キヴォトスの『探偵』   作:誰かのヒーロー。

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…ったく、つまんねー。 by鈴ヶ咲サン


シートベルトを忘れずに

「ああぁぁあ!?」

「ひゃっほーう!!」

 

そのまま、丁度走ってきたウチの車の屋根に着地する。

 

「うっし、グッドタイミングだぜシオン!」

『そっちこそ無事で何より』

「おー。無事と言えば、お前も無事か?ツインテール」

「無事か?じゃない!どういうつもりだ!」

 

ツインテールがこちらに銃口を向けた。

 

「お前がやったのは立派な誘拐だ!風紀委員会に対してこんなことをして、覚悟は出来ているんだろうな!!」

「まーまー落ち着けよ。オレはテメーと戦うつもりは無いぜ。戦いてーけど」

「なら何故…!」

「逃げたロング銀髪を追いたい。協力してくれ」

「何?」

 

驚いた顔でこちらを見てきた。なんだその目は。

 

「そのためにはオメーを連れてきた方が、俺の立場が分かりやすい」

「…お前、何者だ。何故お前が規則違反者を追う?」

「超短い説明と無駄に長い説明と、どっちがいい?」

「…短い方」

「探偵」

「二文字!?もっと詳しく話せ!!」

「飯食い終わって帰ろーとしてたら向かいのテーブルのヤツらが爆弾のスイッチを準備してるのを見つけたからそれを止めるためにスイッチを撃ってそのまま流れで交戦に突入して4人全員ぶっ飛ばすつもりだったけどその途中に3人は制圧して最後の一人を制圧しようとしたときにテメーらが突入してきて気を取られて逃げられてムカついたしテメーらが警察みたいなもんって分かったからテメーと一緒に行けば制圧してそのまま

「もう良い」

 

中断された。テメーが話せって言ったのに勝手だな。

 

「…とにかく後で事情聴取はさせてもらうぞ。完全には信頼できない。事実確認を行う」

「構わねーよ。そんじゃ、協力頼むぞ」

「…分かった。ひとまずそれで納得してやる」

「オーケーだ。シオン、ロング銀髪は?」

『【Orange Bat】が追跡してる。大丈夫、逃がさない』

「【Orange Bat】?何だそれは?」

 

ツインテールが聞いてきたので素直に答える。

 

「追跡調査と偵察用のドローンだよ。自慢の高性能だ」

『私がつくりました。メイドインシオン』

「そ、そうか…。凄いんだな」

『他にもたくさんあるよ。自爆スイッチとか』

「何でそんなものがあるんだ!?」

『誤爆スイッチとか』

「何を誤爆するんだ!!?」

「何って…誤爆に何も無いだろ。誤爆は誤爆なんだから」

「なら何でそんなもの作った!?」

『「特に意味は無い」』

「じゃあ作るな!」

 

いーじゃん別に。

 

「ハァ…。とにかく、そんな危険なものは絶対に使うなよ」

「え?」

「当然だろう!自爆スイッチなんて今は使い道がないし、誤爆スイッチは論外だ!絶対に使うな!!」

「…あのー」

「何だ?」

「オメーが踏んでるそれ…」

「?」

 

ツインテールが足元を見る。すると、踏んでいるものがあることに気づいた。

 

「何だこれは、小さな…赤いボール?」

「…えっと」

「?」

「それごば

 

カチッ

ボールの真ん中辺りが押し込まれた。

 

ドカーーーーン!!!

遠くの方で大爆発が起きた。

 

「…誤爆スイッチなんだけど」

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

「。」

「………おい、あの爆発は…?」

「…シーラネ」

「まさか、このスイッチのせいじゃ無いだろうな…?」

「知らねーオレはなーんも知ーらねー。押したのオレたちじゃねーしー!」

「お前たちの管理物だろ!?何故車の屋根の上(ルーフ)にある!?もっと厳重に保管しておけ!!」

『…あ、2人とも』

「踏んだのも押したのもオメーじゃねーか!それを作ったのはシオンだが責任はねーぞ!!」

「そもそもお前達が管理をしっかりとしていないのが原因だろ!!こんな危険物をルーフになんて置いておくな!!!」

『…おーい』

「そーやって責任を人に押し付けるのか?名刺知人隊の器が知れるなまったく」

「風・紀・委・員・会・だ!!!」

『熱血そうな委員会…ってそうじゃなくて』

「ん?どした、シオン?」

『もうすぐターゲットに追いつく、って言おうとしてたんだけど。2人とも喧嘩してたから』

「あ、あぁ…すまない」

「すまん、シオン。あとどのくらいだ?」

『あー、あと3…』

「3?」

 

『2… 1…』

 

「は?」

「…ッ!!」

 

咄嗟にワイヤーを袖から射出し、ツインテールを縛る。

 

「なっ、おまっ…!!」

「口閉じてしゃがめ!!!」

 

縛られたことに対して抗議しようとするツインテールだったが、強い衝撃がオレ達2人を襲った。

 

「うおっ!!?」

 

ワゴン車が急ブレーキで止まったのだ。ワイヤーがルーフに引っ掛けられていたため、ツインテールは吹き飛ばずに済んだ。あー良かった良かった。

 

ん?オレ?

