元神王連メンバー「A」李堂 〜Anotherstory〜(リメイク) 作:ただの青い山羊
俺たちは試験翌日、会場に呼び出され、一般試験の結果が発表された。
『それでは、一般応募合格者を一位から発表します!』
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1位 ヘリム・シエ 学力1位 実力1位
2位 安堂 李 学力2位 実力4位
3位 無花果 湯ノ花 学力24位 実力5位
4位 ディアン・シーヴァ 学力4位 実力41位
5位 安堂 雅 学力3位 実力59位
6位 ウィリア・ニルバー 学力105位 実力2位
7位 ファムタール・エリシェット 学力48位 実力60位
8位 宮神宮 豪鬼 学力106位 実力3位
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順位を確認すると、俺は総合順位2位、戦闘力は4位だった、まだ推薦を含め俺よりも戦闘力が高い相手が最低でも3人はいることになる
(実力4位、アレを習得したのにまだ豪鬼に届かないのか)
(あいつのスペル、『爆上大将』でも8万に届いてなかった筈、ということは……)
「おい」
俺が思考している途中、声をかけられた方を向くと、豪鬼がいた
「驚いたぜ、お前が4位なんてな、しかも5位は毒蟲だぜ?見直したよ」
「思っても無いことを言うなよ気持ち悪い、そんなことよりも、霊波動の習得はどうだ?」
「……………………何のことだか」
「……っはぁ〜……俺に隠し事が通用するわけねぇだろうが、まぁ心配すんな、あくまでもあれは俺が持つ最大戦闘力、実際戦ってみたら多分十万行くか行かないかぐらいだと思うぜ?」
「一つ言っておくぞ、豪鬼、今回の戦い俺たちが圧倒的に不利だ、単純な強者、精神系能力者、ファムタールみたいな相手にデバフをかける能力者、そんな奴ら相手に俺たちは霊波動っていう最大の武器であり最大の爆弾を使って戦うんだ」
「なんでそんなことを教えてくれんだ?」
「まぁお前ら2人に冥界での借りを自分の手で返してやりたいってのもあるが、まぁお前は馬鹿だからあえて言っておく」
「お前調子乗って全力出しそうで心配なんだよ」
「俺だってたまには考えて行動するわ!いいぜそこまで俺を舐めてんだな??舐めてるんだよな??いいぜ上等だよやってやろうじゃねぇかテメェ馬鹿野郎このヤロウ!!」
「落ち着け馬鹿!!会場ぶっ壊す気か!!」
俺は豪鬼を必死に取り押さえて落ち着かせた、もしも会場を壊されでもしたら豪鬼はともかく、俺まで巻き添えを喰らったらたまったもんじゃ無い
「悪い、ちょっと取り乱した」
「別にいつもの事だからな、気にしてねぇよ」
そう言いながらふと豪鬼の方を見てみると、何故かコイツは俺の顔をじっと見つめている
「………………なんだよ」
「いや、なんというか、お前ちょっと変わったか?」
「は?」
「ついこの前までは俺たちの一挙一動にビクビクして、最期まで腰抜けでいやがった癖に、今では最大戦闘力だけで言うと俺や水楼と肩並べてんだぜ?正直驚いたよ」
俺も心底驚いた、まさか豪鬼がそんな事を言う奴だとは思っていなかったからだ
でも俺は……
「別に………何も変わってねぇよ、俺は」
「俺は今も昔も卑怯者のままで、霊波動も、ただの成り行きで身につけたただの偶然だ、そんな俺が変わってるわけねぇ……変わっちゃダメなんだよ」
「李堂」
「はーやれやれ、豪鬼に気持ち悪い事言われちまった、もうすぐトーナメントが発表される頃だからな、先に行っとくぜ」
「…………………」
六冥王選挙一般予選の司会、煉獄が口を開いた
『続いて、六冥王選挙本戦のトーナメントを発表します!』
俺達はトーナメント表が表示されたモニターへ目を向ける
(俺の相手は……)
