聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜   作:ムササ

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神凪家は本来肉親への愛情が強い家系だそうです。(コトハ情報)



#98 複数所持者

 

早朝、アルビレオ支部シリウス居住区。

そこを歩く銀髪の彼女の足取りは軽かった。

彼女、リラ・カーネリア・プレシアはこれから起こるであろう展開に心躍らせているのだ。

 

(ああ、早く着かないかな。早くアキトの部屋へ)

 

軽くスキップをしながら歩く彼女は側から見ても喜びに満ち溢れていた。

そしてそうこうしている間にアキトの部屋へと。

リラははやる気持ちを押さえつけ、ドアを開けた(合い鍵常備)。

その数秒後に待ち受ける光景など想像出来る事もなく。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

ピロロロ、ピロロロ。

目覚まし時計の音が朝を告げる。

 

『うーん、あと少し………』

 

アキトは何時ものように目覚まし時計の頭を押さえつけ、もう一度夢の世界へと潜り込もうとしていた。

だが、今日だけはいつもと違う事があり、アキトは睡眠から未だに解放されない頭を活動させ始めた。

なんだか体が重いのだ。

だるさから来る特有の重みではなく、本当に重い。

 

『うー、朝ぁ?』

 

ん?なんだか上から声がする。

その時、ガチャという音と共に自室のドアが開いた。

リラが来たのだ、そう思いアキトは体を起こそうとするが起き上がれない。

何せ体の上に何かが乗っているのだから(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

『うーん、あっお兄ちゃんおはよう……』

 

上からそんな声がするがアキトはそんな事を気にしている暇は無い。まさに噴火一秒前の火山(リラ)が固まっているのだから。

 

『%°$÷○÷=$+#÷$○÷°$$%5○×35+×2○>〜〜〜〜〜!!!!!』

 

言葉にならない絶叫が早朝のアルビレオに鳴り響いたのは言うまでもない。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

『………………』

『………………』

 

黙々と朝ご飯を食べるリラをアキトもまた無言で向かい合ってご飯を食べながら見る。

 

『うーん、ごめんねリラお姉ちゃん』

『………………』

『……兄妹なんだから許してよ〜』

 

ピタッと箸を止めたリラがゆっくり話し始める。

 

『……私だってまだアキトと一緒に寝たこと無いのに……』

『別にちっちゃい頃はね、ずっと一緒に寝てたんだよ?』

『だからズルイって言ってるんです!』

『じゃあお姉ちゃんも一緒に寝る?』

 

その言葉にリラの顔が赤くなり、固まる。

 

『ちっちゃい頃はよく一緒にお風呂も入ってたよ?』

 

リラの顔が面白い事になっている事をアキトは横眼で見ながらも止めない、止められない。

 

『久しぶりにお兄ちゃんと背中の流し合いっこしたいな〜?』

『ご一緒させて下さい!!!!』

 

リラ・カーネリア・プレシア、此処二陥落ス。

 

『待て、俺の意見は?』

 

その言葉にリラがポケットから一枚の紙を取り出す。

 

『この文字が目に入らぬかー!!』

 

その紙にはどんな願いでも叶えちゃうぞ券の文字が。

その時アキトは反抗を諦めた。

 

『うん流石私の義姉だね』

『ええ、そうですよ私の義妹も最高です!』

 

銀髪の美少女二人がハイタッチするのはとても絵になっていたが、その話の内容は最低である。

 

『それはそうとねお兄ちゃん、私アマリリスに入りたいんだけど』

『それは……うーん。そうだ!コトハ、グラジオラスに入らないか?』

『グラジオラスって、お兄ちゃんが前いたあの?』

 

グラジオラスは現在コルノスティ王国国王の命令の元、アキトに課せられている指令である。

グラジオラスはコルノスティ王国の希望とならねばならない、その為人員は厳選に厳選を重ねなければならず、現状スカウト以外に隊員を増やす事が出来ない。

 

『隊長がお兄ちゃんで、副隊長がお姉ちゃん?じゃあ私は?』

『ソールバニス王の命令でグラジオラスは大規模部隊になる事が決まっててコトハには隊員と俺たちのまとめ役になって欲しいんだ』

『さしずめ、隊長ってことだね?うん良いよ私グラジオラスに入る!』

『ありがとうコトハ、まあそれに当たって命令で試験を受けさせなきゃいけないんだけど…まあコトハなら余裕でしょう』

『コトハは強いの?』

『うん!流石にお兄ちゃんやお姉ちゃんには敵わないけど普通の人よりはコトハは強いよ!』

『そっかリラはコトハのことは知らなかったか、ユイとかアツシとかは知ってるんだけどな。よし、いい機会だし一緒に行こうか』

『うん!』

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

〜三突針〜 オルレマイオス一頭の討伐

 

『え?オルレマイオス?大丈夫なの?』

『うん!まあ見ててお姉ちゃん!』

 

コトハはオルレマイオスへと単身で駆けていく。

 

『ねえ、アキト本当に大丈夫?』

『うん、安心して見てて良いと思うよ』

 

その間にもコトハはオルレマイオスとの距離を縮める。

その時オルレマイオスがコトハに気付く。

 

『大丈夫、直ぐに終わらせてあげるからっ!』

 

コトハはブラックボックスを発動、始めてアルビレオに来た時に着けていた黒いコートと両刃に更に刃の付いた剣を取り出した。

 

『古の王に仕えし、可憐なる剣の魂よ、我が意思に応え強大なる力を我が身に宿せ、いでよNo.7電剣 ナルカミ!!』

 

まだコトハの詠唱は終わらない。

 

『古の王に仕えし、静かなる衣の魂よ、我が意思に応えその力を我が身に宿せ、いでよNo.16 操変の衣 ツキウサギ!!』

 

コトハの持つ剣の刃が電気と共に回り始め、目にも止まらぬ速さで回転を始める。

コトハはサファイアで勢い良く跳躍し、オルレマイオスの顔の前へと躍りでる。

 

『麗華一門 其の一 時雨牡丹(しぐれぼたん)!!』

 

コトハはそのままオルレマイオスの頭を切り落とす。

だがオルレマイオスはその協力な再生能力により、まだ動けている。

 

『麗華一門 其の四 刺葉紅葉(しようもみじ)!!』

 

ツキウサギがまるでコトハの意思に応えるように形を変え、槍状となりオルレマイオスの体を地面へと縫い付け、そこにナルカミの連撃が降り注ぎ、オルレマイオスの活動を停止させた。

 

『な?言っただろ?コトハは世界で唯一の王の器の複数所持者だ。オルレマイオスなんぞに負ける理由が無い』

 

最後に神凪の血を継ぐ者だしなと付け加えるアキトは嬉しそうだった。

この結果によりコトハは晴れてグラジオラスの一員となった。

 

『そうそう、明日…だからねお兄ちゃん!』

 

どうやら明日は強制的に非番の様だ。

 

 




複数所持者と言ってもコトハの王の器は二つです。
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