ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~ 作:龍翠
リオさんはテレビを切ると、よしと頷いて、
「あとはクロとエナに任せる。これはこの世界のことだから。もっと罰を与えたいなら止めはしない。でも殺しは避けてほしい」
慣れてほしくないから、と言ったリオさんは無表情だったけど、少し思うところがあるみたいだった。
わたしは、ちゃんと反省してくれるなら、別にいいと思う。クロちゃんは……。
「しらない。ねむい。うとうと」
「ん。じゃあ、総帥に任せるということで。いいね?」
リオさんがじっと総帥さんを見つめる。総帥さんはしっかりと頷いて立ち上がった。
「今度こそ、任せてほしい。奴らも理解しただろうからな」
「ん。次はない」
「ああ……。分かっている」
総帥さんは深く頭を下げると、部屋を出ていった。多分もう会うことはないと思う。ないはず。あったらちょっと困る。
「終わりかな? じゃあ、クロ。早く寝なさい。寝る子は育つ、だよ」
「ん……」
「エナちゃんは……一人で帰れる? 送っていこうか?」
小夜さんがそう聞いてくれるけど、わたしだって魔法少女だ。一般人には負けることはさすがにない。
でもそんなこと、小夜さんも分かってて聞いてくれてるんだと思う。やっぱりクロちゃんのお姉ちゃんだなって。優しい人だ。
「私が送っていく。エナ、転移でいい?」
「あ、はい。ありがとうございます、リオさん」
「ん」
「そっか。じゃあよろしく、リオちゃん」
ついに舟をこぎ始めたクロちゃんを小夜さんがおんぶして、部屋に連れて行く。ちょっとだけ、羨ましい。わたしもお母さんにお願いしたら、まだやってくれるかな?
「エナ。行くよ」
「あ、はい」
「上空に転移するから、空を飛ぶ準備をしてほしい」
「分かりました」
リオさんの魔法で、私の家の上空へ。もう夜も遅いからか、町中の家の明かりは少なくなってる。わたしの家も、わたしの部屋以外は真っ暗だ。
そのわたしの部屋も小さい明かりがあるだけ。お母さんたちに何か言われても言い訳できるように最低限にしていたから。
「それじゃ、エナ。またあの家で」
「はい。ありがとうございました」
リオさんに手を振って別れて、部屋に戻る。なんだかいろいろあった日だったけど……。無事に終わって良かった、かな。
またクロちゃんが学校に来てくれたら嬉しいけど……。たまには来てくれるって言ってたし、それに期待しよう。といっても、もうすぐ夏休みなんだけどね。
それから、数日後。クロちゃんが学校に来たのは終業式の日だった。
「いやクロちゃん、せめて授業がある日に来ようよ!?」
「たいくつ」
「先生が泣くからやめて!?」
先生の授業は別に下手というわけじゃない。むしろすごく分かりやすいと思う。クロちゃんは、ただ単純に先を勉強しちゃってるだけだから。
「あ、クロちゃん今日は学校に来てる!」
「終業式だけ来るなんてずるい!」
そう言ってきたのは、あの時一緒に遊んだクラスメイト二人。嫌みを言ってるわけじゃなくて、笑顔で言ってるからからかってるんだと思う。
でもクロちゃんはちょっと真面目に取ってしまったみたいで、しゅんとしてしまった。なんだかぺたんとしてしまった猫耳が見える気がする。
「ごめん……」
「え!? あ、違うの! 怒ってるとかじゃないから!」
「むしろまた遊ぼうね! 夏休みとか!」
「ん……」
二人に撫でられて、クロちゃんも悪い気はしてないみたい。友達とはまだ思ってないのかもしれないけど、このまま仲良くなってくれたらいいな。
あ、そうだ。夏休み。明日から夏休みだ。
「クロちゃん、夏休みの予定は? どこか行ったりするの?」
「きゃんぷ。みんな。もり。もふもふ」
「うん……?」
えっと……。あ、多分、ミリアちゃんの世界にお泊まりに行くってことかな。ミリアちゃんの世界は広い森があって、すごく気持ちいいんだとか。
「おとまり。たくさん。たのしみ」
「そっか」
せっかくなら、わたしの家族のキャンプに来ないかなって思ったけど……。クロちゃんにとっては、知ってる魔女たちと一緒の方がいいかもしれない。何も言わないでおこう。
「あまり一緒に遊べそうにないね」
「残念。クロちゃん、二学期はもっと学校に来てね?」
「ん……。かんがえる」
ちゃんと来てくれたら、わたしも嬉しい。でもクロちゃんは自由にのんびりしてる方がクロちゃんらしいと思うし……。これからもあのお家に行って、誘えば来てくれるかな?
「クロちゃん。またお家に遊びに行くね」
「ん」
私がそう言うと、クロちゃんはどことなく嬉しそうに頷いてくれた。
壁|w・)事件発覚から半日足らずで解決。
魔女のお膝元で事件なんて起こそうとするから……。