たぬきの子   作:ーー

1 / 8
鬼怒田さんの息子というだけでチートですが、
原作知識と高トリオンとチートSEありです。
トリオンは千佳の半分もないくらいですね()



1 鬼怒田深緑

「ハウンド」

 

 前方斜め右から足音と声、

 建物の影から飛び出してきた金髪の女は僕が反応を示すと同時、また姿を消した。

 

 しかし()えている。その視線の方向、テレポーターの移動先も。

 

「アステロイド」

 

 その弾(アステロイド)も。そして女が姿を隠していた建物の陰から、タイマーによって遅らせて発射された追尾弾(ハウンド)も。

 

 僕は迷わずシールドを背後に展開し、一拍置いて女の方へ駆ける。アステロイドの半分以上はかわして、当たる弾はシールドモードのレイガストで防いだ。

 

──ガガガガガガッ

ガガガガッ──

 

 前方と背後で激しく着弾音が鳴る。レイガストにアステロイドが、シールドにハウンドが防がれて、かわしたアステロイドとハウンドが衝突した。

 

 移動、ガード、回避のタイミング全てが完璧。僕自身への被弾はゼロだ。

 

「スラスターON」

 

 スラスターによるシールドチャージ。ガードしつつ加速し女に接近する。

 

「まだよ……!」

 

 女はスコーピオンを出し斬りかかってくる。受け止めると同時に、女が残していたアステロイドが発射された。

 

「巧いけど──」

 

 ──残弾(それ)も全部視えてる。

 

 レイガストを変形させてスコーピオンを引っ掛け、思い切り引っ張る。

 

「っ……!?」

 

 ドドドドッ──ドンッ

 

 体勢を崩して僕の方へ倒れ込んだ女は自分の撃った弾に貫かれ、爆風を発し光となって飛んでいった。

 

 

『加古 緊急脱出(ベイルアウト)

 

 

 

 

 敗者である加古望さんに奢ってもらった缶コーヒーをひとくち。うん、味わい深い

 

「望さん、かなり上手く扱えてたね。すごいじゃん」

 

 できたばかりの試作トリガー、テレポーターとタイマー。

 今日はその2つのオプショントリガーをテストするために優秀な射手(シューター)である望さんに協力をお願いしたのだ。そして軽く使い方を教えた後、すぐに模擬戦をすることになった訳だが。

 セットしたその日のうちにあそこまでの動きができるようになるのはやっぱりセンスがいいと認めざるを得ない。

 

「あなたには全然通用しなかったじゃない」

 

 すこしムッとした顔で言う望さん。皮肉と捉えてしまったかな。

 

「いや僕は製作に関わってるから、仕様は知ってるし使い方の想定はしてるよ」

 

 テレポーターは視線の先に移動するトリガーで、タイマーは射手(シューター)用トリガーを待機状態から任意の時間で発射させるトリガーだ。

 

 タイマーは弾を待機状態にした後に設定を変えることはできないし、設定中はメインとサブ両方を使うため隙ができるデメリットがあるが、設定後はタイマーを使わない素の置き弾と違って、弾を撃ち終えた後と同様に他のトリガーを使用できるメリットをもつ。

 つまり弾トリガーを1つしかセットしていない場合でも瞬間的にフルアタック以上の火力を出すことも可能になる。

 

「私の動きが想定内だったってことね」

 

「できたてのトリガーをセットしたばかりで、想定通りの使い方を実践できるのがすごいって言ってるんだよ、望さん。僕じゃなかったら相手を蜂の巣に出来てたと思う」

 

「むー……」

 

 褒めてるけど悔しさが勝ってる表情をする望さん。

 かわいいな……。いやでもなにより、

 年上の強い女負かすの、気持ちよすぎだろ。

 

深緑(みのり)くんもいつか撃ち抜いてやるんだから。覚えてなさい」

 

「うん。楽しみにしてる」

 

 翌日、負けはしなかったが、威力0の弾幕のど真ん中にテレポートしてきた彼女にブレードの一撃を食らってしまった。

 センスありすぎだろ。

 

 

 

 

 

 

 ──2年前

 

 大規模侵攻の後、スカウトされた頑固親父に僕も一緒にやらせてと説得するのは大変だった。

 

 土下座して頼み込み、喚き散らしたり、一生のお願いを行使したり、たまたま近くに現れたトリオン兵を小南から失敬したトリガーで倒して見せたりと紆余曲折の末、やっとの思いでボーダーに入れた。

 

 母と妹とは別居になってしまったが、家族みんな無事で離婚も阻止できて、その上でのボーダー入隊。僕はようやく人生のスタートラインに立てたような気分になった。

 

 

 僕、鬼怒田深緑(きぬた みのり)はボーダーで技術者(エンジニア)と戦闘員の両方をやらせてもらっている。

 

 ワールドトリガーの設定では鬼怒田本吉に息子はいないので、前世の記憶が戻ってからは毎日拭いきれない不安を感じながら生きてきたが、ボーダー入隊後、僕はなんの憂いもなくやりたいことを好きなようにやっていた。

 

 親父を手伝う仕事だろうが戦闘だろうが面倒とも大変とも思わなかった。

 トリガーを扱う楽しさの方が圧倒的にデカいからだ。

 完成した物を1番に試したいからって理由もある。

 

