ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~ 作:龍翠
夜。私が大広間でココアを飲んでいると、お風呂の方から楽しげな笑い声が聞こえてきた。これは、シアちゃんの笑い声だね。楽しそうで何よりだ。
最近よく来るようになったシアちゃんは、必ず最後にお風呂に入っていく。どうにもお風呂が好きらしい。ここに来る前はお風呂なんて入れなかったらしいから、そのうっぷんもあるのかも。
お風呂なら、銭湯とか気に入ってくれそうだよね。大きいお風呂はここのお風呂で十分だろうけど、銭湯には銭湯の魅力もあるから。
この家の近くにも、小さいけど銭湯がある。大浴場の他はサウナと水風呂、露天風呂だけととてもシンプルだけど、その分値段が安いのが特徴だ。連れていってあげようかな?
「というわけで」
「んむ」
お風呂から出てきてとことこ出てきたクロを捕獲。膝の上にのせると不思議そうに首を傾げた。とてもかわいい。
「明日、シアちゃんと銭湯に行かない?」
「いく!」
即答だね。よし、それじゃ明日は銭湯だ。
そんなわけで、翌日。クロとシアちゃんを連れて銭湯に来ました。
「ここが銭湯? ですか?」
「そう」
「知らない人とお風呂に入るというのは、不思議な文化ですね……」
シアちゃんの世界ではあまりないのかな?
施設の扉を開けて中に入る。少し広めの部屋の奥に番台があって、その両隣に脱衣所に続くドアがある。右側が男湯、左側が女湯だね。他にもこの部屋にちょっとしたお店もあって、当然のように冷たい牛乳も売ってあった。
「おねえちゃん。のみたい」
「お風呂の後にしようね」
「ん」
クロをなだめて、お金を払って脱衣所へ。服を脱いで、早速風呂場へ入っていく。
「わあ……」
大浴場を見て、シアちゃんが驚いたような声を上げた。
私たちの家のお風呂も広いけど、やはりこっちの方が一回り大きい。それにシアちゃんにとっては、お風呂場に知らない人がいるのもなかなか不思議な状態だろうね。
「あらあら。小夜ちゃん、こっちに来るなんて珍しいわね」
「どうもー」
お風呂に入ってるおばさんに話しかけられたので適当に挨拶を返す。銭湯に来る人ってみんなフレンドリーだよね。
「クロちゃんも、こんばんは」
「ばんわ」
「そっちの子は……お友達? 外国人?」
おばさんに見られて、シアちゃんがちょっとたじろいでる。気持ちは分かるけど、落ち着いてほしい。
「すみません、人見知りする子なので……」
「あら……。そうなの。じゃあ黙っておくわね。ごゆっくり」
「どうも」
ちょっと圧が強いおばさんだけど、悪い人じゃないんだよね。こうして気を遣ってくれるし。
三人で体を洗って、湯船に浸かる。とりあえずはゆっくりと。
「ちょっと……落ち着きません……」
「そっか。知らない人が多いのはやっぱり気になる?」
「はい……」
「みんな、やさしい。だいじょぶ」
クロがシアちゃんを撫でる。シアちゃんは薄く微笑んで頷いた。なんだかクロがお姉ちゃんみたいだ。しっかりしてるのはシアちゃんに思えるけど。
「じゃあ、露天風呂だけ体験してさっさと帰ろうか」
「露天風呂、ですか?」
「そうそう」
シアちゃんの手を引いて、入ってきたドアとは違うドアへ。そこを通ると、開放感たっぷりの露天風呂に出た。もちろん周りから見えないように、柵で囲われてるから見れるのは星空だけだけど……。やっぱりこの開放感は格別だ。
「すごい……! 外のお風呂ですか!」
「ん。ろてんぶろ。すき」
「ここはすごいですね……!」
シアちゃんにも喜んでもらえたようで、私としても嬉しい。つまらない思い出で終わってしまったら、さすがに申し訳ないから。
露天風呂にゆっくりと浸かって、お風呂から出て。そして最後のお楽しみだ。主にクロの、だけど。
「シア。シア。これ。おいしい」
売店でクロが指さしてるのは、フルーツ牛乳。クロのお気に入りだね。ちなみに他の魔女ちゃんたちも大好きみたいで、たまにフルーツ牛乳のパックを買って帰るとすごく喜んでくれる。シアちゃんはこれが初めてのフルーツ牛乳だ。
お店の人にお金を支払って、フルーツ牛乳を渡してあげる。シアちゃんがこくり、と一口飲むと、顔が輝いた。お口に合ったらしい。
「とても……美味しいです……!」
「それはよかった」
「少し火照った体にこの冷たい飲み物は……くせになります……!」
「今度、家で飲めるように大きいものも買っておくよ」
「はい!」
お風呂上がりの牛乳はやっぱり最高だよね。異世界の人にも通じるのはすごいと思う。
それにしても。
「んくっ……んくっ……」
「ぷはっ」
ちっちゃいクロとシアちゃんが両手で牛乳をくぴくぴ飲む姿は、とてもいいものだと思います。すごくかわいい。とりあえず写真とっておこう。
「んふふ……」
「おねえちゃん?」
「おっと、なんでもないです」
だからそんな、冷たい目で見ないでほしいかな……!
壁|w・)露天風呂はとてもいいもの。
もう少し書いたら、おわりです。