ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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ドラコの両親

 クロがじっとドラコちゃんを見つめる。ドラコちゃんはどこか居心地が悪そうに視線をさまよわせてる。

 やがて、ドラコちゃんがため息をついて言った。

 

「だめじゃ」

 

 とても短い、分かりやすいほどの、拒絶の言葉だった。

 

「お主らのことは好ましく思う。じゃが、それでも信用はできん」

「そこまでいくと人間不信になってない?」

「そうじゃな。否定はせん」

 

 人間不信。そう簡単になるようなものじゃない。何があったんだろう。

 そう思ったところで、家のドアが激しく叩かれ、大きな音が部屋に響いた。

 

「ドラコ! いるのでしょう! 出てきなさい!」

 

 そんな、女の人の声。それを聞いた瞬間、ドラコちゃんは顔をしかめてため息をついた。

 

「そんなにドアを叩くな。鍵などないのじゃ。勝手に入ってくればよかろう」

「結界を使っているでしょう! そんなにあたしたちをバカにして楽しいの!?」

「うむ。楽しい」

 

 ドラコちゃんがそう言って頷いた直後からドアを叩く音が大きくなってる。ドアを壊そうとしているみたいに、がんがんと。

 そんな大きな音だからクロが怯えたりしないか心配だったけど、クロは落ち着いたものであくびなんてしてる。むしろミリアちゃんの方が反応してるね。不安そうにドアとドラコちゃんを交互に見てる。

 ドラコちゃんはそんなミリアちゃんの様子を見て、小さくため息をついた。

 

「仕方ないのう。ほれ」

 

 ドラコちゃんが指を鳴らす。するとドアが勢いよく開いて大人が二人転がるように入ってきた。入ってすぐに転倒して、変な格好になってる。なんだこいつら。

 ドラコちゃんと同じような角と尻尾。これ、もしかしなくても、ドラコちゃんの関係者だよね?

 

「いっつ……。ドラコ! 開けるならもっとゆっくり開けなさい!」

「注文が多い。用件はなんじゃ」

「それはもちろん……。あら」

 

 そこでようやく私たちに気が付いたらしい。私たちを順番に見て、そして少し慌てたように立ち上がった。手で軽く服を払ってる。

 

「こほん。あなたがたはどなたでしょうか?」

 

 そして何事も無かったかのような発言でした。ここまでいくとすごいよ。

 入ってきた大人二人は、男女二人組。ドラコちゃんと同じ真っ赤な髪色だ。家族か何かだったりするのかな?

 ドラコちゃんに振り返ると、すぐに教えてくれた。

 

「わしの両親じゃ。カスじゃな」

「はっ! あたしがカスなら、あたしたちを見捨てたあなたもカスでしょう!」

「うわあ……」

 

 過去に何があったのか知らないけど、自分の娘に対してカスとか、言う? ちょっと私の常識だと考えられな……、いや、そんなことないか。私の両親のクロに対する態度も似たようなものだ。

 少しだけ同情してしまう。子供は親を選べないからね。こんな親だと、きっとドラコちゃんも苦労したんだと思う。

 

「な、なによあなた! 何か文句でもあるの!?」

「いやあ……。むしろ文句しかないかなって……」

「なんですって!?」

 

 おお、怖い。女の人の周囲で空気がなんかぐるぐるしてる。

 これ、知ってる。魔力が渦巻くとか、そんな現象だ。クロが教えてくれたことがあるから。まあクロの説明は分かりにくくて、結局リオちゃんに教えてもらったんだけど。

 確か、なんだっけ。

 

「未熟な人が無理に強い魔法を使おうとすると起きる現象だっけ?」

「ぶはっ!」

「なっ!」

 

 ドラコちゃんが噴き出して、女の人が顔を真っ赤にした。ミリアちゃんは私の服の袖を引っ張ってぷるぷる震えてる。その顔は、なんで余計なこと言ったんですか、とでも言いたげだ。

 うん。自分でも思う。めちゃくちゃ余計なこと言った。

 

「あなた……! いいでしょう、あなたから燃やしてあげ……」

「貴様、わしの客人に手を出すつもりか?」

 

 その声は、背筋が冷たくなるほどに冷えた声だった。

 

「ど、ドラコ……」

「この者たちはわしの正式な客人じゃ。貴様らのような、部屋に押し入ってくる常識のない者とは違う。手を出すなら、それこそわしは許さんぞ」

 

 庇ってくれるのは嬉しいしありがたいけど、女の人の視線はどんどん鋭くなってる。めちゃくちゃ私を睨み付けてる。人も殺せそうなほどに鋭い視線だ。

 余計なことを言ったのは悪かったと思うけど、そこまで怒ることなの?

 

「出て行け。二度は言わん」

 

 ドラコちゃんが吐き捨てるように言うと、女の人は先に出ていった。

 残ったのは、男の人。つまりドラコちゃんのお父さんなんだろうけど、こっちは少し気弱そうな雰囲気だ。苦笑いなんて浮かべてるし。

 

「すまないね、ドラコ。この子たちは君の友人かい?」

「む……。まあ、その……。そんなところじゃ……」

 

 クロが顔を上げてドラコちゃんをまじまじと見つめてる。あまり表情は分からないけど、すごく嬉しそう。こう、目がきらきらしてる。

 ドラコちゃんは居心地悪そうに視線を逸らした。照れ隠しというか、言うつもりはなかった、みたいな感じかな?

 男の人はなんだか嬉しそうに目を細めて、そうかと一度だけ頷いた。

 

「うん……。よかった。君にも友達ができて、嬉しいよ」

「ええい! 調子が狂う! 帰れ帰れ!」

「はは。また来るよ、ドラコ」

 

 そう言って、男の人は軽く手を振って出て行ってしまった。

 うーん……。女の人と違って、男の人は結構いいお父さんだと思う。ドラコちゃんを愛してるのがよく分かる。ドラコちゃんも男の人には結構甘い対応だったと思うし。

 まあ、いまはそれよりも。

 

「ともだち。うれしい。ともだち」

「よ、よせ! くっつくでない! わあ!」

 

 クロがどことなく嬉しそうにドラコちゃんに甘え始めてる。ドラコちゃんに抱きついて頬ずりしてる。

 クロの表情はとても薄いけど、その分、体を使って感情表現をすることがある。とても嬉しいことがあると、こうして相手に抱きついたりして。

 うんうん。妹が同い年ぐらいの子にくっついて頬ずりしてるのは、なんだかこう、ちょっと……。なかなかいいですね。うえへへへ……。

 

「いいなあ……」

 

 ミリアちゃんがちょっと羨ましそうにしてるのもまた……。ふへへ……。

 

「あの、ちょっと顔が気持ち悪いかなって」

「あ、はい。すみません」

 

 うん。よし。落ち着け私。さすがにこれはまずい。

 




壁|w・)クソ親でした。
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