聖焔の軌跡 〜Miracle Lucas〜   作:ムササ

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第六章 The black flame which is distorted
#104 悪魔の再来


 

『すみません!キケロさん!アキトさん!国王陛下がお呼びです!!』

 

模擬戦を一通り終えて、一休みしていた時にそんな声を上げながら一人の兵士が駆け込んできた。

どうやら兵士の訓練どころの騒ぎではなくなった様だ。

 

俺がキケロ師匠と一緒に兵士に連れられて王の間に向かうと、そこには既にリラとコトハが居た。

どうやら二人も今着いた所らしく、今からソールバニス国王が状況の説明をする所らしい。

 

『集まってくれたか、では単刀直入に言おう。君たちの力を貸して欲しい』

 

一国の王であるソールバニスは絶対に頭を下げる訳にはいかない。しかしその声色は本気であり、頭を下げる事のできない陛下の最大級のお願いである事が十分に分かるものだった。

 

『何があったんですか?』

『南方のベガの街に…元グラジオラス隊員であるユイ・コールレア・ミディアスの魔力反応が見つかった。更にその近くには多数の強大な魔力反応も見つかっている。その魔力からして恐らく、古代種であろう。それも今までに確認されていたコルノスティ王国全ての古代種の反応がある。その事から判断して……』

『キリコ・ティーエンス……』

『恐らくはそうであろうな……』

 

元オル・グランクの部下であり、その娘であるキリコ・ティーエンスは魔獣を操る能力に長けている。その力を利用して古代種とユイ……ユイの魔力を操っているとしか考えられない状況である。

 

『ユイさんが……』

『ソールバニス王よ、今ユイの魔力を感知したと言いましたね?』

『ああ、確かにそう言った』

『それなら………コトハ、出来るか?』

『うん、私の固有魔法なら多分出来るよ。ユイお姉ちゃんの黒色魔力は封印出来ると思う』

『それならば話が早い。今から王命を下す。神凪アキトよ、コルノスティ王国に散らばる今招集可能な王の器使いを全て集め、ユイ・コールレア・ミディアスの救出、及び古代種の殲滅任務を言い渡す。頼めるか?』

『陛下の御心のままに』

『ならば早速動いてくれ、事態は一刻を争う。古代種共がベガの街を襲う前に討伐せねばならん。アキトよ転送魔法陣でアルビレオへ飛べ、それとキケロよ、ポールスターへ飛んでジントを呼べ。頼むぞ、お前たちに掛かっているんだ』

『『はっ!』』

 

そうして、俺とリラとコトハはメイドに連れられてセルヴィムの一角にある大部屋へと向かって行った。

 

『これが…転送魔法陣……』

『うん、これはサウサンクロノスとその周りにある大都市…ポールスター、アルビレオ、ベガ、アルタイルを一瞬で行き来できる転送魔法陣。国王直属の部隊長と副隊長、それに王族しか使えないんだけどね』

『なるほど、だからオリハルニアに誓うんだね』

『うん。さあそろそろ行くよ二人共。準備はいい?』

『『勿論!』』

 

魔法陣の光が俺たちを包み、眩い光が視界を遮り、目を開けると。

 

『ふむ。転送魔法陣か……何か有ったのかね?アキト君』

『リックス支部長。ケイとオルガ教官、それにカルマを呼んで下さい。理由は後で話します』

『うむ、分かった。アキト君の事だからね、信じよう』

 

そう言ってリックス支部長は三人を呼んできてくれた。

 

『なるほど…古代種の討伐任務か……分かった。君たちが居ない間は責任を持って私達がアルビレオを守ろう。頼んだよ君たち』

『りょーかい!分かったぜアキト!取り敢えずこのコルセアの能力とか知りたかったんだ!任せとけ!!』

『ケイ、王の器の力を過信するなよ?私はそうやって死んだ者を何人も見ているのだからな』

『おっけー、アキト。今度は俺がお前にアンタレスを救って貰ったお礼をする番だ』

 

そしてまた、転送魔法陣で帰ろうとした時。

 

『みゅう〜!!』

『へぶっ!』

 

突然俺の顔面が三本のモコモコ尻尾でアイアンクローを食らった。

 

『え、ええむ。た、たふけ…』

『みゅう?』

『ぷはっ!はあ、はあ。エレム…いきなり尻尾でアイアンクローを仕掛けるのはやめなさい』

『みゅう?』

 

エレムは三本の尻尾を俺の体に巻きつけて一向に離れようとしない。

 

『エレムはアキトが居ない間ずっと拗ねてたんだぜ?寂しかったんだろ?セルヴィムまででも連れて行ってあげたらどうだ?』

『まあ…いっか。ソールバニス王なら何か知ってるかもしれないしな』

『みゅ!』

 

そうして俺とリラとコトハ、オルガ教官とケイとカルマとエレムはアルビレオからまた転送魔法陣でセルヴィムへととんぼ返りしたのだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

『よう、来たかお前ら』

『ジントさん!』

 

そこで待って居たのは、今は本部の最高指揮官となったジントさんであった。どうやら俺たちがエレムと戯れている間に既にセルヴィムまで来ていたらしい。

 

『ふむ、全員揃ったか。では作戦会議を始めたいと思う』

 

俺たちは全員揃った事を確認して、王の間に戻りソールバニス王に揃った事を報告した。

その道のりで目を爛々と輝かせたミディア王女にエレムが連れて行かれたが、懐いている様だったのでまあ良いだろう。どうやらあのフモフモの耳と尻尾にやられたらしい。

気持ちは分かる。この前もコトハが尻尾のモフモフを堪能し過ぎてエレムが嫌がってたしね。

 

『今確認されている古代種の数は四体、それにユイをくわえるから合計五体だな』

『それに比べ俺たちは七人。数的には有利だな』

『ユイは俺に任せてくれ。てゆうか俺かリラじゃないとユイの相手は厳しいと思う』

『確か、そのユイって人の固有魔法と魔法三つ全部使えるんだよな?』

『ああ、ユイの固有魔法はかなり厄介だからな。味方の時はすげえ心強かったけど、敵に回すとあれほど厄介な魔法はそうそう無いな』

 

ユイの固有魔法、シャドーレは自分の影を操り、その影で相手の影を攻撃する事で、相手の肉体にも同じダメージを与える事のできる魔法である。

そしてユイの三つの魔法はそれぞれ、アポートとブラックボックス、シルガであり、標準的な分シンプルに強い。

更にユイは王の器であるカシオスを所有している為、現状神の器を持っているアキトとリラと以外は相手は不可能である。

 

『よし、じゃあアキトはユイと。残りは俺とケイ、オルガさんとカルマ。悪いがリラとコトハは一人で戦ってくれ』

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

さあ、戦いの始まりだ。

 

(待ってろよユイ。お前は絶対に助けてやるからな)

 

ハルとアツシにも約束した事だ。絶対にユイだけは助けてみせる。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

『どうやら感づかれた様ね。概ね予想通り、さあ早く来なさい神凪アキト。それが貴方の最後よ』

 

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