密猟者の朝は早い 作:密猟者
ドラゴンの世話は金がかかる。
体重数トンにも上るドラゴンは、その分異常なまでの量の食料を必要とする。
それも、成体のドラゴン4匹と幼体1匹。
一応トランクの中で生態系はある程度確立されているとはいえ、餌となる大型魔法動物の補充等、非常に飼育コストがかかる。
つまり、何が言いたいかというと
早急に金が要るということだ。
ユニコーンと聞いて、ピンとこない魔法族はいないだろう。それは、マグルにさえ当てはまる。
しかし、只でさえ希少な上、市場に出回る機会は殆どない。
理由は、ユニコーンという生物の俊敏さ、そして警戒心に由来する。
並みの魔法使いならば、ユニコーンを視認するのすら難しい。それほどに警戒心が強く、またその逃げ足も舌を巻くほどだ。
そしてもちろん、その立派な一本角を用いた突進にも注意が必要だ。
繁殖期の牡など、その狂暴性はアクロマンチュラを彷彿とさせるほど。
要するに、非常に捕獲、狩猟が難しい。
だからこそ、高価なのだ。
得意先の店で得た情報によると、ホグワーツの禁じられた森での目撃情報があるらしい。
ダンブルドアのお膝元とはいえ、あくまで本拠地はホグワーツ。校内に侵入さえしなければ害はあるまい。
彼はそう結論付け、意気揚々と禁じられた森の奥地へと向かった。
そして今
彼はまたもや己の短慮を悔いていた。
ヒッポグリフにケンタウロスはまだしも、アクロマンチュラまで生息しているとは、正直想定外
はっきり言って異常だ。
流石にこんな化け物共と、こいつらの本拠地で戦う気はない。
己一人ならまだしも、ポケットの中でドラゴンの幼体がすやすや眠っているのだ。
危険を冒すわけにはいかない。
まぁ、ここまではまだいい。
目眩まし呪文を使えば、彼の力量なら見つからずに探索することは可能だ。
実際にユニコーンを発見することはできた。
だが、そのユニコーンが問題だったのだ。
彼が見つけたのは、既に事切れたユニコーンと、ユニコーンの血を啜る人の形をしたナニか。
彼は己の不運を呪った
ホグワーツ敷地内に侵入するというリスクを冒しながら得たリターンがこれだ。全く割に合わない。
…仕方ない、退散だ。
彼の決断は早かった。
あんな化け物、何をしてくるか分からない。それに、狩猟できたとして、売れるかどうかすら分からない。
全く旨味がないのだ。
音もなくため息をつき、彼が姿現しをしようと杖を振った、その時だった
「アバダケダブラ」
低い、おぞましい声が響いた。
彼は目眩まし呪文を見破られたことへの驚きを押し殺し、反射的に杖を振った。
瞬間、出現した大岩を緑の閃光が砕き、弾ける。
背中に冷や汗を這わせながら、杖を構え、化け物と相対する。
化け物…いや、信じられないが魔法使いだったようだ。
後頭部に顔面が張り付いたその男は、立ち上がり、彼を値踏みするかのような視線を向ける。
「中々腕が立つようだな、男」
「…アバダケダブラ」
彼は呪文で応答した。
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