もし、やる気が出たら書くかもしれません。
ー宝塚記念の1ヶ月ほど前ー
この日はチヨと昼食ついでに、ミーティングをするため、チヨと一緒に食堂にきていた。
「トレーナーさん今日は何を食べるんですか?」
チヨはよくこう聞いてくる。
俺はちなみにいつものサラダにご飯と適当なおかずを選んでいる。
”チヨはサラダだけなのか?”
「あは〜……はい。」
チヨはサラダしか乗っていない殺風景なお盆を持って席についた。
「……なんだか最近、食べることに疲れる日があってですね。
体も重たく感じますし……ふふっ、体からダイエットしなさい。
という合図が届いたのかもしれません。」
”…食べることに疲れて、体が重たく?”
そういえば年明け神社での屋台のたこ焼きを自ら「お腹が空いていない」
といって断っていた。
それにその話題は別のところで聞いた覚えがした。
そうそれはタマモクロスの会見の一言に似ている気がした。
「えへへ、でもちょっとですよ?ほんのちょびっとです!」
”でも、それってもしかして…”
「……?」
ウマ娘には、ある段階で体や競争能力が急激に成長する時期がある。
競争するウマ娘、いわゆる、”本格化”という現象だ。
人間で言うところの成長期的なものだ。
そして話を戻すが、本格化を迎えたウマ娘は自分の体に、今までにない可能性を感じるようになる。
それは、体軽い、結構走ったのに疲れないとか、食欲が大幅に増した…など。
そうしてウマ娘たちは蕾から花開けるように能力を最大限活用してレースに参加している。
だが…それの逆つまり、
体が重くなった、体が思うように動かなくなった、食欲が減ったと言うことは…。
答えは一つしかなかった。
ピークを超え緩やかに下降して行く最中。
競技人生の終わりへと向かっている証である。
思ったことを彼女に告げる。
「……えっと。
つまり、私はもう下り坂に……?
で、でもまだシニア級になりたてなんですよ?なのに、ピークがすぎたなんて…。
そんな……。」
彼女は受け入れられないといった表情を浮かべていた。
きっと俺もそんな顔をしているのだろう。
彼女の言った通り、まだシニア級になったばかりだ…。
「………。」
”この件は、また後で話そうか。
「………はい。」
ーその日の夕方ー
「夕日が綺麗だなぁ〜。
夕日か…。」
ー次の日ー
「トレーナーさん、あの、これからの練習の件ですが…。
まず私から伝えたいことを伝えてもいいでしょうか?」
”うん。”
「…ありがとうございます。ええっと、その、私は下り坂だとしても、
まだくだり始めたばかりじゃないですか。
だから、トレーニングを頑張ればまだ極力ピークの時に近い力を発揮できるんじゃないかなって!
それに、もしかしたらまだピークがきてないかもしれませんし…。
だってまだ自覚症状だけです。もしかしたら疲労なのかもしれません!」
「だから…だから…!
練習量を増やしてみませんかっ?
今こそ踏ん張りどきだと思うんです!」
そう言う彼女。そうだよな、自覚症状だけで決め吐けるのは良くないし、
トレーナーがこんなところでへこたれているのは良くないな。
”……そうだな!”
「…っ!あっ、ありがとうございます。じゃあ私、精一杯頑張りますね。」
”でも怪我には気をつけないといけないぞ。”
「あ…はい、そうですね。怪我したら大変ですもんね。
もうすぐ宝塚記念も迫っているのに…。
あ、あの…!
私これからも頑張ってトレーニングしますから!
だから、まだ希望はありますよね?
あの人のライバルになれますよね?
それにあなたへの恩返しだってできますよね?」
”もちろんだ。俺がそうさせてみせる!”
俺がそう言ってみせた時、彼女は笑顔を見せていた。
やはり、彼女だって不安なのだ。
マルゼンスキーのライバルになれないのではないか、と。
しかし、させてみせる。それがトレーナーだから。
と決意を固めた。
ー宝塚記念当日ー
迎えた、宝塚記念当日…。
この日まで俺は最大限にチヨの体に気をつけながら動いた。
その代わりトレーナー室がものすごく汚くなってしまったが、それとこれとは天秤で比べても、
天と地ほどの差がある。
「今日までのトレーニング内容は、バッチリ頭に入っています!
トレーナーさんっ、私、今日も1着を取ってみせますから!」
チヨはそう言うが俺にはわかった。ピーク以前と同じように振舞おうとしているんだな…。
そして彼女は今、俺も昔のような反応を求めているに違いない。
そう考えた俺は開口一番にこう言った。
”頑張ってね、チヨ!”
「はいっ!ふふっ。トレーナーさんのその応援を聞くとレースが始まるんだなと感じます!
