ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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錬金と魔法

 

 エリーゼちゃんがリオちゃんから魔法を教わり始めて、一週間ほど。毎日のようにエリーゼちゃんがこっちに来てくれるからか、クロもとても嬉しそうだ。クロもエリーゼちゃんと一緒に魔法の勉強をしてるみたい。

 エリーゼちゃんが教わってるものはクロにとってはすでに当たり前のようにやってることらしいけど、復習がてらにちょうどいい、らしい。ちゃんと勉強してるなあ。

 ともかく。エリーゼちゃんは魔法で一定の成果を得られたみたいだった。さらにはその魔法を道具に付与する錬金術を考えたらしい。それが今回の切り札みたい。すごいけど、その前に。

 

「いや、早くない!? さすがに早くないかな!?」

「うむ。間違い無く早いぞ。どうやらエリーゼは、魔法にもしっかりと才能があったようじゃな」

 

 私の叫びにドラコちゃんが律儀に反応してくれた。嬉しい。とても良い子。

 

「急に撫でるな!」

「え、だめかな?」

「…………。許すのじゃ」

「やった」

 

 みんなそれぞれの撫で心地があるから、ついつい撫でたくなる。ちなみにドラコちゃんの髪は固さと柔らかさがちょうどいいバランスの不思議な髪だ。なでなで。

 

「リオさん、ありがとうございます。明日、調合を試して、学園長に見せようと思います」

「ん。がんばれ」

「はい……!」

 

 そう言って、エリーゼちゃんは自分の世界に帰っていった。まだお昼前だったけど、実際に調合をしたりと本番に備えるのかもしれない。

 ちょっとだけ心配だけど、リオちゃんが言うにはエリーゼちゃんも才能があるらしいし、きっと大丈夫だ。

 でもやっぱり、心配だな……。せめて晩ご飯とか作ってあげたいって思うのは、過保護なのかな。

 少し悩んでいたら、いつの間に側にいたのかクロが私の服の袖をひっぱってきた。

 

「うん? クロ、どうかした?」

「ん。いく」

「えっと……。どこに?」

「エリーゼ」

「ええ……」

 

 それは……いいの? さすがに勉強中のエリーゼちゃんを邪魔したくないんだけど。一人で集中したい時もあるだろうし。そういう時に邪魔されるとわりと怒るものだよ。

 

「いく。いっしょ。だめ?」

「よし分かった行こうか!」

 

 まあクロのおねだりより優先されるものはないんだけどね! クロが行きたいならどこへでも行きますとも!

 

「なあ、リオ。小夜のやつ、過保護すぎんか?」

「ん……。ちょうどいいと思うよ」

「そういうものかの?」

 

 どうせ行くならお弁当を持っていってあげよう。差し入れだ!

 

「クロ! 手伝ってほしいな!」

「がんばる」

 

 姉妹の共同作業だ! 待ってろよエリーゼちゃん!

 

「あれ、大丈夫か……?」

「…………」

「目を逸らすな」

 

 

 

 お昼ご飯と晩ご飯用のお弁当をクロの亜空間に入れてもらって、私とクロはエリーゼちゃんの世界に転移した。

 転移した先は最初と同じ、エリーゼちゃんの家の裏庭。この場所は固定なのかな?

 家の扉には当然のように鍵がかかっていたけど、クロは一切気にせず扉を叩いた。勉強中だったら怒られるよ?

 案の定、エリーゼちゃんは険しい顔で出てきたけど、クロを見るとぱっと花が咲いたような笑顔になった。

 

「クロちゃん、いらっしゃい! どうしたんですか?」

「けんがく」

「見学……? いえ、いいですけど。どうぞ」

 

 エリーゼちゃんに招き入れられて、私たちは部屋の中へ。中の様子は前回と大差なかったけど、鍋の中身がちょっと変わっていた。

 透明な水色の液体で満たされてる。これは、成功品かな?

 私が鍋の中身を覗いていたら、エリーゼちゃんが嬉しそうに話しかけてきた。

 

「どうですか? 今回はちゃんとしたポーションになりました!」

「ポーション? 魔力が多すぎて失敗するんじゃ……?」

「リオちゃんの授業では魔力のコントロールも学びましたから、作れるようになったんです」

 

 それはまた……。エリクサーは意味なかったのかな。そう聞いてみたら、とんでもないとエリーゼちゃんは手を振った。

 

「ポーションだけだと、いろいろと理由をつけて退学になっていたかもしれません。でもエリクサーなら、作れる人はごくわずかです。これがあれば、きっと……!」

 

 教え損にはならないってことだね。それなら私から何か言うこともない。クロのがんばりが無駄になるなら、ちょっと私も不満に思っちゃうから。

 

「それに、リオさんのおかげで私が学びたい方向性も定まりました。合格を勝ち取ってみせます!」

 

 自信満々だね。これなら大丈夫、かな?

 でも私、知ってるんだ。自信があるのはいいことだけど、当日になると一気に不安になることもあるって。エリーゼちゃんがどうかは分からないけど、様子見はしに来てあげた方がいいかも。

 

「おうえん。いく」

 

 クロも同じことを思ったのか、エリーゼちゃんにそう言っていた。

 

「心配してくれてるんですよね……? ありがとうございます、クロちゃん」

「ん……」

 

 エリーゼちゃんがクロを撫でると、クロは気持ち良さそうに目を細めた。なんだか姉妹みたいだね。

 でも、エリーゼちゃんがわりとしっかりしてるから忘れそうになるけど、二人とも同じような背格好だから、なんだか微笑ましい光景になってる。かわいいけど。

 

「それじゃ、がんばるエリーゼちゃんに差し入れってことで。お昼ご飯にカツサンド、一緒に食べない? あと晩ご飯のお弁当もあるよ」

「ありがとうございます!」

 

 エリーゼちゃんは素直に受け取ってくれた。ここ一週間ほどで遠慮しなくなってくれて、すごく渡しやすくなったと思う。喜んでくれるし、作りがいがあるよ。

 エリーゼちゃんと一緒にお昼ご飯を食べて、あとはのんびりエリーゼちゃんの調合を見学しておいた。無事に合格できればいいな。

 

   ・・・・・

 




壁|w・)てんさいさん。
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