ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~   作:龍翠

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お花見

 

 夏もすっかり過ぎて、秋も深まったある日。クロは自宅の庭でせっせと準備をしていました。庭の木々に魔法をかけて、ちょっぴり頑張ってもらいます。

 むりやり成長させたりするのはあまり良くないとは分かっているのですが、今日だけは特別です。あとでたくさん魔力をあげるのでがんばってほしい。

 それにしても。結界で敷地外からは見えなくしていますが、肌寒い先に満開の桜はなかなか奇妙な状態です。そうしているのはクロなのですが。

 

「クロ。外で花見はちょっと寒くない? 結界内だけでも暖かくできる?」

「ん!」

 

 お姉ちゃんの要望があったので魔法を加えます。するとすぐに暖かくなりました。これなら大丈夫かな?

 あとは、お庭に大きなシートを敷いて、こばけたちに料理を運んでもらって……。完成です。

 

「できた」

「うんうん。それじゃ、みんなを呼ぼうか」

「ん!」

 

 これからみんなでお花見です。

 

 

 

 お家の方からみんなが出てきます。みんな、花びらが舞う満開の桜に感嘆の声を上げています。えっへん、とクロは胸を張りました。がんばりました。

 

「師匠。どう? どう? がんばった」

「ん。すごい。よくできてる。なでなで」

「んふー」

 

 師匠に褒められて頭を撫でられて、クロも鼻高々です。

 お姉ちゃんがたくさん作ってくれた料理をシートの中心に並べて、それを囲むようにみんなで座ります。お花見開始です。

 

「ほら、クロ?」

「ん?」

「こういう時は主催のクロが始まりの挨拶をするものだよ。がんばれ」

「え」

 

 なにそれ聞いてない。クロがお姉ちゃんをじっと見つめます。にっこり笑顔です。助けを求めて師匠を見ます。料理を見ています。早くやれ、という心の声が聞こえてきます。

 ならばとクロは立ち上がりました。

 そして、みんながクロを見ていました。

 

「あう……」

 

 ちょっと、恥ずかしいです。クロが顔を赤くしてもじもじしていると、お姉ちゃんが叫びました。

 

「顔を赤らめてるクロがとてもかわいい!」

 

 そしてめちゃくちゃ写真を撮ってきました。さすがにいらっとしそうです。

 

「リオ。小夜はいつもこんな感じ、です? 本当に?」

「ん……。そのうち収まる」

 

 最近来てくれるようになったリンネと師匠が話しています。今度は別の恥ずかしさで顔が赤くなりそうです。本当にこの姉は……。

 お姉ちゃんが落ち着いたところで、クロは言いました。

 

「あの……。おともだち、なって、くれて、ありがと、です……。あの、これからも、仲良くしてほしい……です。えと、その……。よろしく、ね?」

 

 がんばりました。がんばって長文を喋りました。お姉ちゃんだけじゃなくて、みんなが目を丸くしています。そんなに見つめられると照れてしまいます。

 

「クロも成長してるんだなあ」

 

 しみじみ呟くお姉ちゃん。

 

「ん……。弟子の成長は嬉しいもの」

 

 ほんのり頬を緩ませる師匠。

 恥ずかしいので終わらせましょう。クロはコップを手に取りました。テレビでやっていたように……。

 

「それじゃ……。いただきます」

 

 あれ? 最初はいただきますでよかったでしたっけ?

