主人公の友人枠だったはずが、いつの間にか主人公となった男 作:あおーいあお
オリジナルを書きたかったので溜めてたやつを不定期更新します。
Pixivでも一応改訂前の見れます。
2000年代に入ってすぐに世界の人口は急激な減少を起こした。
怪物と呼ばれる化け物と怪物に適合した人間である怪人が世界中に突然現れ、沢山の人々が殺された。
各国の軍はどうにかして怪物と怪人を各個撃破しようとしたが、結果は芳しくなかった。
そこで各国の首相たちは怪人となっても人類に味方する者を利用することにした。
様々な呼び名があるが、日本ではこの怪物・怪人対策の怪人たちによる組織を【怪異捜査対策局】とよぶ。
日本で起きる怪物と怪人における被害や、周辺諸国での被害を抑えるために怪人を利用するための組織だが、この組織には多くの怪物・怪人被害者が所属しており、他の国と比べても高水準である。
これはそんな怪異狩りの組織に所属するこの世界のいわゆる主人公と呼ばれる男……の親友の物語。
◇
『今日未明、東京都○○区の××小学校の敷地内で××小学校に勤務する教諭の遺体が発見されました。遺体は一部が無くなっており、怪人による犯行と見られ──────────』
テレビの画面を消し、家の鍵を持って家から出る準備を進める。
「んー、忘れ物は…ないな。よし、行こう」
家の中を見回して忘れ物がないことを確認して外に出る。
外はまあまあな暑さで直射日光が当たればちょっと辛い程度。
「あ、やべぇ。電話すんの忘れてた」
男がスマホを取り出してチャットアプリを開いて通話をかける。
数秒経った後に通話が繋がる。
『ただいま、電話に出ることが出来ません(裏声)』
「おまえ、今起きた所だろ」
『…こいつ、心を読めるのかっ!?』
「あほか、とりあえずお前ん家行くわ」
わざとらしい言い方をした親友のボケをスルーして家の階段を降りていく。
最近、工事が入ってだいぶ見た目が良くなったが相変わらずボロボロな【もくれん荘】の文字を見ていつも通りの日常を感じる。
『すまん。何時からだっけ』
「あー、確か12時とか言ってたぞ?」
『まじかよ!?あと1時間じゃねぇか!?』
ドタバタする音が聞こえて通話が切れる。
…だから、前日から目覚ましちゃんとかけとけって言ったのに。
親友のドタバタしてる姿を想像しつつ、何の変哲もないいつも通りの道を歩いていく。
俺こと
顔は良く可もなく不可もなくとか言われる。
要するに
俺には小中高と一緒の大親友がいる。
誰もが振り向くような王子様系イケメンフェイス。
数多くの女の子が泣かされたわざとじゃないかと疑うレベルの超鈍感。
そのくせ性格がいいから男友達がいっぱいいるパーフェクト陽キャ。
こんな主人公力高めな俺の親友、
職業は学生。
まあ、こんなやつと小中高とずっと一緒にいたら自分は嫌でも凡人ってことがわかるさ。
だってこいつ、出来ないことって言ったら勉強と女の子の心を理解することだぞ。
それで今日はせっかくの休日ということで女友達と遊ぶことになった。
え?お前も十分勝ち組じゃねぇかって?
…今日会う2人が焔に惚れてなきゃな。
今日だって、俺を緩衝材にして焔と遊びたかっただけだと思われる。
「くっ、俺もモテモテイケメンになりたかった…っ痛!?」
親友に対する恨み言を吐きながら歩いていると体に真正面から衝撃を感じる。
「…いてて」
よく見ると白髪の小学生くらいの女の子が頭を抱えて倒れていた。
どうやらぶつかってしまったようである。
「ごめんな、前見て歩いてなかった」
「ううん、わたしが急に走ったのがわるかったの。ごめんなさい…」
「いやいや、俺も前をよく見てなかったから。」
転んでいる女の子に手を差し出すとそれを掴んで女の子が起き上がる。
うーん、小3くらいか。
かなりの美形だし、将来有望ですね。
「怪我してないか?」
「大丈夫です、少しころんだだけだからキズ1つないです」
敬語で話す女の子。
あー、さっきまで混乱しててこっちが素か?