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一回戦 第二試合
安堂 李 対 安堂 雅
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「……………………」
俺の相手は雅だった、いつかは戦うことになると思っていたが、まさかこんなに早く対峙することになるとは思ってなかった
その時、俺の能力が反応した、誰かが後ろに立っている、能力を使わずとも何となく誰が来たかなんとなく分かった俺は顔を向けずに応えた
「よお、雅」
「………………」
「俺たちマジでバカだったよな、あんな計画、少し考えれば可笑しな話だって分かってた」
「それでも俺たちは自分の命を優先して楽な道に逃げた」
「………………まぁ何が言いたいかというと、互いに恨みっこなしだぞって事だ」
俺が話す中、口を開かなかった雅がやっと口を開いた
「明後日、お前を絶対に殺してやる」
「………………っは、受けて立ってやるよ」
「今のうちに、兄貴にどんな嘘をついてやるか、考えておくんだな」
そう言い、俺はその場を去った
「…………………………っち」
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天冥聖杯の丘、俺達はここで自らの運命を決める一戦を繰り広げる事になる、俺達はここで新六冥王を決めることになる
俺を含めた受験者と、六冥王、閻魔大王、そして冥界の主、「西行寺幽々子」全員がここに集まり、幽々子による説明が始まった
ルールは
1・本戦は六冥王が決定するまでノータイムで試合を行う
2・情報漏洩防止の為六冥王及び、選手は試合を観戦する事を許さない
3・勝敗は戦闘不能(気絶・絶命状態)とする。(降参は無し)
となっていた
「ルールは以上となります、早速第一試合の人は準備してね!」
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俺は第一試合に出場するヘリムに声をかけた
「調子はどうだ?」
声をかけた相手が俺であることに気づくと、ヘリムは鼻で笑い返した
「絶好調だ、まぁ生前に力を失ったのは痛いが、少なくとも10万も容易に出せねぇ奴に負けるほどでもねぇな」
「そうかね、アイツは多分、お前を倒せる程の策を持っているぞ」
「………………」
俺の言葉に反応してなのか、何が思考しているのか、ヘリムは黙ってしまった
「まぁ……なんだ……これが最後になるかも知れないからな、お前に言っておきたかったことがあるんだよ」
「ありがとな、ここ数日間、お前が俺をどう思っているかは知らないが、少なくとも俺は退屈にはならなかった、久しぶりにお前と会えてよかった」
「………………そうか」
「がんばれよ、お前は俺がぶっ殺してやるんだからな」
「…………なら、俺が帰ってきたら、お前に死ねって返して送ってやるよ」
「っは…………楽しみにしておいてやるよ」
「……………………じゃあな」
そう言いヘリムは会場に向かった
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数分後、ヘリムは帰ってこなかった、豪鬼は無傷で帰ってきた
その瞬間俺たちは理解した、この試験の奥深さを、この試験における残酷さを
『続いて第二試合、安堂 李 対 安堂 雅 を行います、準備ができ次第、会場にお入り下さい』
「…………くそっ」
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会場には、六冥王第一王であり、審判役の煉獄が立っていた
「準備はいいか?」
煉獄の問いかけに俺たちは応えた
「あぁ」
「いつでも始めてくれ」
「それでは第二試合、安堂 李対安堂 雅を行う」
「始め!!!」
開始の合図と同時に、雅が動いた。
