多分ラスボス殺さないと転生し続けるやつ 作:おばみつ過激派
「クッソ、マテやゴラァ!!!」
忙殺地獄な堅気も寝床につくくらいの夜更け、一人の男の怒号が森に響き渡る。
「チッ……しつこい……!」
男が追うのは一体の鬼。その様子は極めて人間に近く、物語でよく聞く悪逆無道な鬼のようには全く見えない。
長いこと追い回されているのか、鬼は男のしぶとさに悪態をつく。
「オッメーだけはココでブッ殺さなキャいけねぇんだよなぁ!?覚悟しやがれ人類の仇ィ!その首ぶっ飛ばしてやるよ鬼舞辻ィ!」
鬼のような形相で鬼に迫る男。
一瞬、鬼のほうが減速する。
(マズい……!もうじき日が昇る……!)
鬼は、明るくなりだした空の色に気を取られた。
鬼は、上半身と下半身で真っ二つにされようが死なないが、首を斬り落とされるか、もしくは日の光に当たるとあっけなく消滅する。
故に、鬼はこの鬼ごっこが日が昇るまで続くことを恐れた。
男は、その一瞬の隙を見逃さない。
数メートルはあったはずの鬼との距離を一気に縮め、男は両手に握った刀を鬼の首へと、振り下ろす。
赤色の刀身が鬼の首に触れる。鬼の首が飛ぶ。
「っ、っしゃ……!」
男は、鬼の首を斬れたことに安堵し、歓喜する。
男は、この鬼を殺すために人生のすべてを掛けていたと言っても過言ではない。両親を鬼に殺され、自分の住んでいた里を破壊され、一人生き延びた男は、鬼を討つことを胸に誓い、20年もの間、鬼殺にその身を捧げていた。
男はついに悲願を達成してやったと思った。嬉しくて、喜ばしくて、とにかくはしゃいだ。
「よっ……!っしゃああああ!────ア?」
瞬間、男の首が宙を舞った。
男には、状況が全く理解できなかった。
(なんだ、何が起こった。無惨の首はとったはずだ。鬼は滅んだはずだろ?)
「頭の悪い餓鬼だ。この私が首を斬られたごときで潔く死ぬとでも思ったのか?」
首を斬られたはずの鬼が、地面に転がる男の首を見下し、嘲笑する。
鬼は、首を斬られてもなお生きていた。鬼を殺しきったと思い込んでいた男は油断し、その隙だらけの身体を一瞬にして掻き斬られた、というわけだ。
「クッソ……そんなん……あり……か……よ」
男の意識は、そこで途切れた。
◆
あーあ、結局死んじまったよ、俺。
無惨もうちょいで倒せそうだったのになー。詰めが甘いんだよなー肝心なところで。あー、気ぃ抜くのはやすぎたなー。くっそー!すげー悔しい!狛治にも絶対ぶっ殺してくるって啖呵切っちゃったし、はずかしー!とりあえず小雪ちゃんとお幸せにな!!!
……ん?てか俺、首切られたよな。死んだよな?
なんで俺、いまこんな思考できてんだ。え?あれ?死んだら普通考えることとかできないよね?
ん、あれ、なんか視界がひらけて……
ん?ん?んー?あれー、これってもしかして……もしかしなくても……
「オギャーオギャー」
転生ですよねぇ!!!
オリ主:前前世はパンピーやってた男。前世はクソつよい剣士。無惨を単身で追い詰められるくらいには強い。あとちゃっかり狛治とお友達。主人公が井戸水の毒にいち早く気付いて処理したので、小雪ちゃんと慶蔵おじさんは生きています。幸せに生きてね。