ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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閑話 悪の組織の秘密基地(前編)

 

「組織力。それが我らの強みだ」

「そうですね。あらゆることにマンパワーを使うことができます」

「構成員それぞれの得意分野をまずは洗い出しましょう」

「それぞれの分野に割り振って、我らの知名度を上げていけばいいかと」

「うむ」

 

 あたしたち、俗に言う悪の組織の上位陣の話し合い。それぞれ勝手に生きろ、というのはさすがに酷だから、あたしたちは一つの会社を立ち上げることにした。

 もっとも、まだまだ何も決まってないけどね。けれど人も資金も大量にあるんだ。急いで決める必要はない。

 急ぐ必要があるのは、あたしたちを見ている、あの子について。

 

「もぐもぐ」

 

 小さいチョコ菓子を食べながら、こちらを見つめる子供。クロだ。あたしたちの話し合いをじっと見ていて、正直とても怖い。突然転移してきたと思ったら居座りやがった。

 

「おい……! お前の知り合いだろ! どうにかしろ!」

 

 そう小声で、幹部の一人が言ってくる。

 

「バカ言ってんじゃないよ! 少し話したことがあるだけだ! 総帥! あなたが適任でしょう!」

「無理だ。殺されかけた。関わりたくない」

「これが元とはいえ世界征服を企んだ総帥の姿か……!?」

 

 あまりにも情けなさすぎる。それだけクロという少女が脅威だということだけど。情けないとみんなが言いつつ、ならば自分がとは誰も言わないのがいい証拠だ。

 仕方なく、あたしが話しかけることにした。

 

「あー……。クロ、だったね。どうやってここに来たんだい?」

「てんい。ししょう」

 

 なるほど、転移魔法。あの化け物が何かしたなら、正直何でもありだ。

 

「じゃあ、何しにここへ? 見ての通り、あたしらは忙しいんだ。遊びたいなら他に行ってくれるかい?」

「けんがく。かんし? する」

 

 監視、ね。当たり前だけど、あの化け物の信用は完全になくなっているらしい。原因となった幹部二人に視線を向ければ、気まずそうに目を逸らした。

 せめてこの二人も謝りに行けばいいのに……。いや、無理か。正直あたしも、進んで会いたい相手ではない。

 

「たんけん」

「は?」

「ひみつきち。たんけん。だめ?」

「あー……」

 

 監視というより、それが目的らしい。それならこの子が来たのも納得だ。この子、強さはともかく、性格や趣味は子供っぽいところがあるらしいからね。

 エナからは、クロちゃんは魔法少女が好き、と情報を得ている。アニメで見るような、魔法少女の敵の秘密基地に興味があるってことだろう。

 それなら、あたしたちがやることは単純だ。

 

「クロ、だったね」

「ん」

「ここは、いわゆる普通の会社になるんだ」

「ん……」

「でも今はまだ準備段階でね。よければ、以前までを再現してやろうか?」

 

 そう提案すると、クロは目をまん丸にして、何度も頷いた。本当に、この仕草だけならとてもかわいらしい子なんだけどね。

 

「おい、そんな勝手に……」

「それで満足して帰ってくれるなら十分じゃないかい?」

「…………。違いない」

 

 そんなわけで。悪の組織プレゼンツ、悪の組織の秘密基地探検ツアーだ。

 …………。我ながら何言ってんだが……。

 

 

 

 一時間ほどで、準備は整った。

 

「まずは、入り口だね」

 

 あたしらのアジトは浮遊島だ。総帥が己の魔力と知識と異世界の道具とやらで作り出したもので、千人程度が住み込みで働けるほどの大きさの島が浮いている。その島にあるドームがあたしたちのアジトだ。

 そのドームの入り口は巨大な門。両開きの門で、一人では開けられないほどの重さがある。

 

「おー……」

「こんな場所にあったんですねー……」

「すごーい!」

「…………。今更だけどなんで増えてんだよ……」

 

 見学者はクロだけじゃなく、エナと、そしてミリアという少女。このミリアとやらも魔力量がすごい。こわい。

 

「まさか敵対していた魔法少女にアジトの案内をすることになるなんて思わなかったよ……」

「あはは……。よろしくお願いします」

「はいはい」

 

 今後は真っ当に生きていくからいいんだけどね。

 三人を案内して門をくぐる。するとそこは、各部屋へ繋がる大広間だ。構成員の控え室でもあるそこは、たくさんのテーブルや椅子が並んでいる。今もたくさんの構成員が控えていた。

 

「いっぱい。てき。エナ。どかーん?」

「しないよ!?」

 

 変なことは言わないでほしい。あいつら震えちゃってるから。

 

「幹部さん幹部さん!」

「あー? ミリア、だっけ。なんだい?」

「鳴き声はないの? イーッ、みたいな!」

「…………」

 

 アニメでもあるまいし、そんなものあるはずがない。それにこいつらは、中身は普通の人間だったりする。強化スーツで一般人より強いというだけだ。

 でも。

 

「わくわく」

「わくわく」

「…………」

 

 二人からの、クロとミリアの視線が痛い。おいこら、エナ、目を逸らして知らんぷりするんじゃない……!

 構成員どもに目を向ける。すぐに察してくれたらしい。

 あのアニメのザコどもと同じようなポーズを全員が取り、そして言った。

 

「イイイーーーッ!」

 

 完全にやけくそだった。ごめん、ほんっとうにごめん……!

 

「わあ」

「アニメそっくり! すごーい!」

 

 でも魔女たちは喜んでくれた。今はそれを喜ぼうじゃないか。

 だからエナ。複雑そうな顔をするんじゃない。あたしたちも情けないよ……!

 




壁|w・)一般構成員さんのがんばり。
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