「えっと・・・君は本当に無個性なのかい?」
「・・・はい、僕は無個性です」
「あー、俺は個性があります、けど確かにこいつは無個性ですよ」
「・・・で、でもさっきヘドロヴィランを・・・」
「あぁ、あれ身体能力を無理やり鍛えて使えるようになった六式です。鍛えれば使えますよ」
「いやジョークがすぎるよ!?というか飛んでたよ!?」
「あれは空気を蹴ってました」
「もはや個性だよそれは!!!!・・・ゲホッ、ゲホッ!!」
するとオールマイトは血を吐き出した。
「お、オールマイト!?」
「っ・・・大丈夫ですか!?」
「ノー・・・プロブレム。・・・時間が、きてしまったようだ・・・」
そう言いながらフラフラ揺れるオールマイト。身体からは煙が出ていた。
そうして、煙が身体を包み込む。
それが晴れると、ヒョロヒョロの見た目の男性が見えた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
出久はとても驚いていた。
まあ、無理もない。オールマイトの姿がこんなヒョロヒョロガリガリなんてありえないもんね。普通は
「・・・少年たち。これが本当の姿だ」
「そ、そんな嘘だ!オールマイトがそんな姿なんて!」
「・・・出久、この人本当にオールマイトだ。
力はさっきよりもほとんど感じない、が気配がさっきと似ている。
いや、同じだろうなこれは・・・」
「驚いた・・・・・・わかるのか?」
「えぇ。・・・さっき俺たちが使った六式、ってやつを鍛えに鍛えると覇気っつーもんが使えるんです。
その覇気っつーのは人の気配を感じるもので、オールマイトの気配が同じでした」
「すごいなぁ、操太くんは。まだ使えないや僕」
「まぁな、伊達にお前に六式を教えていないんだ、そんな簡単に使われると俺の立つ背がねえっつーの」
「・・・おぉう、ふたりとも人間をやめてるねぇ」
「・・・でも、オールマイトがこんな姿なんて・・・」
「出久。ネットニュースでもなんでもいいけどさ、なんかこういう話聞いたことあるか?」
「ないよ。あったらニュースになってるって」
「・・・まぁ、だよなぁ。じゃあ秘密のこと、かもな。出久、わかっているだろうけど一応これは俺達の内緒話にしておこうぜ。なんだかそうするべきな気がする」
「察しが良くて助かるぞ少年。・・・これは、5年前にできたキズなんだ」
そう言い、服をまくるオールマイト。
横腹付近に、かなりの傷を受けていた。
「・・・呼吸器官半壊、胃袋全摘。・・・度重なる手術と後遺症で憔悴してしまった。
私の活動時間としては・・・3時間、それが限界なんだ」
「っ・・・そん、な」
「・・・5年前、か」
「・・・毒々チェーンソーと戦った時!?」
「・・・詳しいんだな。だがあんなチンピラにはやられはしないさ。
これは世間には公開してない。・・・公開してしまったら、それこそ終わりだ」
「なんで・・・」
「オールマイトはNo. 1ヒーロー、平和の象徴だからだろうな。・・・ヴィランの立場になってみろ、平和の象徴オールマイトの姿がこれだぞ、それを知ったらどうなる」
「・・・・・・そういうことさ。
はっきり言おう。個性なくともヒーローにはなれる、とは簡単には言えない。
もちろん、個性があってもヒーローになることは危ないことだ。命懸け、だからな。
無個性でも、君は力がある。
だが・・・命懸けの世界だということだけは忘れないでほしい。
そして、個性があるからとて過信もしてはいけない。君たちを必ず助けられるとは、限らない。
相応の現実だけは忘れないでくれ・・・・・・」
そう言いながら、オールマイトはドアを開けて降り始めた。
そして、その場に2人残されたのだった。
「・・・現実、か」
「・・・・・・力があっても、過信は命を落とすか。
本当に、その通りなのかもしれないな。
俺たちはヒーローを目指してる、けど一応そういう現実にも目だけは向けておこうぜ」
「うん。・・・そう、だね」
現実というものを心に留めて歩き出した。
帰り道、口数は減っていた。お互いの心に事実と言う重荷が掛かっていたからだ。
突如、爆発が鳴り響いた。
「この爆発・・・・・・かっちゃん!?」
「あぁ、おそらくな!!なんだ、出久も多少感じるじゃないか!」
「ほんの少しだよ、というかなんだか大変そうじゃない!?」
「いくらあいつでも無意味に個性は使わないはず・・・こっちか!!」
向かった先にあったのは商店街だ。すでに人だかりができている。
そこにいたのは、先ほどオールマイトが捕まえたヘドロヴィランだった。
「かっちゃんっ!!!」
「勝己っ!!!」
思わず叫ぶ。
プロヒーローがこちらへきた
「知り合いか?」
「ええ、同級生!ダチなんです!」
「そんな!助けないと!!」
「バカ言っちゃいけない!君たち個性はあるのか!」
「俺はあります」
「無個性です・・・・・・」
「無個性なんて自殺にも等しい!個性があるからと言って安全ではないんだ!」
そう言われ、出久はさっきの言葉を思い出していた。
「わかってる・・・わかってるんだ。命懸けだって、危険だって!!
