デストロイ戦後、ザフト、ミネルバ医務室――
「シン、目が覚めたか。」
目を開けたシンにレイが声を掛ける。
「あれ、俺…確か…」
「シン、お前は地球軍の大型MSと戦っていた。それは覚えているな?」
シンのぼやけていた気持ちが少しずつクリアになっていく。
「…!…そうだ、ステラは!?」
「…ステラ?あの少女がどうかしたのか?」
「乗せられてたんだ!!あのバケモノに!!」
「!!」
さしものレイも、その真実には驚いた。
「戦闘中、あのオッサンに、そう言われて…。…何でだよ…!もう戦いとは関係ない世界に…って…!」
シンは怒りに震えた手を布団に打ち付ける。
「落ち着け、シン。……彼も、彼女も軍人だ。…返した時点でこうなる運命は覚悟するべきだったのかもしれないな」
「…それで、ステラは…!?」
レイは顔を伏せる。
「…あの巨大MSはコクピットまで炎が達していた。その上コクピットがサーベルで潰されていて、原型を保っていなかった…。確認は正確には出来ていないが…恐らくは…」
シンとレイは、そこで長らく、無言のまま固まっていた。
「フリーダムが…あれを撃破した。」
―――
「いっつもそうやって、やれると思うなぁぁッ!」
インパルスは鬼気迫る捨て身の戦法でフリーダムに迫る。
これは絶対にコクピットは狙われないという驕りでもあった。
「く…ッ!」
インパルスの大振りを、フリーダムは最小限の動き回避し、手と首を切り落とす。
こうしてインパルスの戦闘力を奪うが…
「メイリン!チェストフライヤー!フォースシルエット!」
言うが速く、即座に中破したチェストフライヤーとフォースシルエットをパージし、フリーダムに追突させる。
「うぐ…ッ!」さしもの奇策にフリーダムも回避が間に合わず盾で受けたところをコアスプレンダーのバルカンで誘爆させ、態勢を崩させる。
そしてその隙に射出されたパーツと即座に合体する。
キラはその戦法を見て、戦うのは時間の無駄と悟り、AAの直衛に戻ろうとするも…
「うおぉぉぉっ!!」
即座に急スピードで距離を詰めたインパルスの斬撃が、フリーダムのすぐ横を振るった。
「逃がさないと言ったろ!」
「あんたがステラを殺した!止めようとしたのにッ!」
―――
「…シン…?」
ステラの口から、その名前が漏れた。
「あ…、目が覚めたの?」
看病にいたAAの看護師が声を掛ける。
ステラの目は、壁の小さなモニターに向いていた。
そこからは、窓代わりに外の様子が見える。
そこから見えたのは、インパルスとフリーダムの死闘だった。
ステラは、フリーダムが怖かった。
"死"を運んでくるもの。そう認識していたから。
…しかし今は前とは違った。
自分を迫りくる死から救い上げてくれた優しい手。
―その手は、自分を"守る"と言ってくれたシンと、なんら変わりのないものだと知ったのだ。
しかし今、その二人が、フリーダムとシンが戦っているのだ。シンは、あの優しい顔、仕草からは思いもつかない荒々しさで、フリーダムに攻撃を仕掛ける。
「シン……!ダメ……そんな風に…そんな風に戦っちゃ…!!」
「そんな…怒りで…憎しみで…!ケホッケホッ」
―――
「あんたは俺が討つんだ!今日!!ここで!!!」
インパルスのエクスカリバーがフリーダムを貫き、戦いは決着した。
アークエンジェルはフリーダムという貴重な戦力を失ったが、『アークエンジェルを仕留める』という作戦の観点からみれば、エンジェル作戦は失敗と言ってよかった。
しかし、アークエンジェルも前述の通り、中核を担っていた戦力が消え、その勢いを終息させ、密かにオーブに向かっていくのであった…。
「ふふ…、はははは、やった…、ステラ…、やっとこれで…、あはは…」
「…シ…ン…」
水中に潜り、インパルスの姿がAAから見えなくなる時まで、ステラはシンを案じ続けていた。
まぁ、情況的に勘違いしてても…しゃーない