幻符『迷宮理論』
「くそ、しゃっそくしかくぇてくふとあな…………」
周囲の空間が歪み、視覚も聴覚も言葉さえも絡め取られ思考が鈍り、口が回らなくなる。
脳がぐらつき、意識が崩壊しかけた瞬間──
『周囲の情報を入手する程度の能力』
俺は鈍らされた情報を修正し、迷宮理論を無力化した
「危なかった……」
俺が迷宮理論を無力化した事に、雅が動揺を見せた
「ちっ!もう解除しやがったのか!!」
俺は地を蹴り、雅の懐へ飛び込む。腹へ膝蹴りを叩き込み、その体を折り曲げさせると、素早くナイフを首元へ突きつけた。
「相変わらずだな、雅」
「待て待て待て待て!落ち着け!俺たち兄弟だろ!?こ、こんな所で殺し合うなんて間違ってる!!!」
「何言ってんだよ」
ナイフをさらに近づけた
「迷宮理論で先に仕掛けたのはそっちだろうが」
「楽して俺を殺すつもりだったくせによ」
「じゃあな、兄弟」
ナイフを振りかざした瞬間
「クソっ……お前は本当に……」
「爪が甘ぇな!!」
魔符『魔豪拳』
突然、雅が姿を消し俺の背後に現れ、スペルで俺に攻撃を仕掛けてきた
「ぐぁっ!?」
俺はオーラを使って、致命傷にならなかったものの、衝撃で全身に痺れるような痛みが走り、吹き飛ばされてしまった
「ちっ……」
「っは!!!お前が迷宮理論を攻略することは読んでいたんだよ!」
「お前言ってたよなぁ?俺達は対極な関係だって!俺が嘘の情報を流し、お前が正しい情報を集める」
そう言いながら雅が攻撃してくる中、俺が情報を得ようとしても何故か"複数の反応"があり、判別が出来ない
「でも、俺の能力はお前に通用しなかった!!何故だ!他の奴らはいくらでも殺す手段があるのになんで、どうしてお前には勝てない!!!!」
「……………………」
「だから、俺は考えた、お前が正しい情報を集めると言うなら」
「その真実を、嘘で塗りつぶしてやる」
嫌な予感がする、俺はすぐさまオーラを開放して構えた
すると雅が先程と同様に姿を消すと、オーラを拳に纏って俺の目の前に出現した
(折角姿を消したのに、わざわざ俺の目の前に?奇妙だが能力はちゃんと反応している、大丈夫、一撃喰らっても雅の攻撃力ならオーラで止められる)
そう思いながら身構えたが、その時だった、攻撃を受ける瞬間、雅が俺の体を通り抜けた
「は……?」
「後ろだ、馬鹿が」
俺は動揺してオーラを緩めてしまったその瞬間、俺の背中に衝撃が走り俺は殴り飛ばされた
「ぐぁっ・・・!」
流れに乗った雅にそのまま追撃を喰らったが、なんとか体勢を立て直して距離を取った
(馬鹿な……俺の能力は確かに反応していた筈)
その瞬間、俺の視界に十体程の雅が現れた。全てが同じ速度、同じ表情で襲いかかってくる、拳が、蹴りが無数の影として迫る。
「さぁ、どんどん行くぜ!!」
その瞬間、雅たちが殴りかかってくる
(全部、本物……!?いや違う!)
ナイフで一体を斬り払うがやはり抵抗感はない、幻影が煙のように霧散するだけだ、その隙に別の雅の拳が頬を掠めた。
(このままじゃきりがねぇ!なにか……なにか無いのか?)
雅にそれほどの攻撃力は無いものの、何度も喰らっていると流石に危ない、なんとか隙は無いかと観察していると一つ
十体の雅が襲いかかる、雅達はすべてが全く同じ情報で構築されており能力を使用した上で見分けがつかないほどすべてが瓜二つであった
だが本体だけは違う
攻撃が当たる瞬間、一体だけほんの一瞬オーラが揺らいだ。
「本物はお前だ!」
霊波動
霊波動で強化したオーラを足へ集中させ一気に踏み込む、空気が裂け、目にも止まらぬ速さで雅へ肉薄し、ナイフにオーラを纏わせスペルを発動した
瞬刃
鋭い一閃が雅の足を切り裂き、雅は膝から崩れ落ちる
「がっ……!」
血が噴き出し、雅は苦悶の表情を浮かべ驚愕している
(馬鹿な……幻影は完璧だったはず、李なんかに見破られるわけがねえ!)
