ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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もういちど、ちゃんとはなします

 

 ドラコちゃんの家は、なんというか……。とてもシンプル。ベッドと一人用のテーブル。以上。それしかない。本棚すらない。これがいつも暮らしてる家なのかな。

 

「すまんがわしの家は客人を想定しておらんからな。その辺に座るなりしてくれ」

「ん。だいじょうぶ」

 

 クロが空中に黒い穴を作ると、その穴の中から椅子を引っ張り出した。以前聞いたことがある。亜空間の魔法だ。クロはいろんなものを亜空間にしまってるらしい。

 ただ、椅子が三つも出てくるのはさすがに予想外だったけど。この子、何をしまっているのやら。

 

「ほう。亜空間の魔法を使えるのか。やはり魔法使いとしては優秀なようじゃの」

「師匠。ゆうしゅう。えっへん」

「ふむ。その師匠とやらにわしも会ってみたいのじゃ」

「ん……? おうち。いた、よ?」

「なんと?」

 

 ああ、そっか。リオちゃん、魔力をおさえるか隠すか言ってたからね。あの子がクロの師匠とは思わなかったのかも。

 

「あの大広間にもう一人いたでしょ? その子、リオちゃんがクロの師匠だよ」

「なんと、あやつが……! クロよりも魔力が少なかったようじゃが、あるほど、素晴らしい技術を持った魔女なのじゃな」

「あー……」

 

 どうしよう。言った方がいいのかな。クロは……あ、だめだ。そもそもリオちゃんが魔力を隠していたことに気付いてなかったみたい。意味が分からなかったみたいで首を傾げてる。

 ミリアちゃんは何となく察してくれたみたい。小さく頷いて、人差し指を口の前に立てた。内緒の方が都合がいいってことかな。

 単純にあの子が隠したのを勝手に言いたくないってことかもしれないけど。普段の態度からだとそっちの方があり得そう。

 クロが出してくれた椅子に座って、ドラコちゃんは自分の椅子に座った。

 

「さて……。改めて、よく来た。なぜ来たかはよく分からんが……」

「おともだち」

「ふむ……。わしに何か求めておるのじゃな? わざわざここまで来たのじゃ。少しぐらいは力になってやってもよいぞ」

「だから。おともだち」

「うむ。建前じゃろう? ほれ。何を望む」

「おともだち!」

「む……? え、まさかマジなの……?」

 

 ドラコちゃんが信じられないものを見るかのようにクロちゃんを見つめ、次に私に視線を投げてきた。正気か、とでも問いたげに。

 

「マジです」

「マジなのか……」

 

 信じられない気持ちは分からないでもない。あれだけあからさまに距離を取られたら、普通は今後避けようと思うはずだ。少なくとも友達になることなんて無理だと思う。

 でもクロはそう思わなかったみたいだからね。友達になれる人を呼ぶという自分の魔法を信じてるのか、それともドラコちゃんに何か感じるものがあったのか、それはクロにしか分からないけど。

 

「あの……」

 

 そこで、それまで黙っていたミリアちゃんが口を開いた。

 

「クロちゃんは、すっごく良い子だよ。ドラコさんが何を心配してるのかミリアにはわかんないけど、クロちゃんはドラコさんとお友達になりたい、ただそれだけ」

「むう……」

 

 ミリアちゃんの意見にドラコちゃんはさらに悩み始めてる。何も気にせずお友達になってくれたらいいのにね。

 私たちが黙って見守っていると、子狼のラキがちょこちょこ歩いて、ドラコちゃんの膝の上にのった。そのままじっとドラコちゃんを見つめ始める。

 

「な、なんじゃ……?」

「撫でてあげて?」

「む……」

 

 ミリアちゃんに促されて、ドラコちゃんがラキを撫でる。おっかなびっくりといった様子で、そっと優しく。

 うん。やっぱりこの子、良い子だね。すごく気遣いができる子だ。

 

「やっぱり……。ドラコさん、実は動物と触れ合うことがないでしょ」

「な、なぜ」

「ドラコさんほど魔力が多いと、普通の動物は逃げ出すと思うから」

 

 図星だったみたいで、ドラコちゃんが固まってる。

 魔法ってすごく便利だと思ってたけど、魔力が多いとそういう不都合もあるんだね。かわいい動物をもふもふできないのは、それだけで人生の損失だと思う。わりと真面目に。

 

「ん……。おともだち。ミリア。もふもふ。やりほうだい」

「クロちゃん!?」

「魅力的じゃな……」

「ええ!?」

 

 さすがにアピールポイントに使われると思わなかったのか、ミリアちゃんが驚いてる。ドラコちゃんまでそれで悩むほど。

 ミリアちゃんは一押し程度になればいいと思ってたんだろうね。決め手になりかねないけど。

 でも。

 

「クロ。それはドラコちゃんとミリアちゃんのお友達のきっかけにはなっても、クロは関係ないんじゃない?」

「なんと」

「天然なの……?」

 

 我が妹ながら手段を選ばなくなってきたね……。気持ちは、分からないでもないけど。

 

「そも。友達、とは気付いたらなっておるものじゃろ。対価があることがおかしいんじゃ」

「ドラコちゃんが純粋すぎて心配になる」

「バカにしておるのか?」

 

 いやあ……。確かにドラコちゃんの言いたいことも分かるけど、打算から始まる有情があるのも事実だからね。だからとりあえず今後の繋がりさえできればいいと私は思ったんだけど……。

 

「なぜお主はわしにそれほど固執するのだ。初対面じゃろ」

「おともだちになりたいと、おもったから」

「む……。直球じゃな……」

 

 私も少し驚いた。クロがちゃんとした文章で言葉を発したのも久しぶりだ。

 




壁|w・)お友達になりたい、ただそれだけな子です。
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