「一応、怪我があれば応急処置ならでき……いない。もうどっか行ったのか?」
最近の子どもは足が早いんだな。
そう納得して親友の家に向かって歩くのを再開する。
とりあえず出来るだけ迅速にあいつの家に向かわなくては。
今日会う予定の女の子の内1人は時間にものすごく厳しいのだ。
具体的に言うと、遅れたらチョークスリーパーされる。
「ん?おお、白か。愚弟ならそろそろ出てくるはずだぞ」
焔の家の前では女の人がスーツ姿で箒をはいていた。
彼女は焔の姉である藤宮
クールな超絶美女でなんなら若いので美少女と呼べるレベル。
クールビューティーがこれ程似合う人がいるのかってくらいの人だ。
彼女は【怪異捜査対策局】で仕事をしてるらしい。
表彰されてテレビに出ているところを見たことあるくらいには有名人だ。
「おはようございます!白歌さん!!」
「うむ、元気そうで何よりだ。ところで今日はどこに行く予定なんだ?」
「あ、えー、友達と4人でお茶にでも行ってきます」
そうか、と呟いたあとに箒を壁にスっと立て掛ける白歌さん。
いちいち動きがかっこいい。
「白は進路を決めたのか?」
「いいえ、特には……。まあ、なりたいものも特にないですし。まぁ、普通にサラリーマンにでもなりますよ」
「そうか…。…ところで、出掛ける際は怪人に注意してくれ。小学校での教師の殺害犯はまだ見つかってないからな」
真剣な面持ちでそう言う白歌さん。
彼女は怪物と適合してから対怪物・怪人との戦いに巻き込まれることになったが、長い間戦ってきたこともあって警告に迫力がある。
「はい、警戒は怠らないようにします!隊長!」
「バカ者。……まあ、怪人に襲われたら私が絶対に助けるがな。今度、護身術を教えてやる」
敬礼すると額を人差し指で優しく小突かれた。
少し笑っている白歌さんを見て少しドキッとする。
普段はあんまり笑っているところを見ないと良く焔が言っているが、結構微笑んでるイメージがある。
その微笑みがギャップとなって可愛すぎるのだ。
「遅れるっ!!」
玄関から飛び出してくる焔。
相当急いだのか、上着が表裏逆である。
「白!今何時?」
「11時43分。」
「20分切ってるじゃねぇか!?こっからどれくらいかかる?」
「早くて15分。」
「まじかよ!?いくぞ、白!」
「はいよ。では、白歌さん。また今度。」
「あぁ、気をつけてな」
足踏みしてる焔にほら行くぞ、といいながら待ち合わせしているカフェまで全力疾走を始める。
さすがにチョークスリーパーは嫌なので本当に全力で走っている。
そのお陰か知らないが、思ってた100倍早く着いた。
「…で、あんた達はチョークスリーパー喰らってる訳ね。有罪よ、特に焔」
思ってた100倍早く着いたとは言ったが間に合ったとは言っていない
途中の信号にことごとく引っかかり、途中で迷ったりしたせいである。
「…別に俺悪くな…あがっ!?」
後ろから思いっきり首に腕を回されて絞められる。
目の前にはぐったりとしている焔の姿。
ちくしょう、さっきまで焔をデコイにして生き残ってたのに!
「…白くん。言い訳するなんて、死にたいのかな?」
「…うぐぅっ、ごめっ、なひゃい!」
俺の首をものすごい勢いで絞めているのは
坂本は見た目だけならおっとりとしていて、ほんわかオーラを撒き散らす薄桃色髪ゆるふわ系美少女なのだが、約束を破ったりするとアナコンダなんじゃないかと思うレベルで首を絞めてくる。
嘉代は金髪ツインテツンデレとかいう、現代のレアキャラであり、俺らがろくでもない話題で盛り上がっていると良く冷たい目線を向けてくる。
そしてこのふたりは多分、焔のことが好きである。
…くたばりやがれ。
2人とも道ですれ違ったら振り向くほどの美少女だ。
その2人に慕われてるだと?
非モテの恨み、死して思い知れ。
「ま、その辺にしてあげて、瑠夏。あんたら2人とも反省してるんでしょ?」
「「大変申し訳ございませんでした」」
2人同時に土下座をする。
幸いあんまり人はいないので大丈夫だ。
相変わらず人が入ってないカフェである。
マスターと話したら経営大丈夫なのか揶揄うのまでがセットである。
「んで、今日って何すんだっけ」
「あんたねぇ……それくらい覚えときなさいよ。今日はこの後新しく出来たテーマパークに行くって話だったでしょ」
焔が聞いたところにすぐにレスポンスしていく嘉代。
相性抜群かよ。まあ、焔と相性抜群なのは俺だけどな。
実質2人でひとつみたいなもんだ。
「それじゃあ、早速行こっか」
◇
「…ふぅ、疲れた。全くアイツらも手間かけさせやがって」
あの後、テーマパークに向かったがあの3人の邪魔にならないように俺は急用が出来たとか言って抜け出してきた。
…焔もいい加減あの鈍感を直して欲しいもんだよ。
そして現在はせっかく出かけたのだし、スーパーに買い出しに行くことにしたのでその帰りである。
店内の配置が変わってて迷ってしまい、もう夕方だ。
「あいつらと鉢合わせないようにしないとな…」
家に帰るには焔の家のまえを通るのが近いのだが、そろそろ帰ってきてるはずだし、出会ったら気まずいので路地を通ることにした。
通ったことはあまりないが、ちょっと暗いだけで変な臭いとかはしな……ん?
