ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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オン・ユア・マーク

 長距離打撃戦隊と斧槍兵部隊(ハルバーディア)の対決は、二日間の休暇が明けてすぐに執り行われることなった。

 

 両国の友好を深めることも兼ねた合同訓練という体裁である。

 その実現のために、長距離打撃戦隊の訓練スケジュールを速やかに変更せよ、と前日になって急に連合(厳密に言えばイーストン大佐)から要請があった。

 あまりにも非常識で露骨な悪意のある要求であり、鷹揚な性格のゼラも流石に呆れてしまった。

 

 とはいえ、このハラスメントは想定されていたことでしかない。

 事前に備えていたので、星系軍との間での調整に追われることはなかった。

 

 戦隊長であるお子様先生ことゼラ――とても成人しているようには見えない、十代前半の容姿からそう呼ばれている――はシャワーを浴びてさっぱりしてからブリーフィングルームに向かった。

 

 小柄な肢体は青色を基調としたナノシェルスーツにくっきり縁取られている。

 常在戦場の心意気から日常的にナノシェルスーツは素肌に纏っている。もはや心身ともにスーツと一体になっている気さえしている。

 

(さーて、皆ちゃんと起きているかな?)

 

 ブリーフィングルームに入る直前、ゼラはそんなことを考えていた。ブリーフィングの開始時刻が大幅に早まったので、少し心配していた。

 

 スライドドアが開く。小振りな胸を張ったゼラが意気揚々と入室すれば、

 

「起立!」

 

 フェンリル艦長とクラス委員長を兼任するゼフィリスの美しい声が起立を呼び掛ける。 

 

 流れるように一斉に立ち上がる戦隊員たち。一糸乱れぬ統率とはまさにこのこと。

 

 先端が"つん"と浮き出るほどぴったりとしたナノシェルスーツを装着しているため、大きな胸が慣性の法則に従い、上下にたっぷりと弾みをつけて揺れる。

 

 それは、女性であるゼラでも目が離せない魅惑的な光景。この娘たちの先生をやっていた良かった――そう心から思う瞬間の一つである。

 

 全小隊員がブリーフィングルームに集合していた。

 突撃小隊の横には臨時メンバーとして参加している灰音の妹たちの姿がある。ベルカとチェルシー、銀髪赤眼の双子は少し眠そうにしているが気を張っていた。

 

 あえて一番眠そうにしている者を挙げるなら。それは妖精小隊の久遠であった。

 

 黄金の氏族の姫に相応しい、輝くような金髪の寝癖を綺麗に整えられているのだが、当人は気が緩んだら寝ちゃいそうな顔をしている。

 

 容姿は立派で威厳さえ感じさせるほど成熟している久遠だが子供っぽい。しかも小心者(ビビり)である。

 

 

「おはよう諸君! 全員揃っているようだね!」

 

 ゼラの心配は杞憂だった。

 生徒たちに失礼なことを考えてしまったな。笑顔で声を弾ませて挨拶しつつ、反省するお子様先生であった。

 

 

「それでは、ブリーフィングを始めようか。アナスタシア君、お願いできるかな?」

「はい。お任せください」

 

 普段ならフェンリルの艦長であるゼフィリスが補佐するところだ。

 だが、今回は試験全体の指揮を任されているのは試作小隊のアナスタシアだ。銀髪縦ロールの小さな淑女が立ち上がり、ゼラの隣に立つ。

 

 長距離打撃戦隊の少女たちの戦意は極めて高い。

 どんな不利な勝負でも受けて立つという気持ちが瞳から見て取れる。だが、通達される注意事項の多さに、不満の声が上がっていた。

 

 今回の合同訓練は撮影され、広報映像として公開されるとのこと。

 友好の模範となるよう努めて斧槍兵部隊(ハルバーディア)と親しく接せよとの命令があった。

 

 ミエリ達に斧槍兵部隊(ハルバーディア)に対しての敵意はない。

 競い合うライバルという認識である。だからそれは構わない。しかし、用意された台本は気に入らない。

 

 あまりにも連合の意図が見え透け過ぎている。

 殲滅小隊長のエイリは「アホくせー」と毒づき、最後まで読むと目の前の仮想スクリーンを閉じてしまった。

 

 まずは軌道ステーションから降下してくるパトリシア率いる部隊をお出迎えする。

 整列してそれを迎え、ゼラとゼフィリスが代表として挨拶する。もちろん、他のメンバーも諸手を挙げて斧槍兵部隊(ハルバーディア)を歓迎する。

 

 とにかく笑顔が第一。連合という偉大なる国家の化身にように敬意を持って接せよ、と暗に命じていた。

 

