たぬきの子   作:ーー

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今日2/18は仏の来馬辰也の誕生日だそうです。
くるせんおめでとうございます。


2 メガネとスコーピオン

 モールモッドが2体(ゲート)から現れる。

 僕の()()は、弱点を貫かれ停止した敵を映す。

 7秒後の未来は確定した。

 

「アステロイド」

 

 キューブを出して64分割。1秒。

()()に映る工程通り性能を設定。速度重視で威力と射程は最低限。3秒。

 狙いを定め射出。モールモッドの関節を2体同時に破壊し、攻撃と機動力を封じた。

 4秒。

 

「響子さん」

 

「せいっ、や!」

 

 呼びかけると同時に動き出した彼女は弧月による正確な突きを繰り出し、モールモッドの眼を貫いた。

 7秒、戦闘終了。

 最近迅さんと顔合わせてないから久しぶりに()()を使ってみたけど……やっぱり完璧すぎるな。あっけなく終わってしまう。

 まあモールモッドなら使わなくても大した違いないか。

 

深緑(みのり)くん。どうして自分でトドメを刺さそうとしないのかしら。君の弾なら簡単だと思うのだけど」

 

「僕、技術者としてもお給料もらってるし、トリガーのポイントもあんま要らないんで」

 

「8つも年下の子にそういう気遣いされると、なんか複雑な気分になるわ」

 

 別に、ただの本心だし気遣いって言われるほどじゃないけど。

 

「まあいいじゃないですか。数字稼げば忍田さんも、

──沢村くん、頑張ってるみたいだな。

 ……って思うだろうし」

 

「なっ、なんでそこで本部長の名前が出るのよ!」

 

「うわぁ、わかりやすい反応」

 

「大人をからかうんじゃないっ」

 

「あぶねっ」

 

 顔の赤い響子さんが振り回す弧月を紙一重で回避する。

 僕じゃなきゃ首とられちゃうね。全く、ちょっとからかったくらいでうろたえて子供にブレード向ける人のどこが大人なんだか。美人じゃなかったらアステロイドで反撃してたよ。

 まだシールドは紙みたいなもんだから、簡単に割ってタマをブチ込んで穴だらけにできちゃうんだぞこっちは。

 

「要らん気遣いしてないで、倒せるなら自分で倒しなさいよ」

 

「はーい」

 

 しかし、やっぱりこうしても十二分な威力って見られちゃうか。

 僕のトリガー、訓練用よりも低出力になるようにいじってるんだけど。

 

 まあいいか。二宮さん未満にはなってるはずだしな。

 今の彼には火力正義のゴリ押し上等マンのままでいてもらわないとだからね。

 

 まだ力を見せる時ではない……的な。

 なんか、体に引っ張られて中二病再発するかもしれん。

 

 

 

──僕の高いトリオン能力の事は置いといて、低い者のことを考えなければ。

 

 トリオン低いやつと言えば該当しない者を探す方が大変な程多数派だが、当然僕が思い浮かべている人物は1人──

 

 

 僕は技術者(エンジニア)の仕事として戦闘用トリガーの開発を手伝うことが多い。作中で最も情報が出てたトリガーはボーダーの武器だと記憶しているからだ。

 そもそもボーダーが舞台で作中で出るトリガーの話がほぼ戦闘関係で、戦いが主軸の物語なら当然そうだよな。

 

 それはさておき。僕の仕事によって若干、戦闘用トリガーの隊員への普及、浸透、研究が早まり、僕が知ってるキャラクターよりもこの世界のみんなが強くなる可能性がある。

 

 僕は個人ランク戦とかの模擬戦だってやる。これから盛んになるチーム戦もしない訳じゃない。それは、たとえ主人公達と戦う隊員の相手を避けたられたとしても、僕が戦った相手によって間接的に他の隊員の経験値を稼がせる要因になってしまうことが考えられる。

 

 わざと負ける気は無いし、低出力トリガーで手加減できるほど簡単な相手ばかりでは無い。

 古参ほど僕がいる影響を受けやすい。

 

 よって割と高確率で、ボーダー隊員が全体的に少し強くなってしまうかもしれない。

 

 そうなると少し困る。この先、主人公達を待ち受けている戦いの結果が、僕が知る作中(ストーリー)の展開から変化してしまうかも知れないからだ。

 僕の存在自体アレか? とも思うが、迅さんが動いてれば大筋から逸れることは無いだろ、多分。いざとなったら僕も目をフル活用して手段を選ばず知ってる展開(みらい)に持ってくしね。うん、大丈夫大丈夫。