宝塚記念に向けて準備を整えてきたんですし、私、その成果を見せますね。
だって、私はこう思います。もし、たとえ、ピークをすぎてい他ことが本当だったとしても。」
「前を向いていたら、努力を続けていたら、実るものだってあるんじゃないかって!」
「今日だってどんな相手が来ても絶対に負けませんから。」
”そうだな!”
そうしてもうすぐ始まろうとしていた。
ーレースー
実況)さあ、春のグランプリ『宝塚記念』!
注目のウマ娘たちが颯爽とやって来ました。
この中で誰が栄誉を手に入れるのか!
間も無くレーススタートです!
「(ヤエノさん…クラシックの時からまた強くなったんだろうな。)」
「(バンブーさんは、今伸び盛りですし力強い走りをすると思う。)」
「(イナリさんは今年の初めから注目を浴びているウマ娘さんだし実力も折り紙つきで…。)」
「(でも)大丈夫…私は、大丈夫!」
トレーナーさんも”チヨなら絶対いける!自信を持って!”と言ってた。
私が自信を持っていなきゃダメなんですよね。前向きに!
そうして宝塚記念が始まった。
実況)票に託されるファンの夢。思いを力に変え走る『宝塚記念』!
人気と実力を兼ね備えた、バンブーメモリー。今日は3番人気です
2番人気はイナリワン
堂々とスタートを待つのはこの娘。今日も桜吹雪は吹くのでしょうか?一番人気サクラチヨノオー
実況)全員ゲートイン完了です。
今、スタートが切られました。各ウマ娘、綺麗なスタートをしました。
……3、4バ身離れたところにサクラチヨノオー 。3番目を走っています。
外から行くヤエノムテキ。少し離れてイナリワン。
1コーナーから2コーナーへ向かっていきます。
……内を回ってヤエノムテキ、4番目イナリワン、ここにいましたサクラチヨノオー 。
……第3コーナーから第四コーナーです。
解説)ここからスパート一気にレースが動きます。
「はぁああああ!!」
「(もっと、もっと、もっと速く!)」
その時チヨの雰囲気が変わったのを感じた。
ダンッ!!
地面を蹴り上げる音が響く。
彼女は目の前に見えるマルゼンスキーの幻影を追いかけていた。
「(絶対に追いついてみせる!絶対に!)」
実況)最後の直線です!
解説)サクラチヨノオー 1着に乗り出る!さらに加速していきます!速い速すぎる!
サクラチヨノオー 、2番手のヤエノムテキに3、4バ身と離していきます!
実況)ゴォォオオル!サクラチヨノオー 、1着でゴールを切りました!
圧倒的スピードで駆け抜けました、サクラチヨノオー 。このレースで桜は満開に咲き誇りました!
ーレース後ー
「はぁ……っ、はぁ……っ、やっと、終わった…!
(呼吸が苦しい、いつもこんなもんだったけ…。いやこんなものだったはず!)」
みんながこれからもう一周と言っている中、私は疲れ切っていた。
「(これが、これから才能が広がる未来あるウマ娘か)」
ー控え室ー
「トレーナーさんただいま戻りました〜!
なかなかいいレースだったと思います。」
そう言いながら戻ってきた、彼女を有無も言わさず抱きしめた。
”良かった。勝てて、いろいろ心配してたんだからな!”
「はい……!ありがとうございます!」
少しの間抱き合ったまま沈黙が広がった。
それが終わった後…。
「ええっと、次のレースは…………。
次は………。」
「……すみません、トレーナーさん『ジャパンカップ』の前にもう一度G1に出走してもいいですか?
だって、マルゼンさんはとても強いんです。このまま直接言っても絶対に勝てません。
さっき幻覚ですがマルゼンさんをレース中目の前で見ました。その時も勝てませんでした。」
「きっともっと経験が必要なんです。だから……お願いします!」
確かに『ジャパンカップ』に向けてもう一つレースが欲しかった。
彼女は今回のレースで領域に入ることができた。もうちょっと実践練習が欲しい。
そうして元々考えていた、次のレースを告げる。
”それなら、『天皇賞・秋』でどうかな?同じ東京レース場だし。”
「去年にタマモさんやオグリさんと競い合ったレースですね。
………やります。いけます。そこで私、勝ちます。
勝って、まだ可能性があるウマ娘だと、示して見せますから!!」
こうして宝塚記念は幕を下ろした。
文字数をだんだん多くして言ってるんですが大丈夫ですか?何か読みにくいとかあれば言ってください。
できる限り改善します。そういえば誤字脱字報告ありがとうございました。
初めて届いたので少しびっくりしました。
今後はできるだけ誤字脱字を少なくしていこうと思います。