だけど・・・・・・かっちゃんが!助けてほしい顔をしていた!!」
「あぁもう!!出久!勝己の救出を最優先にするぞ!こいッ!!」
そういうと、2人で駆け出す。
やめろ、危険だ、自殺行為だ。そう叫ばれる。
でも知るか、知ったことか!!関係あるか!!!!
「「かっちゃん/勝己を返せェェェェッ!!
嵐脚<ランキャク>ッ!!!!!」」
タンっ!と飛び上がると足から斬撃を繰り出す。左右の斬撃はヘドロヴィランを一瞬斬り裂き勝己の拘束が緩んだ。
「今だ!!剃<ソル>!!かっちゃん、捕まって!!」
「出久・・・わかったっ!」
勝己が出久に引っ付くと、また剃で後ろに下がった。
「お前ら、さっきの・・・よくも邪魔を・・・!!」
「お前が俺たちのダチに手を出そうとしたからだ!くらえ・・・風属性!風弾<フウダン>!!」
手をバッ、と前に突き出す。
手のひらから風の弾を放つ。物理が効果が薄いなら、属性攻撃に限る。
「ぐえぇっ!?」
「次!水属性!超高水圧砲<ハイドロキャノン>!!!!」
次に両手を突き出す。
水の高水圧砲を撃ち込む。
ヘドロヴィランは腹部に腹が空いていた。
「ちぃっ、邪魔をぉ・・・・・・!!」
攻撃をしようとしたヘドロヴィランだが、その攻撃は止められた。
「君たちに偉そうに述べながら、何もしないのは恥ずかしいなっ!!」
「オールマイト・・・!!」
「あとは任せたまえ。"ヒーローの卵たち"よ」
俺と、出久を見てそう話したオールマイト。
あぁ、やっぱり・・・やっぱりオールマイトは本物だ。
「・・・いくぞぉぉ!!スマァァァァァッシュッ!!」
そう叫び、腕を突き刺すオールマイト。
その貫きはヘドロヴィランを一撃で潰した。
「皆の者!安心して欲しい!ヘドロヴィランはオールマイトが!そしてヒーローの卵たちが倒してみせた!!!!!!!!!」
そう言い高らかに腕を突き上げたオールマイト。
歓声の声が響いていた。
その後、俺たちはヒーローと称されながらもプロヒーローから説教を受けていた。一応戦えたからと言って危険なことには変わりない。そのことを注意されたのだ。
しかし、それと同時にお褒めの言葉ももらえた。
ちなみに出久は無個性には見えなかったらしい。日々鍛錬して身につけたと言ったら唖然としていた。
「・・・大変だったねぇ」
「まあなぁ、でも勝己が無事で良かったじゃねえか」
「・・・おう。あんがとなお前ら。かっこよかった」
そう言いながら頭をかいた勝己。
「んなこと言ったら、最後まで諦めずに暴れてた勝己もかっこよかったよな」
「うん!なんか流石かっちゃんって感じ!」
そう笑いながら帰っていた。
「はっはっは、3人とも仲が良いなぁ!」
「「「お、オールマイト!?」」」
3人思わず目を見開く。
「・・・緑谷少年。属性少年。2人に言わねばならないことがある。
あの時、よく動いた。よく恐怖に打ち勝って見せた。
そして爆豪少年、よく屈せず最後まで抗って見せた。
君たち3人はヒーローになれる」
「・・・ちげぇ。出久も操太もすでにヒーローだ!あとは、俺だけなんだ。
まってろよテメェら!すぐに追い抜いてやっからな!!」
そう宣言する勝己につい笑う。
「・・・爆豪少年、君にも私の秘密を聞いてもらおう。
その上で、緑谷少年・・・君にお願いがある。
私の・・・この託されたワン・フォー・オールを受け継いで欲しい」
この日のことを、俺たちは決して忘れないだろう。