 

 それでだ。主に心配しているのは主人公達、玉狛第2が初参戦するシーズンのB級ランク戦なんだが。

 やっぱり1番いいのは主人公らが自分から勝てるように成長していけることだ。本来の流れ通りに。

 

──だから、一戦ごとに助言を与えるとか、対策の訓練に付き合うとか、直接的すぎることは避けてテコ入れをしていきたい。

 

 まとめると……仕事してトリガー完成を早めるのも模擬戦とかでみんなを強くしちゃうかもしれない行動もやめないけど、知ってるストーリー通りにしていきたいから、迅さん以外の入隊が遅い主人公らに対して極力間接的になにか補強を入れてやらねばならんなー、ということだ。

 

 という訳でそのテコ入れ第一弾の対象は当然、あの男。

 ワートリ民の間ではペンチメンタルで名高い、最弱のヒーロー。メガネくん。オッサム。

 

 そう、我らが三雲修くんである。

 

 

 

 語れば長々しくなってしまう事も、やるとなれば実に地味で、地道で、単純だ。

 

 僕は久々の休みの日に眼鏡をかけて外出。蓮乃部と三門の境目をうろついてその時が来るのを待つ。

 

 年の離れた姉──いや母だ──と一緒に歩いているメガネ、修を発見。いやしかしかわいいな。今小5だっけか? 

 

 

 ──()()に映像が流れる。自転車で走っていると出会い頭に乗用車とぶつかりかけて……

 よし、ここだ。

 

 

 ……不慮の事故を装い、メガネのフレームを壊す。

 

 謝り倒してこの日のために用意したブツを「予備の前使ってた眼鏡です。ほぼ使わないんでどうぞ」と言い張って押し付け、逃げるように去る。

 

 ミッションコンプリート。

 

 渡したブツとは見た目は普通の眼鏡だが、他の技術者(エンジニア)の手を借りつつ僕が全力で作り上げたスーパーメガネだ。

 

 レンズも含めトリオン製なのでとても頑丈! 

 使用者に合った度数に自動調整! トリオンセンサー、GPS内蔵! 

()()()()()()()するので電池は不要のスグレモノ! 

 

 トリオン器官は若いうちに使えば成長する。気付かれずに日常的にトリオンを使わせるにはやっぱり眼鏡(これ)しか思いつかない。

 ストーカーみたいになったが、これが最適解のはず。

 

 ワートリ本編開幕まで4年弱ある。その間にトリオンを3まで上げてもらう。

 成長率は未知数だが、倍にはさせないし修が試験に落とされペンチする展開はそのまま再現する。()を使ってでも。トリオン測定の結果を誤魔化したりしてね。

 

 まあ、そんな手間をかけないためにもトリオンセンサーとトリオン消費効率の調整機能をつけているんだけど。

 

「ふ……我ながら完璧(パーフェクト)計画(プラン)だ」

 

 

 

 

「ありゃ? クローニンさんと迅さんじゃあないですか」

 

 本部に帰ってラボに向かう途中、カナダ人技術者とセクハラエリートに遭遇した。僕の()を動体視力強化と言い張っていることもあって、普段は視界に入ることも避けたい相手だが……今日のこの雰囲気はひょっとして。

 

「ラボになにか用事でもあるんですか?」

 

「深緑、ちょうどいいところに来たな。お前にも手伝って欲しい。太刀川さんに勝つための、新しいトリガーを──」

「ハイハイ是非是非任せてください! 今すぐ取り掛かりましょう!」

「──つく……って返事はやすぎだろ」

 

 ついに来たかこの時が。待ちくたびれたぜ、スコーピオン。

 おっといけねぇ、あまりの嬉しさに頭が倒置法(ポカリ)になってしまった。

 

 僕はあまり本来の流れを変えたくないから、こっそりしたいことがない限りトリガーの開発を自発的にすることはない。

 

 だからスコーピオンをいつ作り始めるのかと対太刀川さんとの戦績に黒星を積んでいく迅さんをチラ見しては内心そわそわと待たざるを得なかった。

 

 スコーピオンは自在に変形できる楽しいトリガーで、主人公では迅さんと遊真がメインで使っていたし、特に遊真は技のデパートと言えるくらい多彩な使い方をみせてくれた。

 

 レイガストの前提トリガーということもあって、技術者としては1番楽しみにしてたものと言っても過言では無い。

 

 早く完成させて使ってみたいぜ! 

 

 

 

 

 ……なんやかんやあって完成! 

 

 ねんがんの スコーピオンをてにいれたぞ! 

