密猟者の朝は早い   作:密猟者

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ハリー・ポッターと密猟者

ハリー・ポッターといえば、魔法界では知らない者はいない有名人である。

 

 

当然だ  

 

かつて猛威を振るい、魔法界を震撼させた闇の帝王を赤子ながらにして討ち果たした英雄なのだから。

 

 

 

 

 

 

そんな魔法界の英雄は現在、学友…ではなく、同級生のドラコ・マルフォイと共に気配を殺していた。

 

 

 

ハグリッドに連れられ、禁じられた森にロンとドラコと共に傷ついたユニコーンを捜索する。只それだけの筈だった。

 

罰則とはいえ、禁じられた森に入るのは初めての体験で、未知への恐怖と共に、待ち受けているであろう冒険にほんの少しの高揚すら覚えていたのだ。

 

 

 

だが、こんなのは聞いてない。

 

ようやく見つけたユニコーンが死体だったことはもういい

残念だが、予想できたことだ。

 

 

 

だが、黒いローブを着たナニかと魔法使いが殺し合いをしている

こんな状況、予想できる訳がない。

 

 

別行動のハグリッドとロンを呼びたいが、事前のサインである赤い閃光を打ち上げてしまうと、確実に自分達の存在が露見してしまう。

運良く木の裏に隠れられたのだ。この幸運を手放すのは惜しい。

 

だが、このまま何もせず見ているだけでいいのだろうか。

 

 

 

 

…加勢すべきだろうか

 

ハリーの内なる勇気が燃える

 

チラリとドラコの様子を覗き見ると、青白い肌を更に青くして、口に手を当て震えていた。

果たして、こんな状態のドラコを一人にして大丈夫なのか。

 

魔法使いであろう人間が此方の味方とも限らないのだ。   不確定要素が多すぎる。

 

 

それに、今自分が割り込んだところで、一体何ができる?

魔法界にまだ明るくないハリーにすら分かる。

 

今起きている戦いは異次元だ。

 

 

黒いローブを着たナニかが杖を振る度、色彩豊かな光線が飛ぶ。

 

それを魔法使いの男は避け、打ち払い、時に弾き返す。

だが、完全に防げてはいない。

 

美しい光沢を放ち、上品な魅力を醸し出していたコートは見る影もなく、所々焼け切れ、血が染みている。

 

 

 

が、男も防戦一方ではない。

飛来する緑の光線を地面から引き抜いた大岩で防ぎ、そのまま岩を高速で黒いローブのナニかへと弾き飛ばす。

 

 

だが、そのナニかに焦りは見られない。

眼前に迫る岩を打ち砕かんと、杖を振るう。

 

そして、まさに生み出された光線が大岩を砕かんとする、その時だった

 

大岩が爆発樽へと変化した

 

 

 

瞬間、炸裂音とともに、巨大な爆炎が立ち上る。

 

 

 

ハリーが吹き荒れる爆風と熱に思わず顔を腕で覆った、その時だった。

 

 

「どうしたハリー!一体なにしちょる!!」

 

 

聞き慣れた声が響く。

立ち上った火柱を見たハグリッドが、ハリーの元へと駆けつけたのだ。

 

「ハグリッド!」

 

途端に胸をつく安心感に、思わず大きな声を出した。

 

幸運にも、爆煙が姿を隠してくれている

ハリーは木の裏から飛び出した。

 

未だ震えるドラコの手を引き、一目散にハグリッドの元へと駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆煙が晴れた時には既に、魔法使いの男と、ユニコーンの死体は消えていた。

 

 

 

「お前さん、何者だ!」

 

 

ハグリッドが黒いローブのナニかへと叫ぶ。

こんな声色のハグリッドを見るのは初めてだった。

 

 

「…無礼者が。」

 

低く、おぞましい声が響く。

 

その時、黒いローブのナニかが此方を覗いた気がした。

 

 

「貴様は……あぁ、嗚呼…逢いたかったぞ、ハリー・ポッター。あの時の苦痛と屈辱、一時も忘れたことはない…」

 

 

瞬間、頭が割れんばかりの激痛が走る。まるで、肉を錆びたナイフでゆっくりと抉られているような、耐え難い痛み。

 

体験したことのない苦痛に思わず膝をつき、苦悶の声を上げる。

 

 

「…ずっと、ずっとだ。ずっとその声が聞きたかった。その表情が見たかった。

 

嗚呼…聞かせてくれ、ハリー。痛いか?苦しいか?死にたいか?嗚呼…ハリー、もっと声を聞かせてくれ」

 

 

言葉の端々に愉悦の感情を漏らしながら、黒いローブのナニかは嗤う。

 

 

「ハリー!大丈夫か、ハリー!!

 

おまえさん、一体なにをした!」

 

目をつり上げ、怒りの形相を浮かべたハグリッドが叫んだ。

 

まさにその時

 

 

 

蹄の音が聞こえた。

 

 

人間の上半身に、馬の下半身を持つ生物。屈強な下半身は岩をも砕き、機敏な動きを可能にする。またその鍛え上げられた上半身はその生物を弓の名手足らしめる。

 

ケンタウロスだ。

 

黒いローブのナニかに弓の照準を合わせ、鋭い眼光を向ける。

 

 

「邪魔が入ったか…。

まぁいい、お楽しみは後だ…ポッター。

 

今のうちに、生きる喜びを噛み締めておけ。」

 

 

 

そう言ったナニかは、夜の闇へと消えていった

 

 

 

 

 




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