「簡単な話だ」
俺はそう言い雅の前へ立った、雅は足を切られ膝をついた状態だった
それを見下ろしながら李は口を開く
「確かにお前の幻影は完璧だ、この俺ですら誤認してしまうくらいに、でも肝心の本体だけはオーラが攻撃の瞬間に揺らいだ、そこをついたんだよ」
「…………………………」
「お前がどれだけ俺に嘘を吐こうが、双子の俺には通用しねえんだよ」
その言葉を聞くと、雅は何かが吹っ切れたのかクツクツと嗤いながら立ち上がる
「…………はぁ〜あ、今回ばかりは勝てるととおもったんだがなぁ……」
「毎度毎度、俺の邪魔ばっかりしやがって、いい加減鬱陶しいんだよクソ兄貴が」
「…………………………」
「俺よりも弱いくせに、ガキの頃からずっと、何をしようにもお前が指図しやがって……」
そう言いながら、雅がゆっくりと歩き出し俺の眼の前に立つと、俺の目を見て叫んだ
「いつまでも俺を子供扱いしやがって!!どこまでもお前は偉い兄貴ヅラしやがる!!」
「そんなお前が!ずっと!!目障りだったんだよ!!!!!お前を殺し!お前を超えなきゃ!俺はこれ以上前に進めねえんだ!!!!」
俺はその言葉を黙って聞き、向き合った
「だったら来いよ、俺もお前から逃げねえ」
「っ…………うるっせえ………!」
互いのオーラが膨れ上がり、拳に収束する
魔符『魔豪拳』
魔符『魔豪拳』
「「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!」」
放ったオーラが互いにぶつかり合い、拮抗した
「くっっ…………」
しかし、俺は霊波動の反動でオーラの制御が上手くいかず、思うような威力が出せなかった
(このままじゃ押し負ける、一か八か、やってみるか…………)
その瞬間、俺は放ったオーラを消し、ナイフを持って雅の放ったオーラの中へ突っ込んだ
「っ!?血迷ったか!?」
(幾ら李でもこの中で生き残れる筈が無い!勝った!!俺の勝ち!!!)
「ぐぅぁぁぁぁぁああ!!!!」
「勝った──」そう思い込んだ雅の視界には霊波動を発動してスペルを掻い潜る俺の姿があった、焦った雅はオーラを解放してトドメを刺そうとするが、その時にはもう遅く、俺は目と鼻の先に迫っていた
「っ!?!?畜生!!来るな!!くるなぁぁぁあ!!!」
「勝つのは俺だ!!!!雅ぃぃぃぃ!!!!」
オーラの勢いが増し、吹き飛ばされかけるが、耐え、そのまま雅の懐へ踏み込んだその瞬間
雅の脇腹を穿つ一閃、ナイフが肉を裂きオーラが霧散した。
「う"ぐっ…………」
確かな手応えを感じ、ふらつきながら状況を確認すると、そこには腹部にナイフが刺さり血を吐きながら、膝を折った雅がいた
「………………は、はは……負けたのか、俺…………」
そう笑いながら口を開く
「…………勝てんのか?……李」
俺たちは互いに向き合った
「………………分からねぇ、だがベストは尽くす」
雅はその言葉を聞くと、自分の身に刺さったナイフを強引に抜き、俺に差し出した、俺はそのナイフを受け取り、血に塗れた雅の手を強く握った
「はは…………相変わらず尊敬できねぇ兄貴だぜ…………」
「…………俺は疲れたから、あっちで休んでるよ………………」
そう言うと、握った手が強く握り返され、そしてそれに残った力を全て使い切ったかの様に腕がダランと下りた
「こっちにきたらぶっとばすからな……兄貴…………」
『一回戦勝者、安堂 李』
「……………………任せろ、雅」
能力・スペル解説
『幻撃』
使用者:安堂 雅 (雅流)
オーラと能力で自分に似せた幻影を作った後、その幻影を能力で自身と誤認させ、幻影と共に波状攻撃を仕掛け、攻撃のタイミングをわからなくさせる為のスペル
李の能力対策で開発されたが、使用者と幻影の違いを見破られ、突破された
『瞬刃』
使用者:安堂 李 (李堂)
元ネタ:のび太戦記Ace
霊波動習得の際に編み出したスペル、足にオーラを集中する事でスピードを上げ、斬り込みと斬り返しの往復で2度斬撃を喰らわせる技。