「わぁ、とっても早いね!!個性なの?」
その声に、俺はばっと目線をやる。
黒緑の癖っ毛に頬のそばかす。目を輝かせる様子。
その少年は、既視感満載。だって主人公だもの
まさか、初手から主人公にエンカウントするとは思わなかった。
「・・・え、えっと・・・君は?」
「あっ、ぼ、僕は緑谷出久!急にごめんね!」
「あ、あぁ、気にするな。・・・俺は属性操太。さっきのこれは個性じゃないぜ」
そういうと、さらに緑谷出久は驚いていた。
「こ、個性じゃないの!?」
「あぁ。・・・理屈的には、地面を瞬間10回以上連続で蹴り上げて進む超高速移動術。俺はこれを剃、って呼んでいる」
「そ、そる・・・・・・」
「と言っても、俺もまだ8回くらいしか蹴れてなくて改良の余地があるけどな」
「人間業じゃないね・・・!」
「・・・あはは、確かにそうかもしれないな」
困ったように笑う。確かにそう言われるとその通りだ。
「・・・あ、で、でも属性くん!怪我してるよ!」
指を指すのは俺の足。瞬間的に蹴り上げているので擦り傷ができていた。
「あ、本当だな・・・」
「放っておいたらダメだよ!家がすぐ近くなんだ!こっちにきて!」
そう述べると、緑谷は俺の腕を引っ張って家に進み始めた。
「ち、ちょっとまってくれ!」
「ダメだよ!放置しちゃったらばい菌入るもん!すぐそこだから!」
違うんだ。俺は個性を使えるんだよ・・・。
「あら、おかえり出久。横の子は?」
「属性操太くん!怪我をしちゃってるんだ!」
「あらほんと、すぐに手当を・・・」
「あー・・・俺、個性で治癒できるからさ・・・」
そう述べると、空気が固まった。
いやうん、仕方がないよね、なんたって彼無個性だもん。
「あ、そ・・・そうなんだ!ごめんね!へんなおせっかいしちゃって・・・」
「ご、ごめんねうちの出久が・・・」
2人とも気まずそうだ。緑谷に関しては半泣き。
「・・・・・・あの、緑谷のお母さん。やっぱ手当受けていいっすか?
個性で治すより、誰かにやってもらった方が嬉しいもんですし・・・」
「・・・えぇ!もちろん!すぐに手当するわね!」
そう言い、素早く手当てをする緑谷の母。相当手慣れているようだ。
ものの見事に治療が終わった。
「・・・ありがとうございます。改めて属性操太です。緑谷とはさっきそこであって」
「出久の母の引子です。ごめんね、出久っておせっかいなところがあるから」
そう言いながら笑う緑谷の母。やはり親子は似ていると思った。
「いえいえ。・・・緑谷、いいやつじゃないっすか。まるでヒーローっす」
「あはは。僕、個性がないんだ。だから・・・・・・」
そう気まずそうに話す緑谷。
「個性がないと確かに強くなるのは大変だけどさ、性格的にはヒーローじゃねえか。素質ありまくりだぜ」
だからこそ、俺はこう述べたかった。
「えっ・・・・・・」
「そりゃ、おせっかいは最初びっくりしたけど緑谷が善意でやってくれたのは嬉しいしな。
個性で治せるっちゃ治せるけどよ、ヒーローみたいなやつに助けてもらえるのも案外気分はいいもんだぜ?」
「・・・・・・属性、くん」
「それにさっき見たろ?俺の動き。
個性を使わなくても、身体は動かせる!その肉体を鍛え上げることに不可能はねーって!」
「僕でも・・・ヒーローになれるのかなぁ・・・!!」
泣きながら、そう聞く緑谷。
「知らねーけどよ、どうしても諦めがつかないなら・・・俺と一緒に鍛えようぜ、もしかしたら俺たち、すげーヒーローになれるかもな!!」
そう言いながら、にっと笑いかけてやった。
「・・・うん・・・僕、僕・・・頑張るよ!!」
「っ・・・出久、ごめんね・・・!!あなたの夢を、否定しちゃってごめんね・・・!!」
「お母さん・・・!」
親子が泣きながら抱きしめあっている。
引子さんが言っているのはオールマイトの動画のやつだろう。
「・・・属性くんもありがとうね。出久・・・とてもやる気に満ち溢れている」
「俺も鍛錬する仲間がいてくれたら嬉しいっすから!
せっかくだし、これから緑谷と鍛錬をしていっていいっすか?」
「えぇ!!・・・出久をよろしくね!」
「うっす!もちろんっす!」
そうして、俺と緑谷は共に鍛錬に育むことになったのだった。
「・・・よーっし!とりあえずはまず筋トレとランニングからだ!俺はいつも体を限界まで追い詰めている、だからメニューも楽じゃない。
・・・故に、死ぬほど辛いかもしれない。それでもやるか?」
「・・・うん!!ヒーローのためなら、この命を賭ける!」
「ははっ、お前俺の知ってる漫画キャラみたいなこと言ってるな!・・・っし!!鍛えるか!」
というわけで、さっそく鍛え始める。
ランニングだが、毎日最低でも10キロ。これをまずは1時間で走り切れるのが望ましい。
しかし、そのためには走りなれることが必要だ。
「っ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ふっ・・・ふっ・・・頑張れ緑谷、基礎体力が一番重要だ!」
そう言いながら背中をさする。
「っ・・・うん!!」
しんどそうな顔だ。しかし目だけはやる気に満ち溢れている。
一時間30分でなんとか走り切れた。
「・・・よし、初回でそれは充分!まだまだ早くなれるぞ!」
「うん!疲れるけど・・・生き生きしてる!」
そう笑う緑谷ににっ、と笑いかけた。お前、素質あるよなぁ・・・。
そんな初回から、すでに2年経ち、中学へと入学した
すでに目標の1時間はきり始め、半分の30分で走り切った。
5キロ15分。1キロなんと3分だ。これには俺も本人も驚いた。
さらに、そこから腕立て、腹筋、背筋、スクワットを100回をやっている。
そのため、2人の筋肉はかなりついてきた。
最近では六式の鍛錬も行い始めている。
「・・・お前、ほんとに見違えたよなぁ」
「えへへ、日々鍛えてたからね」
そう言いながら日課のトレーニングをしている最中、声をかけられたのだった。
「・・・・・・おいデク、てめえちょっとツラ貸せや」
そこにいたのは、彼の幼馴染の重要キャラだった。