、意外という表情。
「C+クラス以上の
レインリィは言葉を濁していたが、自由と平等を謳う
《袰月》やその友好国であるオルランド星系王国のようなスタンスは稀なのだ。
超身体能力、
いわば生きた武器。体一つでテロや破壊活動を行えるため、様々な社会的な制約が課され、監視下に置かれている。
その制約を乗り越える数少ない方法が、政府や政府機能の一部を委託されている超巨大企業での年季奉公だった。
最短数年間危険な仕事に従事すれば、保証を得た上で望むキャリアに進む道が拓ける。
政府の諸機関と企業は技能や資格の習得に対しては公正であるため、異能者にとって限られた賢明な選択肢であった。
パトリシア・シェリンガムが率いる
「
「それならオレと同じ考えだな。けど、勝ちは譲ってやれんぜ」
アストリド達はパトリシアのために危ない橋を渡っている。
その覚悟を無駄にできない。ミエリ・ライオネルは連合の少女たちと密約を交わし合った。