「まさか、訓練の勝ち負けまで決まっているってんじゃないだろうな? ママゴトは御免だぜ」

 

 皆の不安を代弁したのは灰髪の凶狼娘、不良小隊を率いるラヴィであった。

 

 普通、軍隊なら発言を許可した覚えはないと叱責される。

 あるいは殴打されてもおかしくない態度である。だが、ここは《袰月》防衛艦隊群なのでそういう常識は通用しない。

 

 発言こそしていないが、小隊メンバーのメティス、紅黒、クーリエ――ラヴィ率いる不良三人娘もブリーフィングで説明された内容に不満を露わにしていた。

 

「その点は心配無用だ。だが、撮られていることにだけは留意してくれたまえ」

 

 ゼラはそう言って皆を安心させ、通達を続けた。

 

「もう一つ重要なことがある。今回はナノシェルスーツに協力企業のロゴを付けることになった。これは連合からの要求ではなく、こちらの独断だ」

 

 《袰月》の防衛協力企業各社、それに協力関係を結んだ少数の連合企業のロゴがスクリーンに表示された。

 

 軍民の一体化という概念は連合においては常識であり、軍事インフラには民間企業が非常に深く関与していた。

 それも巨大企業グループが軍の指揮権を"購入"して連合軍に指揮下に置く。そんな主体の逆転が起こるレベルである。

 

 今回の合同訓練は宣伝にうってつけだ。商業主義的(コマーシャリズム)な態度はむしろ連合国民に親近感を抱かせる。

 

 《袰月》では心身を最適化する調律という処置を全乗員に施している。

 

 《袰月》の社会は連合にとって不倶戴天の敵であるグズマ主義連邦のような全体主義思想を想起させ、強く警戒されている。

 

 そのイメージを払拭する狙いがあった。もちろん、これはポーズだ。

 連合が公理として掲げる白頭鷲主義――――進化論的尖鋭化に至った資本主義に迎合する者は誰一人としていない。

 

 

(だけど、どこに貼るっていうんだ?)

 

 金髪碧眼のオレ娘、ミエリ・ライオネルは自分の身体をおもむろに確かめていた。

 素肌に密着するナノシェルスーツにロゴを付けるとなると見栄えの良い部位は限られる。

 思い当たり部位を考えると、羞恥心が刺激され、ほのかに体温が上がってくる。

 

 お子様先生はそんなミエリの動作を見逃さなかった。

 

「せっかくだ。ここで実演してみせようか。ミエリ君、前に出てくれたまえ」

「えっオレ!?」

 

 ゼラが起立を促すと、ミエリは狼狽えながらも立ち上がった。 

 

 すたすたと歩き、メインスクリーンの前に出る金髪オレ娘。全員の視線がミエリに注がれていた。

 

「背中は皆のほうに向けてくれ」

「了解」

 

 大人しく指示に従うミエリだが、嫌な予感がしていた。

 

 ミエリを見つめる視線の期待は高まっている。

 小柄な金髪碧眼オレ娘だが、ナノシェルスーツの圧力で持ち上がったお尻は質感が非常に良い。肉感的でもあり、動けば活発に揺れ弾む。

 

 厚さ0.01mmの青いナノ被膜が張り付くお尻は、些細な緊張でも筋肉が引き締まるを明らかにしてしまう。

 

(なんか緊張するな……)

 

 突き刺さるクラスメイト達の視線がこそばゆく、無意識にお尻を引き締めるミエリ。

 その隣でお子様先生はナノシェルスーツの黒い腕部装甲から表示した空間投影コンソールを操作している。

 

「よし、表示した。どうだい?」

 

 ミエリの背後でどよめきが起こっていた。

 

「おおー」

 

 銀髪赤眼の戦闘系美少女、灰音は目を輝かせている。

 

「確かにこれなら目立つよね〜♪」とハレは楽しげにコメント。ロングヘアのギャルJKに抵抗感は微塵もなし。

 

「うぅむ、あんな所にロゴを付けるのは恥ずかしいなぁ。なあ、火狩もそう思うだろ?」

 

 久遠は赤面してやや俯いた。

 いつも厳しいお目付け役の火狩も今回は久遠に同意している。

 

 企業ロゴとやらはミエリから見えない位置に表示されている。

 ナノ被膜表面の色相を変更することでロゴを描いているため、肌に何かを感じることははかった。

 

 だが、注目が集まっている部位は感じられる。

 

「あんま見るなよー。恥ずかしいんだから」

 

 そう言いつつ、ミエリは《袰月》系企業のロゴが表示された部分を手で隠した。

 引き締まった、それでいて可愛らしいお尻。その右臀部をキャンバスに企業ロゴが大きく描かれていた。

 

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