ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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リコリスの新居

 

 魔王との決戦から半月後、わたしたちは王宮に滞在している。魔王を倒した勇者一行、ということでもてなされている。

 わたしたちが倒したわけじゃないけど、あの魔女たちが言ったから。自分たちはこの世界の存在じゃないから、これ以上関わるつもりはない、と。勇者が倒したことにしてほしい、と。

 ディアンはかなり渋っていたけど、魔王を倒した本人からの要望なので従ったみたいだ。人々から称賛され、ディアンはかなり複雑そうな表情だけど。

 きっとこれは、勇者に選ばれたのに魔王を倒せなかったことに対する罰、なのだと思う。だからディアンはがんばってほしい。

 まあ、同じような称賛はわたしたちも受けていて、やっぱり心境は複雑だけど。

 

 

 

 そうして、魔王の討伐から一週間後の今日、大々的にパレードが開かれることになった。ディアンたちは大きな馬車に乗って、王都をゆっくりと回るらしい。見世物みたいな扱いだと思う。

 わたしも本来ならそれに参加するはずだったんだけど……。辞退させてもらった。王様を困らせてしまったけど、ディアンたちは納得してくれたから良しとする。

 そうしてパレードが始まろうかという時に、わたしはその子たちを迎えた。

 

「あの……。いらっしゃい……」

「ん。きた。リコリス。げんき? げんき?」

「う、うん。げんき、です……。わわ、顔をぺたぺたしないで……!」

 

 久しぶりに会ったクロちゃんが顔をぺたぺたと触ってくる。わたしが元気かを確かめたいというのは分かるけど、ちょっと恥ずかしいからやめてほしい。

 

「ほほう。ここが新居か! 豪邸じゃな!」

「すごいですね……」

「おっきい!」

 

 クロちゃんに続いて現れたのは、ドラコさん、エリーゼちゃん、ミリアちゃんの三人。みんな、わたしを助けてくれた人たちだ。

 そして、最後の一人。

 

「お邪魔します、と」

 

 小夜さん。魔王との戦いの時は来なかったけど、この魔女たちの実質的な頂点、とリオさんから聞いている。

 小夜さんは魔力を持たない。つまり戦うことができない純粋な一般人のはずなんだけど……。

 

「はい、みんな集合! うろうろしない! リコリスちゃんに迷惑かけちゃうでしょ!」

「えー」

「えーじゃない! ドラコちゃん、オムライス二度と作らないよ!」

「それは困るのじゃ!」

 

 小夜さんが号令をかけると、四人ともすぐに集まってきた。本当に、すごい。

 小夜さんは料理で釣ってるだけ、なんて言っていたけど、それだけならこの子たちは、特にドラコさんは従わなかったと思う。きっと信頼関係があるはず。

 少しだけ、羨ましいな。

 

「それじゃ、リコリスちゃん。改めてよろしくね」

 

 そんな小夜さんの言葉に、わたしはしっかりとうなずいた。

 

 

 

 五人を迎えた場所は、わたしの屋敷だ。二階建ての立派な豪邸で、大きな庭も完備されてる。もっとも、この庭はいただいたその日のうちの薬草畑にさせてもらったけど。

 薬草畑になった庭を見たディアンや王様は何とも言えない表情になっていたけど、わたしがもらったものをどう使っても文句はないはず。実際、文句はなかったし。

 勇者パーティの一人の屋敷ということもあってか、国の兵士が屋敷の周囲を警備してくれてる。でも屋敷の中は誰もいないようにしてもらった。メイドとかもいない。わたしの希望通りに。

 

 もちろんわたし一人で管理なんてできないから、週に一回はお掃除とかに入ってもらう予定だけど……。それ以外は、絶対に誰も入らないようにお願いしておいた。

 理由は簡単。みんながいつでも遊びに来られるように。

 

「おへや。いっぱい。すごい」

「うーむ……。クロの家もでかいと思ったが、ここはそれよりも一回りは大きいのじゃ!」

「薬草畑、羨ましいです……。私の家もこれぐらい広かったらなあ……」

「お庭広い! ウルたちも連れてきたらたくさん遊べそう!」

 

 みんなには好評みたいで、少し安心した。みんなが遊べるようにと考えたから。

 わたしが今生きているのは、この子たちのおかげだから。だからせめて、王様からもらう報償ぐらいは、みんなのために使いたかった。直接言うと必要ないって言われるだろうから、こうして用意しておく、ぐらいしかできなかったけど。

 ただ、小夜さんには見抜かれていたみたいで、屋敷を見回した彼女は苦笑いを浮かべていた。

 

「リコリスちゃん、気にしなくてよかったと思うよ? みんな、そんなつもりはなかったと思うから」

「いえ……。わたしが、やりたかったんです……」

「そっか」

「はい」

 

 そう。これはただの自己満足。だからみんなが来なくなっても、問題ない。わたしの研究室としても使えるようにしてあるから。

 

「部屋はたくさんあります、ので……。好きな部屋を、自由に使って……ください……」

「いいの? いいの?」

「はい。自分の家だと思って……大丈夫、です」

 

 それなら遠慮無く、ということで、みんなそれぞれ一室使うことになった。

 クロちゃんは、大きな窓がある日当たり良好の部屋。タオルケットを持ち込んで、ぬくぬくしながらお昼寝するつもりじゃないかな、とのこと。猫みたい。

 ドラコさんはそんなクロちゃんの隣の部屋。ドラコさんもクロちゃんに対して過保護気味みたいで、何かあればいつでも駆けつけられる場所、ということみたい。

 

 エリーゼちゃんは入り口に一番近い部屋で、調合をしたいらしい。薬草は自由に使っていいと言ったら喜んでくれた。

 ミリアちゃんも入り口に近い部屋。お友達を連れてきて遊べるように。

 小夜さんは少し遠慮していたけど、キッチンの側の部屋を使うことにしたみたい。みんなのおやつを作れるから、ということで。小夜さんの料理はとても美味しいと聞いてるから、少しだけ楽しみだ。

 そうして、みんなが使う部屋を決めたところで、街の方がとても騒がしくなってきた。

 そろそろ始まる頃合いだ。

 

「皆さん……。パレード、行きます……?」

 

 そう聞いてみると、真っ先にクロちゃんが頷いたので、行くことになった。

 




壁|w・)お昼寝スペースをゲットしました。
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