魔法少女にあこがれてたよね!? 作:スカイ・■
身近な例で言うと『わんだふるぷりきゅあ!』というものがある。
あれはキラリンアニマル又は現地のペット達が悪者達の手により怪獣にさせられて暴れまわり、プリキュア達が浄化して元に戻すという作品だが、その戦闘で壊れた街や自然は不思議なパワーで元通りというやつである。
物によっては最初から街では戦わず閉鎖空間のような場所で戦ったり敵側の領域で勝負する作品もあるが、魔法少女というまだ社会に出ていない、バイト出来る年齢すら怪しい彼女達に修繕費を工面出来る訳がない。いや実家が太ければ解決するかもしれないが、そもそもこの物語はフィクションで、守る為に戦った彼女達に一切の非はないのだと、そういうのを気にするどうしようもない層に配慮した演出である。
しかしフィクションではなくノンフィクションの魔法少女事情で言うと、壊れた街は不思議パワーで戻ることはなく、敵側が気を遣ってホームに招待してくれることもない。
だから電車が止まることなんてざらで、通行止めの表示は親の顔より見たと言われている。
その為政府や自治体が対怪獣・復興予算などを組んで大工のおじちゃん達が馬車馬のように働くことで何とかインフラを保っている……かと言えばそんなことはなく、なんと魔法少女がヘルメットを被り律儀にこれを直しているのだ。
魔法の光で全て元通りキラキラキラ~とまでご都合主義とはいかないようだが、どこからともなく運んできた建材とプロ顔負けの職人技を持つマスコット達の指揮をしている姿は見慣れたものだ。
早くて半日。半壊するぐらい酷くてもだいたい二、三日ぐらいで元通りになっていた。
「暴れるだけ暴れて、後始末は先輩任せ……随分と生意気な新人やないかう~ん?」
さて、非公認。そして破壊された街をホッポリ出して帰った私は現在、魔法少女マジアサルファにマジ説教されている。
「……ごべんなさい」
「魔法少女になったのは好きに暴力振るう為か?それとも街を壊したかったからか?」
「いえ、ちがぃます……やり方が分からなくて」
「やり方って。ヴァーツはんに連絡してあとはゴーレムに適当な指示をするだけやろ。そこのどこが分からんの?」
「そもそも私……魔法少女かどうかも怪しくて……」
「は!その見た目で魔法少女か怪しい?なんや自分はコスプレが趣味でオリンピック選手よりず~と高い身体能力は生まれつきとか言うんか。どこのアニメキャラや!」
「だから……壊れた魔法少女のペンダントが家に有ったから改造したら何か変身出来ちゃった的な……」
「ほう、壊れたペンダントを修理。へぇ~天才さんか。すごいやん。…何で家にそんなもんがある?」
「分からんないんですけど……何か倉庫にあって……」
「ふざけとんのか?」
「ふざけてないんです!」
マジアサルファはトレスマジアという三人組で活動している魔法少女なのだが、現在ここには彼女しかいない。
たまたま休日でショッピングに来ていた彼女へ私の不始末を押し付けられたという形らしい。
今日は日曜日。彼女も学生ならこんな時間まで無償で働かされればそりゃあキレる。そして今日の分が終わりそうなタイミングでバックレた私が戻ってきたら説教の一つでもしなきゃ気がすまないというもの。
「言い訳は聞き飽きたわ。一先ず最低限は直しといたから、あとは自分で直し」
「え……あ、はい。その……ヴァーツはんって方にはどう連絡すればいいんでしょうか?」
「はぁぁぁ?」
呆れるような顔をする。
マジアサルファは先ほどまでの言い訳を全てウソと切り捨てた。何せ国の偉い学者達がこぞって研究しようにも、分解すら出来なかったのがペンダントというオーパーツだ。それをそこら辺の小娘に修理出来るわけがない。
どうせ自分に怒られたくないから適当な嘘をついているだけだろう。
魔法少女になるには必ずヴァーツからペンダントを受け取らないといけないのだから、連絡手段がないのはおかしいと、どうせ知っていることをわざわざ説明してやるのも面倒でため息をついた。
「自分。魔法少女になってどれぐらい?」
「1日です」
「ハァ……まぁそんならヴァーツはんの教育不足なのもあり得るか?……チッ。最近なにやら忙しいらしいし、私が明日も時間使って来たる。だけど街を直すためやない。あんたにやり方を教える為や。またバックレようものなら…………分かっとるやろうな?」
「…………は、はぃ……」
例え地の果てまで逃げようと探し出してすりおろしたる。言葉には出されなかったが、そう言われたような気がして息を飲む。
(マジアサルファ……全然イメージと違うよ~怖いよ……助けて、うてなー!)
もっとフワフワとした京都にいる舞妓さんみたい優しい性格の人だと思っていた。だが蓋を開けてみれば同じ関西でも大阪の極道みたいな怖い人であった。
(もう変身したくない……逃げたい……けど)
マジアサルファが自分を見ている。それは野生の狩人……絶対に獲物を逃さないという虎の目であった。
それだけで少し漏らした。
これでまだ自分が魔法少女ならいい。
しかし、あのペンダントは魔法少女の変身アイテムとは何ら関係なく今の状態はむしろ怪獣側の存在であった場合どんな酷い目に遭わされるだろうかとキュアマジアは半泣きになりながら頷いた。