ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

34 / 75
閑話 エリーゼのクッキング観光

 

 私は今、猛烈に感動している……!

 

「これぐらい混ぜれば大丈夫ですか?」

「うんうん。あとは器に盛りつければ完成だね」

「分かりました」

 

 私以外にまともに立つことがなかったキッチンに、新たに一人、料理人を迎え入れることができた。料理が趣味とかそういう子ではないけど、この子の得意分野に通じるものがあるのだとか。

 得意分野は錬金術。つまりエリーゼちゃんだ。

 エリーゼちゃんは料理を教えてほしいと私に言ってきてくれた。いつも料理をもらってるから、少しは手伝いたいとのことだった。見習え魔女ちゃんたち。あ、でもへたに手を出されて邪魔されるのも困るから、今のままでいいかな……。

 

「小夜さん、味見をお願いします」

「うん」

 

 小皿に少しカレーを入れる。最初のお手伝いということで、カレーを選んだ。基本的には私は後ろから指示を出して、野菜を切ったりするのを手伝うだけにしたんだけど……。

 この子、かなり手際がいい。野菜を切るのもあっという間だ。調合とかで慣れてるってことなのかな。

 

「うん……。問題なし。美味しいよ」

「よかった……。安心しました」

 

 いやまあ、カレールウを使ってるから、そうそう変なことにはならないんだけどね。

 エリーゼちゃんが盛りつけてる間に、私は出していた調理器具たちを戻していく。これらは使わなかったものが多いんだけど、エリーゼちゃんが興味を示していたからカレーを煮込む間に教えてあげたものだ。使い方とか。

 エリーゼちゃんはすごく興味深そうに聞いてくれて、話す私も結構楽しかった。

 

「ああ、そうだ。エリーゼちゃん。よければ今度、こういったものを置いてるお店に行ってみる?」

「是非!」

 

 そういうことになった。ちなみにカレーライスは大好評でした。主にリオちゃんに。

 

 

 

 翌日。私はクロとエリーゼちゃんを連れて、ショッピングセンターに来ていた。この中にいろいろ取り扱ってる家具屋さんがあるのだ。

 ここに来るまではなかなか大変だった……。エリーゼちゃんも他の子たちと同じように、いろんなものに興味を示したから。アスファルト、車、信号機、えとせとら。説明しながらだったから、三十分程度の道のりが二時間もかかってしまった。

 あまり遅くなると晩ご飯の支度が遅れてしまう。早速見て回ろう。

 

「わあ……。クロちゃん、すごく大きな建物ですね……! こんな大きい建物、見たことがありません! 人もいっぱいです!」

「ん。とても、ひろい。たのしい」

「そうなんですね!」

 

 クロとはたまにお買い物に来るからね。いつもお菓子とか買ってあげてる。

 ちなみに他の魔女ちゃんはお留守番。あまり興味を持ってくれなかったから、みんなでぴこぴこしてる。

 家具屋さんは一階。少し歩くと、すぐにたどり着いた。

 

「わあ……!」

 

 まず最初に並んでいるのは、ベッドや布団。いやエリーゼちゃん、そっちなの? 別にいいけど。

 

「すごく快適そうです……。わあ、お布団、やわらかい……。いいなあ……」

「えっと……。買う? お金はあるけど」

「う……。もう少し、恩返ししてからで……」

「エリーゼちゃんに任せるけども」

 

 情けないことだけど、私のお金でもないし。家具屋に行ってくると言ったら、リオちゃんがぽんと渡してきたカードだ。正直あの子、本当に裏で何をやってるのか、私はとても不安だよ。

 少し歩いて、調理器具のコーナーにたどり着いた。

 

「わ……。小夜さん、これはなんですか!?」

「圧力鍋だね。えっと……。密封して鍋の中の圧力を高めるんだけど、そうすると沸点が高くなって、普段よりも高い水温で食材を加熱できるんだって。調理時間が短縮できるんだよ」

「すごい……!」

 

 仕組みは分かってくれたのかな。ちなみに私は圧力からして漠然としてるけど。もちろん今の説明はスマホで調べて読み上げただけです。

 

「エリーゼ。これ。すごい。とてもすごい。べんり」

「これは何ですか?」

「おゆ、つくる。みず、いれる。スイッチ、すぐ」

「水を入れてスイッチをつけると、すぐに沸騰するんですか!?」

「ん」

「すごーい!」

 

 エリーゼちゃんがとても子供っぽくなってる。それだけ感動するものだったらしい。確かに便利だけど。必要な時に必要なだけお湯を作れるから。カップ麺にも最適。

 

「あれ、これ、冷蔵庫、でしたっけ……? え、小さい……?」

「うん。一人暮らし用、というよりリビングとかに置ける小型のものだね。ベッドの側にも置けるから便利だよ」

「こんなに小さいのに……! 冷蔵庫って大きい道具で仕組みが複雑だと思ってました……!」

「あはは……」

 

 我が家の冷蔵庫は結構な大型だからね……。業務用ってほどじゃないけど、たくさんの魔女ちゃんに料理を振る舞うからそれ相応の大きさになってしまった。便利だけど。

 その後も、エリーゼちゃんは家具屋さんを見て回りながら何度も感動していた。特に何かを買うわけでもないのに、うるさくしてしまってちょっとだけ申し訳ない。

 店員さんからはなんだか微笑ましいものを見るような目で見られていました。

 

 

 

 家具屋さんを見て回った後は、少し軽食を取って帰ることになった。立ち寄ったのは、ショッピングモールの外側にあるカフェ。サンドイッチとコーヒーのセットだ。

 ちなみにクロとエリーゼちゃんはココア。甘いものが好きなのは見た目相応って感じだね。

 

「こちらの世界のサンドイッチは、中の具材が豊富ですね……。美味しいです」

「エリーゼ、せかい、ある?」

「ありますよ。でもすごくシンプルで、野菜と焼いた肉を挟んだだけです。ソースも何もないですね」

 

 さすがにそれは、ちょっと微妙な気もする。手軽に食べたい人向けってことかな?

 もぐもぐと食べていたら、エリーゼちゃんが言った。

 

「小夜さん。クロちゃん。今日はありがとうございました。楽しかったです」

「いえいえ。何も買わなかったけど、いいの?」

「はい。電気が必要なものは私の世界では使えませんし」

「あー……」

 

 確かにそうだ。日本の道具は便利なものが多いけど、電気が必要なものがほとんどだから。

 

「だから、電気がいらないものを、作ってみせます……!」

「おー……!」

 

 うん。エリーゼちゃんなら、いつか作れるような、そんな気がした。

 




壁|w・)実は料理が結構好きなエリーゼでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。