EP2 爆豪勝己と初めての個性
「・・・・・・おいデク、てめえちょっとツラ貸せや」
そう言い、こちらへきたのは爆豪勝己。緑谷の幼馴染だ。
「あっ・・・かっちゃん」
緑谷の顔が引き攣った。まあ無理もないだろう。
中学なりたて、ということもある。すでに緑谷は悪い意味で注目を浴びていた。
無個性は、やはり虐げられてしまう。
この世界特有のことだった。
「・・・どうした爆豪」
「あァ?うるせえよ雑魚。テメーに用はねーんだよ、引っ込んでろ」
話しかけられて不愉快だったのか、口が悪かった。相変わらずである。
「ど、どうしたの?かっちゃん・・・」
「・・・てめぇ、俺を馬鹿にしてんのか。・・・騙してたのかよ」
胸ぐらを掴むと、そう言う爆豪。
「な、なんのこと!?騙してなんて・・・」
「うるせぇ!無個性の木偶の坊、デクのくせして・・・!!」
手を爆破させる爆豪。
そのまま緑谷を殴りかかろうとした。
「・・・氷属性。融解」
その手を掴み、個性を使う。
爆発と氷。威力は落ち、爆発が途絶えた。
「テメー!邪魔すんなっつっただろ!」
「無理な話だな。・・・緑谷は俺の友人だ。その友人を傷つけるなら、幼馴染だと言うお前も許さない」
吠える爆豪に正面から啖呵切る。
「そうかよ・・・なら先にテメーから!!」
そう言い手を構える爆豪。
「個性使用の禁止も知らん馬鹿が・・・俺もだが。
・・・指銃<シガン>!!」
容赦なく、指銃を撃ち込んだ。
「っ・・・ガハッ・・・・・・お前ェ・・・!!」
「・・・緑谷が木偶の坊?ふざけるなよ、こいつは努力をして強くなっている。諦めずに必死に食らいついている。
無個性を馬鹿にして楽しいか?・・・それとも、お前が見下してた奴が強くなってて、悔しいか?」
「っ・・・・・・ブッ殺す!!」
そう言い、手を向けてきた。
「っ・・・・・・!!鉄塊<テッカイ>!!」
そして次の瞬間、爆発した。
「てめ・・・・・・デク!?」
鉄塊を使ったのは出久本人だった。
あいつ、鉄塊を使いこなせてなかったのに・・・
「・・・かっちゃん!君がどう考えてるのか知らない!けど、僕は強くなりたいから鍛えてる!君みたいな、ヒーローになりたくてっ!!」
「ヒー・・・ロー・・・・・・」
「君はいつも、いつも強かった!口はとても悪いし、性格も良くはないけど!」
「ウルセェわ!!」
「それでも!真っ直ぐに夢に向かってる姿は!オールマイトを越えようとするその姿は!!
僕を憧れさせたんだ!!
だから!君の横に立つのは無理かもしれないけど、それでも君みたいになりたくて!強くなるために!鍛えているんだ!!」
緑谷がそう叫ぶ。
爆豪は唖然としていた。
「・・・・・・爆豪、俺からも一つ。お前が緑谷にどういう考えを抱いているのかはわからない。
けど、こいつはいつもお前を憧れていた。
ヒーローの話の時だって、お前のことを嬉しそうに話していた。
・・・お前、そんな奴を大切にしてやれよ」
「っ・・・・・・!!無個性の、木偶の坊のデク!!そのはずだったのに!なんでお前はいつも・・・いつも俺を心配しやがる!いつも俺を助けようとしやがる!!見下してんじゃねーよ!!」
そう叫び胸ぐらを掴む、が緑谷も負けじと掴み返した。
「君が!!僕の友達だからじゃないかっ!!
僕が弱いから、何もできないから!君が強いから!だからって!!
友達のために何かをしたい、それは当たり前のことじゃないかッ!!!」
緑谷の本気の叫び、それを聞いたことのない爆豪は目を見開いた。
その後・・・爆豪は弱々しい足取りで帰っていった。
「・・・緑谷、すごいでかい啖呵だったな」
「あ、うん・・・。かっちゃん、大丈夫かな?」
「まああいつは今まで散々お前を見下してきたんだ。いい薬になるだろうさ」
なんだかわからないが、きっといい道につながる。そう思ったのだった。
次の日、学校にて。
今日も緑谷は馬鹿にされている。無個性だから、出来損ないだから。そう言う理由で馬鹿にされている。
クラスの大半がそうだった。
「うっせーんだよクソ野郎どもォ!テメーら・・・出久のこときちんと見てから言えや。ブッ殺すぞ」
そういいながら手を爆破させた爆豪。
クラス全員がそっちを見ていた。
「爆豪、気持ちはわかったが個性を使うな、危険だぞ」
「テメーに言われなくてもわかってるわボケェ!・・・あとで出久と一緒に顔出せや」
そう言いながら顔を伏せ寝始めた爆豪。
その日は、皆何も言わなかった。
「・・・かっちゃん、話って何?」
放課後、俺と緑谷は呼び出しをされて屋上へときていた。
「・・・・・・出久!!テメェは木偶の坊だった!無個性の出来損ないだった・・・けど、俺の中の、ヒーローだった!!
悔しかった!!認めたくなかった!!俺より弱いやつが、なんで俺を助けようとする!そう思ってた!!
けど・・・・・そこの属性野郎に止められて、お前に叫ばれて・・・・・・俺の弱さを知った。
いや、わかってた。お前が先々に行くのを認めたくなかっただけだった。
・・・意地、張り続けてごめん。出久」
「い、いいんだよかっちゃん!僕もごめんね!?ち、調子乗っちゃったし・・・それに、僕たち友達だろう!?」
「・・・・・・よかったな、爆豪。緑谷・・・いや、出久がいいやつで。
けど、お前がいじめてた現実は無くならねえ。こいつが苦しんでるのを見て悲しんだ人が、出久のお母さんがいるのを忘れるな」
「わぁーってるよ。・・・出久、お前の母さんにも謝らせてくれ」
「・・・う、うん!!」
「・・・出久の母ちゃん。今までずっと出久を苦しめてきた。全部、俺が悪かった。
許されなくても、仕方がねえ事をした。
けど、謝らせてくれ。・・・ごめんなさい」
家の前、爆豪は引子さんに頭を下げていた。
「気にしないで。・・・出久は勝己くんのことをお友達、って言ってたもの。・・・これからも、仲良くしてあげて」
「・・・ッス」
「せっかくだし、ご飯食べていってよ。昔みたいに、ね?」
「・・・いただきます」
「じゃあ、俺はそろそろ」
「何言ってるの!操太くんも、よ!」
「そうだよ!操太くんも食べなよ!」
「・・・出久も出久の母ちゃんも誘ってんならテメェもくるべきだろ、俺と出久の事を助けてもらってんだし」
3人からそう言われ、つい微笑む。
「・・・俺も、お邪魔します」
暖かい空間。なんとも心地良い時間を過ごせたのだった。