サクラワンコオー   作:ze-ta

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マルゼンスキーの隣に立つという目標を思い出させ、後押ししてくれたトレーナー。
そんなトレーナーとサクラチヨノオーとの関係が深まらないわけがなく…。
これはトレーナーとサクラチヨノオーとの普段の日常を描いたストーリーです。





甘えるサクラチヨノオー(トレーナー視点)

名門、トレセン学園には、天才ばかりが集まってきます。

圧倒的なセンスを持って生まれたウマ娘。何よりも走ることを求めているウマ娘。

どこまでもどこまでも高みへ登り続けるウマ娘………………

 

その一人であるサクラチヨノオーのトレーナーが俺である。

今は彼女にいつものトレーニングを行ってもらっているところだ。いつものトレーニングは彼女が目指すG1レースのコースを意識して、芝のコースで走ってもらいタイムを測定するか坂路を行ってもらうことが多い。今は彼女に久々のダートで走ってもらっている。

そんな話をしている間に彼女のトレーニングが終わったようだ。

 

「トレーナーさん。はぁ、……タイムはどうでしたか?」

 

”タイムが上がってるよチヨ。これもチヨの努力の結果だな。”

 

「トレーナーさんがトレーニングメニューを考えてくれるおかげですよ!」

 

息切れをしている彼女にそう言ってあげると嬉しそうな表情を浮かべていた。

そして、なぜかこの会話も俺たちの中で定番化してしまった。

 

チヨは俺のおかげだと言ってくれるが彼女の努力があってこそだと思っている。

結局俺が頑張っても、彼女自身が頑張らないとどうしようもないからだ。

朝練を毎日欠かさず行っていたり、トレーニングの時間に遅れずきてくれている。

また、ミーティングでも自分の意見を言ってくれたりと真面目で可愛い彼女だが…

 

彼女がこちらを見ている。

何かを察したように頷き、手を広げる。

 

”来い、チヨ!”

 

間髪入れずに彼女が突っ込んでくる。彼女を受け止める。

 

なぜこのようなことになっているか、少し長くなるが話して行こうと思う。

 

 

 

 

 

ーとある日

彼女は負けた。

 

実況)1着はヤエノムテキ、1着はー

 

その日、彼女は負けたーー

 

『皐月賞は私の勝ちだね。チヨノオーさん』

 

「ヤエノさん…」

 

 

「トレーナーさん……。」

 

ウイニングライブを終えた彼女が控え室に戻ってきた。

気まずい雰囲気の中、彼女が口を開く。

 

「私、負けちゃいました…。」

 

そこにはいつもの明るい空気ではなく、暗く、重い空気が広がっていた。

いつもの明るい彼女ではなく、暗く、瞳の潤んだ彼女が立っていた。

 

「これじゃあ、マルゼンさんの隣に立てないじゃないですか…。」

 

”そんなことはない!”

 

「トレーナーさん…。」

 

”まだチャンスはある。”

 

”これからだ。だから元気を出して欲しい。”

 

我ながら下手な元気づけだと思った。

 

励ましは、一応通ったようで

 

「私、悔しいです…………っ!

だからこそ、次は…次こそは絶対勝ってみせます!!」

 

彼女は、悔しさをバネにしてトレーニングをたくさん行っていた。

その努力が実ってか、タイムはすごい勢いで成長している。

 

「タイムが伸びるのは嬉しいのですが、トレーナーさんからご褒美が欲しいです。」

 

”ご褒美?急にどうしたの?”

 

「実は、アルダンさんに教えてもらったことなのですがトレーナーさんにご褒美をもらうとタイムが早くなるそうです。」

 

担当バのメンタルを保つのも俺の役割なので引き受ける。

 

”へぇ〜そんなことがあったんだね。チヨはどんなご褒美が欲しいの?”

 

「え〜っと…………。う〜んと…。」

 

チヨは言葉に詰まっていた。

どんなすごいことを言われるのかとドキドキしていると。

 

「私とハグしてくれませんかっ!!」

 

”………………そんなものでいいのか?”

 

少し間の開いた後そんなことを言った。そりゃ、そうだろう。

担当なのだから別にご褒美じゃなくてもしたかったらすればいいのに…

いや、これはやめておこう。

そもそも俺自身、女の人との関わりが薄い人生を歩んできたのだ。

そんなこといつでもどこでもされたら心臓がもたない。

 

それは、そうとして話に戻る。

 

”何かものとかを要求されると思っていたからなんか拍子抜けしちゃった。”

 

「本当にいいんですか?」

 

”いいよ?”

 

「じゃあトレーナーさん!はい、どうぞっ!」

 

ちょっと頰を赤く染めながら手を広げる彼女。

やはりこんなことで良いのだろうかと思った。

というか、俺から抱きつきに行くんだな………。

少しぎこちない感じで抱きついた。

 

しかし彼女はそれが気に入ったらしく、彼女のタイムが上がったときなどにするご褒美になっていた。

それにハグだけでなくマーキングするように頭を押し付けてくるようになった。

 

嫌ではないんだ。決して嫌ではないんだが…

 

とても恥ずかしいのだ。

こんなことで速くなるならと思ってやったことだが、

今落ち着いて考えると成人男性に年頃の可愛い女の子の抱擁しているんだ。

それが恥ずかしくないわけがないのだ。

 

でも、今更、だよなぁ〜。

今更そんなことを考えても遅いような気がする。

 

「トレーナーさん?」

 

こんな風に上目遣いで頼まれてしまったら断れるはずがなかった。

 

こんな風に甘えてくる姿や、左右にはねてる髪もそうだが、なんだか大型犬みたいだと思ってしまう。

 

犬といえば去年の夏祭りの時に買ったサクラワンコオーのことを思い出した。

 

マルゼンスキーに似ているというチヨのために頑張って射的をしていたが、

本当はチヨに似ていたからやってしまった。

結構お金がかかってしまったがチヨが笑顔なら良い気がした。

 

今でもチヨは大切にベッド横においてくれているようだ。

前は、

 

「サクラワンコオーも『トレーナーさんに会いたいわんっ!』と言っていましたよ。」

 

なんて言ってくれるぐらいには大切にしているようだった。

 

そして、1週間ぐらい前から、周りのウマ娘やトレーナーから温かい視線を感じるようになった気がする。

いや、チヨが抱きつき出してから、ずっと視線を感じる気がする。

 

最初の方は、驚いたような表情をして…いた気がしたが、

今では何か微笑ましいものを見るような目で見られているような気がする。

いや、最初から微笑ましいものを見る目をしていた。

気がする…

 

特に彼女と関わりのあるウマ娘(アルダンとか)は微笑ましく見ていた。

いや、それよりも憧れみたいな視線を向けられていた気がするが、それは気のせいだろう。

 

そんなことを考えていたら、

チヨが名残惜しそうな顔をしながら離れた。

ちょっと余韻に浸った後、

彼女は笑顔で

 

「元気の補充ができました。トレーナーさんは魔法を使ってるみたいです。」

 

”それなら良かったよ”

 

極論、彼女がいいならなんでもいいか…。

精神面も保たせるのがトレーナーの役目だしな。

 

そしたら、チヨの耳ぴこぴこと動いた。

 

「トレーナーさん、今とても良い格言を思いつきました。

それは、

 

ー人参も待てば晴れー

です。」

 

意味はわからなかったが彼女が嬉しそうだったので気にしないことにした。




こうしたら面白かったやこんなSSが欲しいとかがあったら書いて置いてください。最後の格言を考えるのが1番時間がかかったと思います。こういうのは難しいですね。
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