イタリアンのレストランに入り、テーブル席に案内された。席について早速メニューに目を通し、頼むものを決めて店員を呼んだ。
「…ご注文は?」
「マルガリータピッツァと、クリーム仕立てのカルボナーラを1つ!!」
「…毎度」
テーブルに運ばれた料理を2人でシェアしながら食べた。
「うんめえええぇぇぇええ!!」
「どれどれ…。うん、確かに美味しい。サンが好きそうな濃い味がパスタとよく馴染んでる」
マルガリータはモッツァレラチーズの甘みと酸味がトマトソースと調和し、絶品であった。粉チーズとコクのあるクリームを絡めたカルボナーラは、生麺に濃い味がよく絡み、かなり美味しかった。
外食という特別感もあったのか、久々に楽しさを覚える食事だった。通路をはさんで向かいのグループもどうやら楽しげな様子。
一通り食べ終わり、席を立つことにした。デザートのひとつでも食べようかと思ったが、朝から食いすぎたくないのでやめた。
「いや~、食った食った!」
「ちょっと食べすぎちゃったかもね」
「大丈夫だろ。これから運動だってするし」
荷物の整理をし、席から立ち上がる。伝票をポケットに入れ、左手に銃を持ち、
その銃を、向かいのテーブルの客の手元に向かって撃った。
甲高い銃声が店内に響き渡る。朝っぱら、そこまで客の多くなかったこの店に破裂音はよく反響した。撃たれたテーブルの4人組は、呆然や警戒の視線をこちらに向けてきた。
(…サン?何してるの?)
(言ったろ?これから運動するって。コイツらの手元見てみろ)
(手元?…あぁ、なるほど)
(シオンは先に車に戻ってろ)
(了解。援護は?)
(必要になったら呼ぶ)
(分かった)
* * *
「…さてと」
目の前の4人組に向き直る。既に臨戦態勢、一触即発というヤツだ。
「…いきなり何をなさるのでしょうか」
銀の長髪のヤツが聞いてきた。
「そりゃオレのセリフだ。テメーら何しようとしてた?」
「何、とは?」
「聞き方を変えるぞ。爆弾なんか使って何のつもりだ?」
サンは自分が撃ち抜いた、赤いボタンのスイッチを見ながら言った。
「おや、気づかれていたのですね」
「これでも探偵なんでな。爆弾の型番くらいは分かる」
「そういうものですか。」
「で?もう一度聞くが何しようとしてた?言っとくが、そのボタンじゃ店員は呼べねーぞ」
「いえいえ。そのような間違いした訳ではございませんわ」
「じゃあ何だ、強盗か?それともまさかそんなナリして食い逃げか?」
「我々は【美食研究会】といいます…。ご存知でしょうか?」
「知らん」
一蹴した。美食を研究しながら爆弾を持ち歩く集団なんざ本当に知らない。
「で?その二色探究会がどうしたって?」
「【美食研究会】です。」
「…それがどうしたって?」
「我々の目的は美食への道を進むこと…。それを阻むものは排除いたします」
「…そりゃあ、なんとも物騒なことで。じゃあ目的は爆破そのもの…破壊ってわけか」
ため息混じりに呟く。呆れたことに爆破は手段ですらなかった。
「…で、爆破はオレに止められた訳だが、これからどうすんだ?」
「今日のところは撤収させて頂きたいのですが…」
「冗談ゆーなよ。未遂とはいえテメーら立派な犯罪者だ。警察にでも突き出してやんねーと探偵の立場がねーだろ」
「では…こちらも抵抗させて頂きますわ」
「そーかよ」
愛銃二丁を両手に構える。
「だったらこっちも全力でいくぞ。大人しくしなくていい…ねじ伏せられろ」
* * *
「…ねじ伏せられろ」
言うと同時にもう一発撃ち込んでやったが、さすがに避けられた。そしてそれぞれが別々の方向に逃げ出した。
(4人同時にかかってくると思ったが…逃走優先か。なら…)
作戦を切り替えるため、瞬時に状況を把握する。逃走など許さない。優先順位を目の前の銀髪ではなく、逃走の速い者に切り替える。
「まずはテメーだ、赤髪!」
左手のスナイパーライフルで狙いをすませ撃ち抜く。
「ぎゃん!?」
「ジュンコ!!?」
一撃必殺。赤髪ツインテールが失神したのを確認しつつ、今度は右手で灰髪のヤツを狙う。
「…させません!!」
金髪がグレネードを撃ち込んできた。
「オイオイ、そりゃシャレに」
着弾よりも速く二丁の銃身ではさみ、
「なんねーだろ!!」
灰髪にむかってぶん投げた。
「え?」
「あら?」
「あらま」
瞬間、爆発。
「ふぎゃあ!!!」
「焼石は美味かったか?」
「イズミさん!!このっ…」
「おっと、させねー!」
もう一発撃ち込もうとしてきたが、すぐさま懐に入り込み、銃身を蹴り上げた。そして愛銃の銃身でこめかみをぶん殴る。
「きゃあっ!!」
「寝てろ!!!」
もう片方の銃を鳩尾に突き刺し、引き金を引く。撃ち出された銃弾は金髪の肺にある一切の酸素を絞り出した。
「……ぁ」
「さてと、最後は」
銀髪に向き直る。
「くっ!」
銃口がこちらをむくと同時、発砲してきた。
「おっと」
首を傾け回避し、飛びかかる。腹に向かって飛び蹴りし、倒れたところをそのまま腹を踏みつける。
「あぐっ…!?」
「大人しくしろ」
額に銃口を突きつける。
「終わりだテメー。このまま警察に…」
その時、唐突にレストランの入口が開け放たれた。軍服のような服装のヤツらが突入してくる。
「あ?」
「動くな!」
突入してきたヤツらの中の、銀髪のヤツがオレに銃口を向けながら言った。足元のロングストレートとは違ってこっちはツインテールだ。
「あー、何だ、お前?」
「風紀委員会だ!今すぐ武器を下ろして、手を上にあげろ!」
「はぁ?何でだ」
ツインテールに視線を移したが、
「ウゲッ!!?」
その瞬間、頭に激痛が走った。原因は足元。ロング銀髪が目を離した瞬間に銃口をこちらに向けたらしい。
体勢を崩したオレを突き飛ばし、そのまま窓ガラスを突き破って逃走した。
「イッテー!!!あんにゃろ、大人しくしろってのに!!」
「大人しくするのはお前もだ!銃を下ろせ!!」
「うるせーツインテール!!大体テメーらナニモンだ!!!何の用だ法規魔人会!!」
「風紀委員会だ!!爆破テロ未遂の通報がありここに来た!」
「通報…?」
もし本当だとしたら通報したのはシオンか店員あたりだろう。となると、
「…警察、ってことか?」
「まあ、その認識でいい。だから大人しく
「丁度いい♪」
ツインテールの首根っこを掴みながら言った。満面の笑みで。
…は?」
「おいテメーら、このツインテール借りてくぞー。そこの
「…いや、お前、何を勝手に話を進めてる!?離せ!!」
「じゃ、そーゆー事で。よろしく!」
「よろしくじゃない!離せ!!ちょ、力つよっ!?」
「イオリ!?」
赤メガネが叫ぶのを無視して、そのままロング銀髪が逃げた窓に向かって走り出す。
「舌噛むなよ!!」
ロング銀髪が突き破った窓から飛び出した。
疲れた。一旦休憩。 By サン