ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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ついに貴族を拉致しました

 

「おきゃくさま!」

「え。え。え」

 

 夜。晩ご飯を終えて寝る準備をしていたら、クロが同じぐらいの背の女の子を連れてきていた。おねむのはずだったクロは、今はもうぱっちりと起きてしまってる。まあ新しい子が来てるのに眠れるような性格じゃないよね。

 

「あ、こ、ど……」

 

 連れてこられた子は大混乱って感じだ。きっと唐突に来ちゃったんだろうなあ。

 クロが連れてきた子は、淡い金髪の女の子だ。首元までの長さだね。服装は、なんだかとても簡素な服。シャツにスカート、ただそれだけ。なんだか上品そうな子なのに、服が適当すぎて違和感がすごい。

 ともかく、クロのお友達候補だ。歓迎しなければ。

 

「いらっしゃい。お名前は?」

「え? あの……。わたくしは、アイカシア・クレバルです。クレバル伯爵家の長女です」

「貴族……だと……!?」

 

 クロの魔法はついに貴族を拉致る暴挙を犯したらしい。間違いなくやらかしちゃってる。しかも伯爵って結構高い方では?

 クロは意味が分かってないみたいだけど。首を傾げてるのがかわいいです。今までのお友達も、貴族と直接関わってる子はいなかったからね。

 あ、いや、エリーゼちゃんとかリコリスちゃんは繋がりがあったかな……。それでも繋がりがあるだけで、直接話してはいないはずだけど。いないよね?

 

「あの……。ここは、どちらでしょう?」

「わたし。おうち。みんな。おうち。おともだち。あそぶ!」

「えっと……」

 

 アイカシアちゃんが助けを求めるようにこっちを見てくる。さすがに意味が分からなかったみたい。

 

「ここは私たちの家だよ。簡単に説明するとね……」

 

 そうしてアイカシアちゃんに説明していく。クロの境遇とクロの魔法について。アイカシアちゃんはクロの魔法にかなり驚いてるみたいだった。

 

「すごい……。ということは、ここは異世界なのですか?」

「うん。そうだね。アイカシアちゃんはどうやってここに来たの? 丸い光に触れた?」

「いえ……。気付けばこのお屋敷の庭にいました」

「うん……?」

 

 あれ、なんだろう。初めてのパターンだ。こういう時は。

 

「教えてリオ先生!」

「先生言うな」

「ん。おしえて。師匠」

「いいよ」

 

 この子クロに甘すぎませんかね!? でも仕方ないね! クロはかわいいからね! さすがは私の妹だよ撫でちゃうなでなで!

 

「小夜、テンション高い?」

「眠いからね!」

「ん……。だろうね」

 

 夜更かし特有のハイテンションになりかけてるだけだから気にするな!

 

「多分、ベッドとか寝る場所に例の穴ができたんだと思う。ただそれだけ」

「ええ……」

 

 いや、うん。単純明快だけど、それ、アイカシアちゃんにとってはトラップもいいところだと思うよ。寝ようとしたらいきなり飛ばされた、みたいなことになってるんじゃないかな。

 

「あの……」

 

 そこまで考えていたところで、アイカシアちゃんから声をかけられた。

 

「どうすれば、戻れますか? わたくしはすぐに戻らなくてはならないのです」

「戻るのは簡単だけど……。何か事情があるの?」

「わたくしは、聖女なのです」

「はあ……?」

 

 聖女。うん。何かの肩書きとか称号とか、そういうのだろうけど……。どういうことだろう?

 

「おともだち。だめ?」

 

 すぐに帰りそうな気配を察したのか、クロがちょっとだけ悲しそうに聞いた。

 

「あ、その……。お友達は、わたくしも、とても嬉しいのですが……。ごめんなさい、帰らないといけないんです。わたくしの世界が危なくなりますから……」

「んー……」

 

 お友達になることはだめじゃない、と。ふむ、ならば。

 

「行くか」

「だね」

「ん!」

「え?」

 

 みんなでアイカシアちゃんの周りに集まる。アイカシアちゃんは戸惑ってるけど、気にしないでほしい。勝手についていくだけだから。

 

「さ、アイカシアちゃん。帰りたいと念じて。そうすれば帰れるから」

「はあ……。では……」

 

 アイカシアちゃんが両手を組んで祈り始める。するとすぐに一瞬だけ光に包まれて、私たちは知らない部屋にたどり着いていた。

 

「なにこれ。牢屋?」

 

 それが私の最初の感想。いや、だって、石造りの部屋だよ。家具とかはちょっと高級そうだけど、全体的な雰囲気がなんだかすごく寒い。なんだここ。

 

「え」

 

 アイカシアちゃんは私たちを見て固まってる。一緒に転移してきてるのは予想外だったらしい。

 

「あいか……あいしあ……。あう……」

「あ、えと、クロさん、ですよね? 呼びにくければシアでいいですよ。家族からはそう呼ばれていましたから」

「シア! ここ。シア。おうち?」

「はい。わたくしの、暮らしている場所です」

 

 微妙に訂正を入れた、ということは、家ではないんだね。あくまで暮らしている場所、と。なんだか複雑な事情がありそうだ。

 




壁|w・)条件を満たせば誰だっていいって言ってたもん! byクロの魔法
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