……血の、臭いだ。
かなり近い。
先に進んだら嫌な予感がする。
後戻りしろと本能が叫んでいる。
すぐに後ろを振り向いて戻ろうとすると、耳元で声がした。
「…お兄さん、また会ったね」
その声を聞いた瞬間に動けなくなる。
ありえないほどの重圧を感じて体が動かせないのだ。
多分これは、錯覚だろう。
しかし、この重圧を放っているのが声の主だと言うことはわかる。
「…お兄さん、驚いちゃってて可愛い。もっと怯える顔、見せて?」
顔を手で掴まれる。
そのまま後ろを向かされるとそこには少し浮いている今朝ぶつかった少女が居た。
「わぁ、びっくりしてる。…そんなに私が怖いの?」
「…な、なんだ。今朝の子か。朝はぶつかってごめんな」
強がってそう言うと、クスクスと少女が笑う。
「大丈夫だよ?…わざとぶつかったんだし♪︎」
その言葉と同時に突然生えてきた鎌によって腹が突き刺される。
くっ、苦しい……痛い…息がしにくい……。
「かはっ…!?な、あ、まさか怪人っ…。」
「ピンポ~ン。私、最近話題になってる小学校の先公を殺した怪人なんだ~♪︎」
朝のニュース、そして白歌さんの警告していた怪人。
それがこの子だったらしい。
「…私はね、死神の"リーパー"っていうの。…あ、ちゃんと宿主の意識は生きてるよ。今は眠ってもらってるの♪」
「怪物のままだと言葉で馬鹿にして獲物を悔しがらせたり、ビビらせたり出来ないからね。さっきまで犬っころの怪物を弄んで殺してたんだけど、丁度よく君が来たからさ。…ね、殺させてよ♪︎」
更に数本腹に鎌が突き刺さる。
口から血が出るが、死ねないと思い全力で路地の奥まで走る。
途中で転びそうになっても無様でも逃げるために走る。
「わぁ、頑張れ♡頑張れ♡もしかしたら逃げられるかもよ?」
後ろで一切動く気がない少女。
手加減のつもりだろうか。
振り返る余裕もなく、そのまま全力で奥まで走り、そして絶望した。
路地の奥には少し開けており、道ひとつない行き止まりだった。
そしてそこにはボロボロで血だらけの狼らしきものがいた。
これが、さっき言ってた犬っころ?
…狼の怪物だろうか。
息絶える寸前らしい。
「あと10秒数えたらそっちに行くねー!今のうちに辞世の句でも考えてねぇ~♪︎」
路地の入口側から少女の無邪気な声が聞こえる。
あと10秒で確実に殺される。
そう分かってすぐに急に頭が冷静になった。
「10──────」
目の前の倒れている狼の怪物に近寄る。
一応息はあるのか力ない唸り声をあげる。
しかしながら、威厳を感じるオーラを少し放っている。
「お前、あいつにこんなボロボロにされて悔しくないのか…?」
「9」
狼の怪物が肯定するかのように唸る。
初めて出会ったが、こいつには何か縁を感じる。
何回も会ったことのある友達のような安心感を感じる。
「だったら、俺に力を貸してくれ。」
「8」
狼の怪物は少し戸惑ったような目をこちらに向ける。
どうやら、その発想は無かったようだ。
「7」
狼の身体中に巻きついている鎖を外す。
すると少し狼の呼吸がマシになったような気がする。
「6」
「…お前はさ、俺と融合してもいいと思えるか?」
少し悩んだように間が空いて唸る狼の怪物。
まだ悩んでいるようだ。
「5」
怪物の中には人間のことを見下しているものもいるらしい。
狼の怪物も少しそういったプライドがあったのだろうか。
「4」
狼の怪物の頭を撫でる。
かつて飼っていた愛犬の頭を撫でていたのを思い出す。
別にここで力を貸してくれなくたっていい、俺っていう
「3」
プライドが何事にも変え難いことも理解しているから無理矢理にでも力を奪おうなんてのは考えない。
それはこの運命を感じた狼の怪物への冒涜にもなる
「2」
死んだって構わない。
いい人生だったって思えるように生きてきた。
でも、でも、でも──────────────。
俺が死んだら焔はどんだけ悲しむんだ?
「1」
「頼む、力を貸してくれ!!」
『──────良いだろう。これもまた運命…。あの小娘に一泡吹かせる手伝いをしてやる』
「ぜろぉ♪︎」
死神の怪人が歪んだ笑みを浮かべて路地奥の空間に入った瞬間。
路地裏を光が包み込んだ。
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