ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~ 作:龍翠
「え、なにそれ怖い」
私たちの世界に戻って、リオちゃんに隠蔽を解除してもらって。リオちゃんの魔力を直接感じたドラコちゃんの言葉がそれだった。
「いや……。いやいや。なんじゃこれ。めちゃくちゃじゃろうそれ。次元が違うではないか。勝負にもならんぞこれ」
「え? そんなに違うの?」
「わしの十倍以上の魔力があるぞこやつ。つまりわしが全力で戦っても、こやつは一割の魔力でわしの攻撃を防御して、残り九割で攻撃できるというわけじゃな。勝てるかそんなもん」
「あはは……」
「ん。師匠。とてもすごい。かっこいい。えっへん」
クロはリオちゃんを褒められると、自分のことのように喜ぶところがある。クロはリオちゃんのこと、すごく信頼してるからね。大好きな人を褒められると嬉しいってことだね。
やっぱり私の妹は天使だと思う。間違いない。
「それだけの魔力……。リオといったか。どれほどの年月を生きてきたのじゃ?」
「魔力量は別に関係ない。増えてないわけじゃないけど、最初から多い」
「なんと……。まさにこれが才能というわけか……」
生まれた時からドラコちゃん以上だとすると、本当にリオちゃんは才能の塊と言うか、そんな言葉でも言い表せないかもしれない。
「わしはこれでも修行をさぼってはおらんというのに……。百年以上修行しているんじゃぞ」
「ん。私は千年以上、魔法の研究をしてる」
「は?」
「え」
「ええ!?」
ドラコちゃん、私、ミリアちゃんの反応でした。いや、見た目通りの年齢ではないとは思ってたけど、さすがに千年は予想外だよ。
ドラコちゃんが最年長? リオちゃんと比べるとまだ子供でしかないんじゃないかな。こわい。
「エルフでもそれほどの寿命はないはずじゃろう! 千年生きる種族など聞いたことがないぞ!」
「ん。私はハイエルフ。寿命はないに等しい。精霊と契約していて、年も取らない。不老」
「な、な、な……!」
悲報。朗報? リオちゃん、なんか予想よりもずっとぶっ飛んだ存在でした。
ドラコちゃんは大きなため息をついて、椅子にどっかりと座った。心なしかすすけて見えるような気がする。真っ白になってるってやつだ。
「何が世界最強じゃ……。くだらない……。いやむしろ恥ずかしい……。小物じゃん……」
うん。えっと……。そっとしておこう。
「みんなすごい経歴だよね。ミリアなんてすっごく普通だったんだなって」
「いや、ミリアちゃんも一人暮らしだったよね!?」
ミリアちゃんの呟きに思わず突っ込んじゃったけど、そうだよミリアちゃんも動物たちはいても一人暮らしだった。この子も訳ありってこと?
「ミリアはね、村の前に捨てられてたの!」
「ごほっ」
「待っていきなり重いんだけど! ドラコちゃんしっかり!」
むせちゃったドラコちゃんの背中を撫でて落ち着かせる。いやそれにしても、そんなに明るく言うことかな?
クロもドラコちゃんも、親の愛情を感じた時期はあった。でもミリアちゃんにはそれがないわけで……。
「あ、でもその後、拾われた村で優しくしてもらったよ?」
「そうなんだね……」
よかった、最初が重いだけで、後はましだったみたい。それなら安心……。
「でも魔獣たちと仲良くしてたらいろいろ問題があるみたいで、村からちょっと追い出されたり魔女だって呼ばれるようになっちゃったりしたけど」
「…………」
ドラコちゃんと顔を見合わせる。いやいや、私も知らなかったから。予想以上に重いから。
「私の知り合いが言ってた」
そう話し始めたのは、リオちゃんだ。
「魔女にまともなやつはいない」
「あー……」
「うぐぅ……」
「えー?」
私は納得して、ドラコちゃんは唸って、ミリアちゃんは納得できないとばかりに唇を尖らせてる。ミリアちゃんは理解できてないだけで十分まともな経歴じゃないからね。
「ジュース。どうぞ」
いつの間にキッチンに行っていたのか、クロがおばけとこばけを連れてキッチンから出てきた。おばけとこばけはジュースで満たされたコップをそれぞれ持って、私たちに配ってくれる。
「なあ、クロよ」
「ん?」
「こやつらは……なんじゃ?」
ドラコちゃんが指し示したのは、おばけとこばけ。改めて疑問に思ったらしい。
「ともだち。おばけ。こばけ。かわいい」
「う、うむ……。かわいいのう。それで、どういう……」
「ともだち。かわいい」
「いや、だから……」
「かわいい」
「はい」
ああ、ドラコちゃんが屈してしまった。正直私も気になってるから、ドラコちゃんには頑張ってほしかった。いやだって、おばけもこばけも、ここで暮らしてるってことしか分からない不思議存在だからね。
「ばけばけ」
「ぱけぱっけ」
いや、まあ、悪い子たちじゃないのは間違いないんだけど。今も楽しそうにしてるし。
「おねえちゃん」
「ん?」
クロに袖を引かれて振り返る。クロは料理の本を持っていた。晩ご飯のおねだり、かな? 食べたいものがあるみたい。
「なになに? どれを食べたいの?」
「これ」
「オムライスだね。いいよ」
クロがそれを食べたいのなら、私はもちろん用意しますとも。
早速自室に戻って、お財布と鞄を取ってくる。準備はさっさとしておかないとね。
「あ、クロ。改めてこの家のこと、説明してあげるんだよ」
「ん。がんばる。ドラコ。行こう」
「うん? そうじゃな。よろしく頼む」
ドラコちゃんの手を取って歩き始めるクロと、なんだか楽しそうな笑顔でそれについていくドラコちゃん。私はそんな二人を微笑ましく思いながら、買い物のために出発した。
壁|w・)何があってもいざという時はどうにかしてくれる安心装置師匠!