 (ゲート)誘導システムや本部基地システムの構築、緊急脱出(ベイルアウト)の開発、狙撃手(スナイパー)用トリガーの開発、ノーマルトリガー量産なども、親父や他の技術者(エンジニア)の開発能力にビビりながら手伝った。

 訓練室の仮想戦闘モードとか凝りすぎててトリハダごりごりたって親父より先に禿げるかと思った。

 

 防衛任務は門誘導装置が完成する前までは弧月を使い積極的に参加した。完成後も隊員の数が全然揃っていないので、駆り出されることがしばしばある。

 

 しかし大規模侵攻が起こった6月から約半年程度で本部基地ができてある程度防衛態勢が整うなんて、やばすぎるよなこの早さ。

 

 学校が再開するまでの数ヶ月間、食事睡眠以外のほぼ全ての時間をボーダーでの活動にあてていたが、度々思い知らされる。

 

 ボーダーにきてからは優秀じゃない人の方が珍しいと思うくらいには、仕事ができる人間が揃っているのだ。

 

 技術者の仕事では親父はもちろんだが、冬島さんや他の技術者、あと東さんと関わった時もその頭脳に驚かされた。

 

 僕は前世ではワールドトリガーが特に好きな作品で全巻買って読んでいたから、緊急脱出(ベイルアウト)とか狙撃手(スナイパー)用トリガーなどが作れる事も当然知っていた。

 それに対しトリガーの存在自体少し前まで知らなかった人たちが僕と同等以上の早さでトリガーへの理解を深めていたりするのだ。仕事も早いし。

 

 作中の描写を見てて元々有能なのは知っていてもつい、「どんな頭してんの?」「天才ですか?」などと聞いてしまう。

 

 でもそう言うと決まってお前がそれを言うか? って返される。いやいや。

 

 確かに13歳が大人に混じって技術者も戦闘員もこなしてれば優秀に見えるだろうけど。まず人生二週目だし、読者だったし、ポン吉の息子ならこれくらい当然のことだと思うんだ。

 数年後には攻撃手から技術者に転向してチーフになっちゃう人とか、遠征で攻めてくるショタチーフくんとかもいるし、自分はまだまだだと感じる。

 

 戦闘員は同い年に小南がいるし、極端な話高いトリオン能力さえあれば目を瞑ってても脳死でアステロイド打ちまくるだけでトリオン兵を倒せるから年齢は関係ない。それに、まだ秘密にしてる反則(チート)みたいな副作用(サイドエフェクト)だってある。

 

 僕は出来るだけ多く作中で出てきたあらゆる人物や情報を実際にこの目で見たいから、その為に何事もそこそこまあまあできるようにしたいのだ。広く浅くって感じにね。

 

 まあ前世とかワールドトリガーの事は絶対に誰にも言うつもりは無いから、ポン吉の息子なんでこれくらい、とだけ言っておく。

 

 冬島さんはそれを聞いて「ぶはっ……ぽ、ポン吉って」とひとしきり笑った後

 

「そういやお前ってほんとに男なのか?」

 

 などと失礼なことを、訝しげな表情で言った。

 そうだよ。今に声低くなるし身長だって伸びるんだからな。

 見とけよ見とけよ。

 

 

 

 

「トリガーオン……っと。じゃあいってきまーす」

 

 戦闘体に換装した深緑(みのり)が防衛任務のため、ラボから出ていったのを見届けると、技術者(エンジニア)たちは彼について話し始める。

 

「あいつ、たまたま色んな事をちょっと手伝えてるだけとか、本気で言ってるのかね」

 

「ええ。ちょっとどころじゃないって、一緒に仕事していた誰もが思ってるでしょうね」

 

「なんか謙遜してるって感じじゃないんだよな」

 

「自分のこと棚に上げて、仕事早すぎとか、頭よすぎか? とか、ちょっと引くわって顔しながら言ってきません?」

 

「あ、わかる。そうそう、引いた顔してたんだよ。全く、どの口が、どの面下げて言ってるんだって話だよ」

 

「ですよね」

 

「しかし、サポートばかりとはいえ、よくこんなに広く手を出せるもんだな。親子揃って仕事しすぎなんだよ。そういや訓練用トリガーと実験とかで俺らも使う換装のみのトリガーくらいか? あいつが率先して作ったのは」

 

「確かそうでしたね」

 

「ちゃんと寝てるのかね、あいつは」

 

「昨日聞きましたけど、

 

 僕はラッキーなことに4時間でも十分な体です。親父は違うけどほっとくと2、3時間睡眠で済ませたりしちゃうから、勝手に仕事ぶんどってアラーム消して休ませてます。

 

 ……って言ってました」

 

「へ〜……???」

 

 




未だ情報が出ないタイマーですが勝手に想像して書きました。最初は加古隊を1位にする話書こうと思ってたのに全然違うものができました。

サイドエフェクトは空の境界にでてきた測定の未来視が元ネタです。全く同じという訳では無いです。
視える範囲で言ったら迅さんの未来視と比べたら狭すぎますがタイマン性能だったら上かと思われます。

「100本勝負して10本引けるなら、10連勝して、それを10セットやれば全勝できるのでは?」

こういうことが出来る能力です。
ご都合主義的に、原作に描かれていて覚えている部分に限り未来視を拡張できるものとします。

特に意味のないアンケート

  • 加古さん
  • 黒江
  • 那須さん
  • 瑠花ちゃん
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。