ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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魔法少女ちゃん

 

 長い梅雨も終わって、七月。もうすでに夏が始まって暑くなってきたこの時期に、新しいお友達が増えた。

 なんと、魔法少女だ。マジカルエナ、だって。まさか地球にも魔法があるとは思わなくて驚いた。クロもかなり驚いていたみたいで、初めての地球のお友達にとても興奮してるみたい。エナちゃんが帰った後も、私にくっついていろいろ話してくれたから。

 

 ただ、リオちゃんが何故か魔力を隠してなかったせいで、かなり怯えていたんだよね。だから、もう来なくなる可能性も考えていたんだけど……。

 お昼過ぎにインターホンが鳴って、出てみるとマジカルエナだった。

 本名は大久保咲ちゃんだけど、最初の印象があったからか、クロはエナと呼んでる。私たちもそう呼んでる。エナちゃんもそれでいいって言ってたし。

 

「エナ。エナ。いらっしゃい。かんげい。おちゃ。おちゃ」

 

 クロがエナを引っ張って連れてきて、椅子に座らせて。キッチンにジュースを取りに行ったクロを見送って、エナちゃんに話しかけた。

 

「いらっしゃい、エナちゃん」

「はい……。お邪魔します、小夜さん」

「もう来ないかも、なんて思ってたよ」

「あはは……。実はちょっと迷いましたけど……」

 

 ちら、とエナちゃんがリオちゃんを見る。リオちゃんは変わらず本を読んでる。今はもう魔力は隠しているらしくて、エナちゃんにも怯えた様子はない。

 

「魔力、普段は隠しているんですね……?」

「ん? 私? 隠してる。前は一緒にいた人を威圧するために隠さなかった」

「納得しました」

 

 一緒にいた人……。確か、悪の組織の幹部さん、だっけ。それほど悪い人には見えなかったけど、実は結構な悪人だったらしい。リオちゃんたちが威圧してなければ、私を人質にするつもりだったらしいし。

 

「今ではもう就職に向けて頑張ってるみたいです」

「いいことだね!」

「ちょっと複雑、です……」

 

 聞いてみると、エナちゃんは一年近く戦っていたらしいから、そんな相手がいきなり真っ当に働こうとしていたら戸惑いしかないと思う。でも戦う必要がなくなったと思えば、それはとてもいいことだ。

 こんな小さな子が命がけで戦う必要なんて、ないはずだから。

 

「エナちゃんはいい子だね」

「あう……。あの……恥ずかしいのでやめて……」

「あ……!」

 

 エナちゃんをなでなでしていたら、戻ってきたクロに見られてしまった。ぷっくりと頬を膨らませてる。

 クロはオレンジジュースをエナの前に置くと、私の手を掴んできた。

 

「ん……!」

「ど、どうしたの? クロ?」

「ん!」

「撫でてほしいの?」

 

 クロを撫でる。なでりなでり。するとクロはすぐにふんにゃりと気持ち良さそうに微笑んだ。

 

「んー……」

「もしかして、嫉妬……? クロはかわいいなあ!」

「むぎゅう」

 

 クロを抱きしめてわしゃわしゃ撫でる。撫で回す。いやあ、私の妹は本当にかわいい!

 

「あの……。リオさん、いつもこんな感じですか……?」

「こんな感じ」

「うわあ……」

 

 今どん引きしたよね!? そんなにどん引きされることじゃないと思うな!

 そうして話している間に、他の魔女ちゃんも集まってきた。最初はドラコちゃんが来て、ミリアちゃんとエリーゼちゃんが来て、リコリスちゃんも来て……。結構増えたよね。

 

「新しい子だね! ミリアはミリアだよ! この子たちはミリアの友達!」

「う、うん……」

「リコリス、です……。勇者パーティの魔法使い、です……」

「勇者パーティ……!?」

 

 うんうん。とても騒がしいけど……。とても、いいことだ。クロも嬉しそう。

 

「みんな、すごく強そうですね……。すごい魔力……」

「え? そうかな?」

「ドラコさんとリオさんが際立ってるだけで、他は普通だと思いますけど……」

 

 ふむ……。聞いた話だと、クロ、ミリアちゃん、エリーゼちゃん、リコリスちゃんが同じぐらいで、一応はクロがその中では一番上、だったかな?

 ドラコちゃんが群を抜いて魔力が多くて、そのドラコちゃんすら凌駕するのがリオちゃん、だったはず。

 うん。改めて聞くと最後の二人はわりとおかしいね!

 

「エナちゃんはそんなに、なのかな?」

 

 私が聞いてみると、エナちゃんは小さく頷いた。

 

「クロちゃんの十分の一ぐらい、です」

「そうなんだ」

 

 といことは、地球の魔法使いはそこまで強くないってことなのかな。

 そう思っていたんだけど、リオちゃんが否定してきた。

 

「勘違いしていそうだから、言っておく。エナも魔法使いとしてはわりと強い方。クロたちはかなり才能がある方で、世界によっては王宮魔導師とかにもなれる」

「え、そんなに!? クロ、すごい!」

「むふー」

 

 とりあえずクロを褒める。撫でる。幸せ時間です。

 

「あれ? じゃあ、リオちゃんとドラコちゃんって……」

「わし、自分の世界だと最強じゃからな?」

 

 そうだった。この二人が異常ってことだね!

 

「失礼なことを考えたじゃろ」

「気のせい気のせい」

 

 今後も頼りにさせてほしいところだね。リコリスちゃんの世界みたいなことがあるだろうし。

 そんな感じで、今日もいつもの一日が過ぎていく。新しいお友達が増えたおしゃべり。クロもとても楽しそうで、私も嬉しい。

 でも。どうしてリオちゃんは、少し寂しそうにしているんだろう?

 




壁|w・)プロローグの直後ぐらいです。
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