ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

68 / 75
シアのおとまり

 

 お風呂の後は、ゲーム、というものをやることに。ボードゲームを教わりました。リバーシ、という遊びだそうです。わたくしの世界にはない遊びですね。

 

「なるほど、挟めばひっくり返せると……」

「そう」

 

 教わりながら、クロさんと一緒に遊んでみます。その時その時で置くのではなく、先の展開を読んで……ふむ……。

 

「こうですね」

「…………」

「まさか一回目でクロに勝つとは……」

 

 教わりながらではありましたが、わたくしが勝ちました。これは単純ですが、奥深いゲームです。先を読む訓練にもなりそうですね。

 

「ん……。つぎ。あどばいす、だめ。しんけん」

「はい!」

 

 先ほどは教わりながらだったので、今度は真剣勝負です。

 そうして三回勝負して、三回勝ちました。結果として、クロさんが拗ねてしまいました。

 

「シア、きらい」

「あわわわ……」

 

 ど、どうしましょう? そっぽを向いちゃっています。わたくしが何を言っても聞いてくれません。つーん、としています。

 

「見事な負けっぷりじゃったな! クロは弱いからな!」

「ドラコ、きらい」

「冗談じゃよ!?」

 

 そしてドラコさんが火に油を注いでいます。クロさんは頬を膨らませて、つーんとしています。かわいらしいのですけど、ちょっと困ったことになってしまいました。

 どうしていいか分からずに、皆さんと一緒におろおろしています。どうすればいいのでしょうか。

 そう思っていたら、小夜さんが来てくれました。

 

「ほーら、クロ。ゲームなんだから拗ねないの」

「むう」

「リオちゃんに負けても、クロは何も言わないでしょ?」

「師匠。つよい。しかたない」

「今回もシアちゃんが強かっただけだからね。ほらほら、せっかく遊びに来てくれたんだから、そんな態度を取っちゃったら来てくれなくなっちゃうよ」

「さびしい。だめ」

「そう思うならごめんなさいしようね?」

 

 わたくしとしては、逆に申し訳ない気持ちになってしまうのですが……。けれどクロさんはわたくしの方にとことこと歩いてきて、しょんぼりと頭を下げました。ごめんなさい、と。

 

「いえ……。わたくしの方こそ、すみません。手加減するべきでした」

「ちょ」

「え?」

 

 クロさんを見ます。ぷっくり頬を膨らませています。あれ?

 

「アイカシア様……。煽ってどうするんですか……」

「え。あの。ちが、ちがいますよ!? そういう意味じゃ……!」

「たおす。たおす。ぶちのめす」

「クロさん!?」

 

 クロさんの言動がなんだかすごく過激になっちゃっています……! ごめんなさい、謝りますから、いつもの無邪気なクロさんに戻ってください……!

 ちなみに、そんなクロさんの機嫌は、わたくしが三連敗するまでおさまりませんでした。怒ったクロさんはとても攻撃的で、すごく強かったです……。

 

 

 

 夕方までリバーシや他のボードゲームで遊んで、晩ご飯。晩ご飯はハンバーグというものでした。クロさんの大好物だそうです。大きいお肉の塊、と思ったのですが、挽肉にいろいろとまぜてこねて焼いたもの、なのだとか。よく分かりません。

 焼いた見た目は塊のお肉のようにも見えましたが、確かにそれにしては形が整いすぎています。けれど、美味しそうなのは間違いありません。

 

「しかも今回は特別仕様だ!」

 

 そう小夜さんが叫ぶと、魔女たちがなぜか拍手をしていました。

 出されたお皿には、千切りのキャベツとハンバーグが二個。あとはご飯とお味噌汁です。このお味噌汁というものも、初めて食べましたが良い味でした。

 ハンバーグはこんがりと焼けていて、お肉とは全く違う不思議な食感です。それでいて肉汁がしっかりとあって、とても美味です。

 これが通常のハンバーグだそうです。では、特別仕様というのを……。

 

 食べてみると、中から何かが出てきました。これは、チーズでしょうか。とろとろに溶けたチーズがハンバーグに絡んで、これもとても美味しいです。

 この世界の料理はどれも美味しいですね。正直、クロさんたちがとても羨ましくなってしまいます。

 もちろん、わたくしの世界の料理も決してまずいというわけではありません。ですが、調味料の類いの種類がこの世界と比べると明らかに少ないのです。仕方ないのは当然なのですが。

 

「シアちゃん。今後もいつでも食べに来てくれていいからね。歓迎するから」

 

 小夜さんの言葉に、わたくしとセーラは一も二もなく頷きました。

 そうして晩ご飯を食べ終えた頃、彼女はやってきました。

 

「きた」

「師匠。おかえり。師匠」

「ん。よしよし」

 

 リオさんがふっと現れました。光も何もなく突然に。これも転移魔法なのでしょうか。

 クロさんがリオさんに駆け寄って甘えています。リオさんもそんなクロさんを撫でていて、信頼関係が伝わってきますね。

 

「師匠。できた?」

「もう少し。あとで手伝ってね」

「ん。がんばる」

 

 そんな、会話。何かを作っているのでしょうか。

 最後にお風呂をいただいて、セーラは先に帰ることになりました。あちらで夕食をもらっておかないと、いろいろと怪しまれることになるためですね。

 食べないものをもらうのは確かにもったいないのですが、この世界のことやあの石のことを知られると、貴族たちがどのような反応をするか分からず、怖いです。

 そうて、夜。

 

「おとまり。どうぞ。どうぞ」

「お、おじゃまします……?」

 

 クロさんに案内されたのは、クロさんの私室です。

 なんというか……。物であふれています。

 大小様々なぬいぐるみや、よく分からない道具。何かの液体が入った容器が転がっていたりと、ちょっと怖いです。クロさんが言うには、たまに片付けるように怒られてしまう、とのこと。当然だと思います。

 

「ねる。ねよう。いっしょ。どうぞ」

「あの……。いいのですか?」

「ねる」

「あ、はい」

 

 何故かクロさんと同じベッドで眠ることになりました。

 お友達の家でお泊まりというのも初めてなのに、こうして同じベッドで眠るなんて……。なんだか、不思議な体験です。

 初めてがとても多い日でした。とても有意義で、楽しい一日でした。今後もこうした日があれば、わたくしはずっと頑張れそうです。

 でも、クロさん。抱き枕にされると、ちょっと暑いですよ……?

 




壁|w・)なかよし!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。