 

 というわけで早速実戦10本勝負。相手は風間さんだ。

 対戦よろしくお願いします。

 

「それが迅と作った新しいトリガーか」

 

「はい。名前はスコーピオンです」

 

 今の風間さんはまだ短めの弧月二刀流。双月ができる前の小南と同じスタイルだ。

 

「風間さんにも合うトリガーだと思います」

 

「迅もそう言っていた。重さがほぼない、脆いが自在に変形するブレードらしいな」

 

「ざっくりいえばそうです。これで迅さんはさっき、太刀川さん相手に7:3(ななさん)で勝ってました」

 

「ほう……!」

 

「僕も負けてられないので、少なくとも8:2(はちにー)で勝とうかなって」

 

「フン……大した自信だな。へし折ってやる」

 

 弧月が鞘から引き抜かれる。

 風間さんが戦闘態勢に入った。僕も二刀を構える。

 来た。やっぱり速いな。

 けど、技量はまだ()()だけで十分対処できるレベルだ。

 

 突きをバックステップでかわし、右でフェイントを入れ左足にブレードを出して弧月を蹴り上げた。

 

「っ……!?」

 

 体のどこからでも出せるとは聞いていなかったのか、不意をつかれた表情を見せる風間さん。でもしっかりもう片方でガードしようとして──

 僕は体勢を崩した相手にそのまま足を叩き込んだ。

 

「1本」

 

 しかし初見の脚ブレードをあの状態から防ごうとするのはさすがの反射神経だ。

 

 2本目

 

 次はこちらから攻める。副作用(サイドエフェクト)と、さっきみたいなスコーピオンの特殊な性能は使わず、純粋に武器の軽さをいかしたスピード勝負で行く。

 素の速度と武器の強度で劣るなら受けに回るのは不利だ。

 

「っと……」

 

 鋭い反撃を二刀で受け流し、身をかわして凌ぎ、

 こちらもガンガン攻めていく

 

「せいっ」

「チッ……」

 

 受け太刀に失敗し腕を浅く斬られながらも、こちらは伝達系(くび)を深く斬り裂いて2本目を続けてとった。

 

 楽しいな。()の力を使ってないとは言え、初見のスコーピオンの速度に風間さんはしっかり対応してくる。

 

 本数を重ねる度に反撃の精度を上げてきてる。刃こぼれと負傷が増えていく。

 4連勝していたが5本目で相打ちになった。

 

 6本目

 

 スコーピオンの特性と強度を理解した風間さんはガンガン攻めてくる。踏み込み過ぎず、先端を押し付けるように動き、受け止めると見せかけて武器破壊も狙うことがある。

 

 ガッ、キィ──

 

「!!」

 

 ドンッ、と胸に衝撃。体当たり……!

 

 受け流したつもりが、風間さんは勢いを殺さず低い姿勢で距離を詰めてきた。肩からの突進をまともに受け、体勢を崩してしまった。

 膝にブレードを──

 

 ザンッ! 

 

 ガードは間に合わず、胸を深く斬られた。

 

「やっと1本か」

「さすがっすね……」

 

 ブレードを体のどこからでも生やせると分かった上で、体当たりで来るとは。弧月の先端を意識しすぎたが、あそこまでの急接近を許してしまったのは、まだ風間さんのスピードを甘くみてたのがあるかも。

 

 7本目以降

 枝刃(ブランチブレード)と脚ブレードを使い、3連勝した。

 ラストの10本目では急所狙いを外されカウンターを貰ってしまい敗北。結果は7勝2敗1分けとなった。

 

 あ〜、相手にとって初見のトリガーで8本取れなかった。やっぱすごいわ風間さん。これでまだボーダー1年目の17歳だったか、今は。攻撃手2位になるのも納得だ。

 

 

「深緑、トリガーの交換を頼む」

 

「スコーピオンですよね」

 

「ああ。次()る時はそれだ」

 

「スコーピオン同士なら強度気にせずガンガンうち合えますね。次も勝たせてもらいますよ」

 

「今日見せた技が次も通じると思わないことだな」

 

 思ってないけどね。見せてない技はまだまだあるけど、僕の方針ではマンティスと遊真の技は本人らが披露するまで人前では見せられないのがな……。歯がゆいって感じだよ。

 

 

修の嫁って誰

  • オサチカしか勝たん
  • キトオサかなーやっぱ
  • カトオサが今1番キテる
  • こなおさ。おれのサイドエフェクトが以下略
  • ナスオサは有る古事記にもそう書かれている
  • 空閑遊真
  • ミラオサ、ガトオサ、その他
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