 でもみんな応じてくれました。いただきます、と。

 

 

 

 その後は、ちょっとした騒ぎになっていました。みんなで桜を見ながら大騒ぎ。

 

「ラキ。ウル。もふもふ。もふもふ」

「あはは! クロちゃんはみんなと仲良しだね!」

 

 もふもふなウルを抱きしめます。もっふもふです。きっとミリアがしっかり手入れをしてあげているのでしょう。ウルも誇らしそうです。

 ミリアの頭の上では小さいドラゴンのフレルが果物をかじっていました。こっちもかわいいです。

 

「ミリア」

「うん?」

「いつも来てくれて嬉しい。もふもふいっぱい。ありがとう」

 

 きょとん、とミリアは呆けていましたが、すぐに笑い出しました。

 

「あはは! わたしこそありがとうだよ、クロちゃん! これからも仲良くしようね!」

「ん!」

 

 ミリアと一緒にたっぷりもふもふして、ぺたぺたと移動します。

 ドラコがオムライスを食べていてとっても笑顔です。

 

「おお、クロ! 小夜の料理はやはり美味じゃの!」

「ん。すごい」

「うむうむ!」

 

 お姉ちゃんの料理はいつも美味しいです。たくさん食べられます。

 

「それにしても、大所帯になったのじゃ」

「ん」

 

 気付けば魔女がいっぱいです。みんなクロのお友達です。それがとっても嬉しいです。

 

「それに、わしよりも強い魔女も案外いるものじゃな」

 

 ドラコが言うのは、師匠とリンネでしょう。リンネも師匠に匹敵するすごい魔女で、ドラコはすごく驚いていました。世界は広い、と。

 

「わしが同行してもあまり意味はないかも、じゃな」

「ん……?」

 

 ドラコはよく、クロが遊びに行くのに付き合ってくれます。護衛を兼ねて来てくれているのはなんとなく分かっていました。ドラコはとっても強いです。

 

「ドラコ。つよいこ。たより。ありがとう」

「う、うむ……。まあ、今後とも任せるのじゃ!」

 

 ドラコはとても嬉しそうに尻尾をびったんびったんしていました。かわいいです。

 

 

 

 また移動します。エリーゼが美味しそうに小さいケーキを食べています。

 

「エリーゼ」

「あ、クロちゃん。ケーキ美味しいですよ。はい、あーん」

「あーん」

 

 エリーゼがフォークでケーキを差し出してきたので、ぱくりと食べます。もぐもぐと。とても甘くて美味しいです。

 

「あの花はとても綺麗ですね」

 

 二人でのんびり桜を見ます。とても綺麗な桜です。

 

「クロちゃん」

「ん?」

「ありがとうございます。私が錬金術師として続けられるのも、クロちゃんのおかげです」

「んーん。エリーゼ。がんばる。すごい」

「いえ……。いえ。はい。それでも、ありがとう、クロちゃん」

「ん」

 

 エリーゼはとってもすごい錬金術師です。最近ではエリクサーよりもすごい錬金術を模索しているみたいですし、きっとクロの錬金術なんてあっという間に超えていくでしょう。

 

「エリーゼ。れんきん。みる。たのしみ」

「えへへ……。とびっきりの錬金術を見せてあげますからね」

 

 それはとっても楽しみです。

 

 

 

 また少し移動。リコリスがのんびり桜を眺めていました。

 

「リコリス」

「クロちゃん。本日はお招きいただき、ありがとう、ございます……」

「ん……!? こ、こちらこそ……?」

 

 なんだかすごくかしこまった言い方です。思わずクロがびっくりしていると、リコリスはくすくすと小さく笑っていました。

 

「むう」

「ごめん、なさい……。一度やってみたかった、ので……」

「いじわる」

「ごめんね?」

 

 撫でてくれたので許してあげます。なかなか気持ちのいいなでなでなので。

 

「このお庭も……あったかい、ですね……」

「ん。リコリスのお家もあったかい」

「ふふ……。クロちゃんが気に入ってくれて……嬉しい、です」

 

 リコリスの日当たり良好のあのお部屋はクロにとってもお気に入りです。今後も通いたいと思っています。ここが雨の時とか、特に。

 

「お待ちしていますね」

「ん……」

 

 リコリスに撫でられて、クロはほんわか頬を緩めました。

 




壁|w・)次話でひとまず終わりです。
21時半頃に更新予定!
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