何とかザフトの追跡は逃れ、隠れ家にたどり着いたアークエンジェル―
「表面的には元気なんですが、やはり中身がだいぶ衰弱しています。このままでは持ちませんよ…」
とことがステラの現状だった。
「…ネオ・ロアノーク大佐。これは、我が艦でなく、この子の為のことです。」
「なんだよ、改まって。」マリューとカガリ、それにネオが向かい合って会話をしていた。片方はベッドに寝っ転がっているが。
「連合の…地球軍の強化技術の研究施設の場所を教えて欲しい…!」
カガリはそう言った。
「…どうして敵をそこまでして助けようとするんだ?俺が言えた義理じゃないが…ステラはデストロイに乗って、大きな被害を出してるんだぞ?」と、ネオはその責任は自分にもあることを自覚しており多少後ろめたくも率直な疑問を口にした。
「あの子は…自分の意思で戦って、たくさんの人を殺した訳じゃないんだろう?…それなのに、その責任を負わせるなんて、あんまりじゃないか…!」
自分の意思で戦った訳ではない。それは事実だ。自分がステラを、そう仕向け、死の淵に追い込んだ。
そもそも自分勝手に道具として記憶を弄り、軍で使いやすいように"調整"をしてきた。
そうして、アウルはステラのことを忘れたまま死んだ。スティングはどうしているのだろうか。自分やステラが撃墜され、あそこから逃げられたのか―
―いや、生き延びていたとしても、死んだメンバーの記憶は処分しろということになっている。
ステラも自分もMIA認定はされているだろうし、その記憶が消されるのも想像に難くない。そこまでの記憶を失っていては、正常ではいられないだろう。
結局自分は皆を道具としか使ってこれなかった。しかし、ステラは救えるというのなら…
「…軍人失格だな。」そう自嘲し、答えた。
「…分かった。知ってるところは教えてやる。ただ、俺もそこまで上に信頼されてた訳じゃなくてね。そこまで最重要な施設の場所は知らないし、そこが今でも残っているという確証はないがね。」と言った。
―――
すぐ横のベッドには、キラが寝ていた。
「うぅ…」
「大丈夫…?」
それを覗き込んでいたステラが声を掛ける。
「あ…うん…。多分…」
ステラは既に傷も回復し、歩き回れるくらいにはなっている。
ものの、顔は前にもまして少し青白くなっており、元気ではないことは分かる。
流石に"調整"をしていない期間が長すぎたのだ。
ステラは何かを言い出そうか迷うように、キラの横で考え込んでいる
「何…?」とキラが聞くと
「え…と…。…ありがとう」と短く言った。
そして、さらに迷うようにした後、言葉を続ける。
「名前…何て言うの?」
「名前……キラ。キラ・ヤマト。」
「うん…。うん、シンに教えるね、いつか。」
「シン?」
「うん…、シンに、…キラは悪い人じゃないって」
言っていることはキラにはよく分からなかった。
―――
一応手錠は付けたままのネオが、連れられていく。
ネオの横には、しっかりとステラもついている。
小型機で、そのネオが上げた施設へ向かい、多少の脅しをかけてでも治療データを抜き出すつもりらしい。
この子が救われるよう―願わずにはいられなかった。キラには。
特にスティングとアウルはかわいそう