ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~ 作:龍翠
お風呂の後は、ゲーム、というものをやることに。ボードゲームを教わりました。リバーシ、という遊びだそうです。わたくしの世界にはない遊びですね。
「なるほど、挟めばひっくり返せると……」
「そう」
教わりながら、クロさんと一緒に遊んでみます。その時その時で置くのではなく、先の展開を読んで……ふむ……。
「こうですね」
「…………」
「まさか一回目でクロに勝つとは……」
教わりながらではありましたが、わたくしが勝ちました。これは単純ですが、奥深いゲームです。先を読む訓練にもなりそうですね。
「ん……。つぎ。あどばいす、だめ。しんけん」
「はい!」
先ほどは教わりながらだったので、今度は真剣勝負です。
そうして三回勝負して、三回勝ちました。結果として、クロさんが拗ねてしまいました。
「シア、きらい」
「あわわわ……」
ど、どうしましょう? そっぽを向いちゃっています。わたくしが何を言っても聞いてくれません。つーん、としています。
「見事な負けっぷりじゃったな! クロは弱いからな!」
「ドラコ、きらい」
「冗談じゃよ!?」
そしてドラコさんが火に油を注いでいます。クロさんは頬を膨らませて、つーんとしています。かわいらしいのですけど、ちょっと困ったことになってしまいました。
どうしていいか分からずに、皆さんと一緒におろおろしています。どうすればいいのでしょうか。
そう思っていたら、小夜さんが来てくれました。
「ほーら、クロ。ゲームなんだから拗ねないの」
「むう」
「リオちゃんに負けても、クロは何も言わないでしょ?」
「師匠。つよい。しかたない」
「今回もシアちゃんが強かっただけだからね。ほらほら、せっかく遊びに来てくれたんだから、そんな態度を取っちゃったら来てくれなくなっちゃうよ」
「さびしい。だめ」
「そう思うならごめんなさいしようね?」
わたくしとしては、逆に申し訳ない気持ちになってしまうのですが……。けれどクロさんはわたくしの方にとことこと歩いてきて、しょんぼりと頭を下げました。ごめんなさい、と。
「いえ……。わたくしの方こそ、すみません。手加減するべきでした」
「ちょ」
「え?」
クロさんを見ます。ぷっくり頬を膨らませています。あれ?
「アイカシア様……。煽ってどうするんですか……」
「え。あの。ちが、ちがいますよ!? そういう意味じゃ……!」
「たおす。たおす。ぶちのめす」
「クロさん!?」
クロさんの言動がなんだかすごく過激になっちゃっています……! ごめんなさい、謝りますから、いつもの無邪気なクロさんに戻ってください……!
ちなみに、そんなクロさんの機嫌は、わたくしが三連敗するまでおさまりませんでした。怒ったクロさんはとても攻撃的で、すごく強かったです……。
夕方までリバーシや他のボードゲームで遊んで、晩ご飯。晩ご飯はハンバーグというものでした。クロさんの大好物だそうです。大きいお肉の塊、と思ったのですが、挽肉にいろいろとまぜてこねて焼いたもの、なのだとか。よく分かりません。
焼いた見た目は塊のお肉のようにも見えましたが、確かにそれにしては形が整いすぎています。けれど、美味しそうなのは間違いありません。
「しかも今回は特別仕様だ!」
そう小夜さんが叫ぶと、魔女たちがなぜか拍手をしていました。
出されたお皿には、千切りのキャベツとハンバーグが二個。あとはご飯とお味噌汁です。このお味噌汁というものも、初めて食べましたが良い味でした。
ハンバーグはこんがりと焼けていて、お肉とは全く違う不思議な食感です。それでいて肉汁がしっかりとあって、とても美味です。
これが通常のハンバーグだそうです。では、特別仕様というのを……。
食べてみると、中から何かが出てきました。これは、チーズでしょうか。とろとろに溶けたチーズがハンバーグに絡んで、これもとても美味しいです。
この世界の料理はどれも美味しいですね。正直、クロさんたちがとても羨ましくなってしまいます。
もちろん、わたくしの世界の料理も決してまずいというわけではありません。ですが、調味料の類いの種類がこの世界と比べると明らかに少ないのです。仕方ないのは当然なのですが。
「シアちゃん。今後もいつでも食べに来てくれていいからね。歓迎するから」
小夜さんの言葉に、わたくしとセーラは一も二もなく頷きました。
そうして晩ご飯を食べ終えた頃、彼女はやってきました。
「きた」
「師匠。おかえり。師匠」
「ん。よしよし」
リオさんがふっと現れました。光も何もなく突然に。これも転移魔法なのでしょうか。
クロさんがリオさんに駆け寄って甘えています。リオさんもそんなクロさんを撫でていて、信頼関係が伝わってきますね。
「師匠。できた?」
「もう少し。あとで手伝ってね」
「ん。がんばる」
そんな、会話。何かを作っているのでしょうか。
最後にお風呂をいただいて、セーラは先に帰ることになりました。あちらで夕食をもらっておかないと、いろいろと怪しまれることになるためですね。
食べないものをもらうのは確かにもったいないのですが、この世界のことやあの石のことを知られると、貴族たちがどのような反応をするか分からず、怖いです。
そうて、夜。
「おとまり。どうぞ。どうぞ」
「お、おじゃまします……?」
クロさんに案内されたのは、クロさんの私室です。
なんというか……。物であふれています。
大小様々なぬいぐるみや、よく分からない道具。何かの液体が入った容器が転がっていたりと、ちょっと怖いです。クロさんが言うには、たまに片付けるように怒られてしまう、とのこと。当然だと思います。
「ねる。ねよう。いっしょ。どうぞ」
「あの……。いいのですか?」
「ねる」
「あ、はい」
何故かクロさんと同じベッドで眠ることになりました。
お友達の家でお泊まりというのも初めてなのに、こうして同じベッドで眠るなんて……。なんだか、不思議な体験です。
初めてがとても多い日でした。とても有意義で、楽しい一日でした。今後もこうした日があれば、わたくしはずっと頑張れそうです。
でも、クロさん。抱き枕にされると、ちょっと暑いですよ……?
壁|w・)なかよし!