オレがどうなったって?

 

いやそりゃあ、シートベルトもなしに事故ったみたいなもんだから…。

 

 

 

思いっきりぶっ飛んだ。マル。

 

 

 

 

ドジャーーーン!!!

 

「ほげーーー!!!」

『あ』

「お、オイ!大丈夫か!?」

 

ゴミ捨て場に突っ込んだ。頭から。

頭に鈍い痛みが響く。マジで痛い。目の前にノイズが走る。しかも背中まで打ちつけたようで、肺から空気が押し出される。遠のく意識で、ワイヤーだけ解いてやると、ツインテールが駆け寄ってきた。

 

「大丈夫か、探偵!!!?」

「ぅぉ…ぉぉぅ…ぁぃぉぉぅ…」

『大丈夫だって』

「どこが大丈夫なんだ!?しっかりしろ」

「ぉぇぁ…ぃぃぁぁ…ぁぃぅぉ…」

『いいからターゲットを追えって』

「ッ!!そうだっ、美食研!!!どこに行った!?」

『そこ』

「は?」

 

車上から伸びるポインターが指す方を見ると、

 

「く、黒館ハルナ…?」

「 ๑ỏ๑~☆ 」

 

ゴミ捨て場の中で目を回す黒館ハルナがいた。

 

 

「…まさかお前、轢いた、のか?」

『うん』

「うんじゃないが!?」

『撃つより楽でしょ?』

「お前のせいで交通事故が2件も発生しているんだぞ!?」

『犯人確保のためやむなし』

ぁぅぁぃ(やむなし)ぁぇぇ(じゃねえ)…」

 

 

* * *

 

 

 

《イオリside》

何はともあれ一件落着。探偵への事情聴取も済み、全ての仕事が終わった。探偵には救急医学部への引渡しも提案したが、必要ないと断られた。ついでに別れ際、せっかくだからと名刺を渡された。

 

「はぁ…今日はなんだかとても疲れた…」

「イオリ、お疲れ様。大丈夫?」

 

ちょうど委員会室にヒナ委員長が帰ってきた。

 

「あぁ、委員長…お疲れ様。ちょっと変なやつに会ったんだ…」

「変なやつ?」

「何でも『探偵』を名乗ってたんだけど…」

「『探偵』?」

「うん。ただ、無茶苦茶な奴だった…。美食研究会を制圧したかと思えば私を無理やり連れ回したり」

「制圧?美食研究会を?」

「え?うん」

「そう…」

 

(美食研究会を制圧できるほどの実力者…。そして『探偵』。聞いたことは無いわね。とにかく警戒と…情報収集が必要)

 

「委員長の方は?大変じゃなかった?」

「大したことないわ。イオリが出た後また別件の通報があったけど、すぐに終わったから」

「そうだったんだ」

「温泉開発部たちがまた温泉を掘ってたんだけど、その途中で大爆発が起きたみたい。少し珍しいけど、何か失敗したみたいね」

「ふーん…」

 

『誤爆スイッチなんだけど』

 

「…ん?」

「イオリ?どうしたの?」

「い、いや!何でもない!!」

「そう?」

 

(誤爆スイッチ…あの時の爆発…温泉開発部…まさか!)

 

自分の中で少しずつピースが繋がっていった。間違いない。

 

(温泉開発部…なんだかすまない…)

 

いやまぁ規則違反者だし、天罰みたいなものだと思おう。

 

「それと、もう一つ。私のところに連絡が来たのは温泉開発部の一件のあとだったんだけど…どうやらその少し前に、万魔殿の方でも爆発騒ぎがあったみたい」

「万魔殿で?」

「ええ。何らかの外的要因だとは思うんだけど、原因はまだ調査中よ」

「そっか…」

 

温泉開発部の方はともかく、そちらは関係ないだろう。誤爆スイッチを押したタイミングは、温泉開発部の一件と同タイミングだ。その前は押してない。押してな…

 

『オメーが踏んでるそれ…』

 

「…踏んでる?」

「イオリ?本当に大丈夫?」

「大丈夫!!大丈夫だって!!!」

 

一瞬すごい嫌な予感がしたが、考えないことにした。




すごい怒られた。by鈴ヶ咲シオン
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