ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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閑話 悪の組織の秘密基地(後編)

 

 次に案内したのは、研究室だ。研究室では怪人が作られている。

 

「かいじん。うまれる。ここ?」

「ああ、そうだよ」

「おー……」

 

 今となってはもう稼働していないが、生物兵器を数多く作り出した部屋だ。

 人を不幸にするために生まれ、そして魔法少女によって討伐されていった兵器たち。エナも思うところがあったのか、少し神妙な顔だ。

 作り物とはいえ、正真正銘の生きた兵器だったからね。やはり後味の悪さはあったんだろう。ざまあみろ、てやつだね。

 

「動物を作って、戦わせたの?」

「そうだよ」

「ふうん……」

「あー……。今はやってないからね?」

「うん」

 

 やばい。このミリアという子にとっては何かしらの逆鱗に触れるものだったらしい。かなり不愉快そうな顔で、そしてすさまじく不機嫌そうだ。これはさっさと移動した方が得策だね。

 

「次に行くよ」

 

 あたしが促すと、魔女たちは大人しくついてきてくれた。

 

 

 

 次に案内したのは、ドームの地下。地下一階は構成員たちの私室があり、地下二階があたしら幹部の部屋と訓練室になる。

 さすがに他の幹部の部屋は見せられないから、あたしの部屋だけ見せておいた。それも避けたかったのが本音だけどね。

 

「うわあ……。全然女性っぽくない……」

「エナはあたしに何を求めてんだい?」

 

 あたしの部屋は実用性一辺倒だ。必要最低限の家具しか置いてない。飾りっ気なんてものは皆無だね。あいにく、女の子らしい趣味というものもなかったわけだし。

 

「ぬいぐるみ。いる?」

「かわいいペットとか……」

「ほっといてくれ」

 

 今のところ何も必要ない。いずれ何か趣味ができれば、増やすつもりさ。

 そうして、次。最後に案内するのは、地下三階。あたしらの会議室と、総帥の部屋だ。さすがに総帥の部屋を見せるわけにはいかない、と思っていたけど、総帥からは許可をもらったので見せることになっている。変な疑いを持たれたくないんだろうね。

 会議室は、大きな円卓に椅子が九ほど並ぶ部屋だ。幹部が四人、幹部補佐も四人が座る円卓だったんだけど、幹部の一人と補佐の四人は真っ先に逃げ出してしまった。今思えば、一番賢い選択をしていたと思う。

 今となっては四人しか座らない寂しい円卓だ。その円卓に、総帥と幹部二人が集まっていた。

 

「ようこそ、魔法少女とその仲間たちよ。よくぞここまでたどり着いたものだ。生きては戻れないと分かっているだろうな?」

 

 ああ、さすがだよ総帥。貫禄たっぷりだ。それでこそ……。

 

「ん……。しょす?」

「冗談だやめてくれ」

 

 前言撤回。情けない。仕方ないとは分かっているけど。

 

「さて、ここがゴール地点となるが……。いかがだったかな、我々の秘密基地は」

「ひろい。すごい」

「アニメそのままでした!」

「ははは。作ったかいがあったというものだよ」

 

 そう言う総帥の顔は、どこか嬉しそうにも見える。もしかしたら、話の分かる誰かに自慢したい気持ちもあったのかもしれないね。もう手遅れってやつだろうけど。

 

「席は余っている。よければ座ってほしい。心配しなくても罠などない」

「わな。へいき」

「うん……。しってた」

 

 もう、何も言うまい。

 空いている席に魔女たちが座る。あたしも座れば、久しぶりに多くの席が埋まった。これほど多くの席が埋まるのは久しぶりだね。

 

「せっかくだ。ゆっくりしていってほしい」

 

 総帥が指を鳴らす。するとたくさんの菓子が円卓に並んだ。

 

「おかし」

「おかしだ!」

 

 クロとミリアが早速とばかりに手を伸ばす。毒を疑わないのはこの子らしいと言うべきか。そもそも通じないからかと考えるとなんとも言えない気持ちにもなる。

 美味しそうにお菓子を頬張る魔女たちを見ると、なんだか毒気を抜かれた気持ちになるね。

 まあ……。これでよかったのかもしれないね。

 あたしたちの世界征服は、くだらない戦争があまりにも多いからと始まったものだ。世界統一し、絶対君主が支配し、戦争を根絶する。それが、目的だったんだけどね……。

 

 手段を間違えた。それに尽きる。多くの命を弄び、悪事を働いた。真っ当な手段を徹底していれば、この魔女たちが協力してくれたかもしれないのに。

 けれど、やはり今更だ。すでにあたしたちの組織は瓦解したも同然。今後悪事を働けば、おそろしい化け物が出てくる。もう再起は不可能だ。

 無念だ。残念でもある。そして、これで良かった、とも思う。

 

「おかし。おいしい」

「おいしいね!」

「わ……。ほんとだ……」

 

 最初の、本当の、きっかけは。

 子供たちの笑顔。ただ、それだけだった。

 総帥を見る。美味しそうにお菓子を頬張る小さな魔女たちの様子に、頬を緩ませている。それは他の幹部も同じだし、あたしもそうだ。

 ああ、そうだとも。真っ当に、世の中を変えていけばいいじゃないか。

 

「総帥」

「ああ……。そうだな」

 

 人も金も大量にある。ならば、それらを湯水のごとく使い、できるところまで行こうじゃないか。

 そうして、あたしたちの組織は再出発をするのだ。

 次は間違えない。間違えたとしても、止めてくれる魔女がいる。

 だが、とりあえず今は。

 

「ほら、これも食べな」

「ん……!」

 

 この小さな魔女たちをちゃんと歓待してやらないとね。

 




壁|w・)なんかえらそうなこと言ってますが、ただの悪人組織です。
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