開祖様は転生者。   作:テムテムLvMAX

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やっぱドラゴンボールのネームバリューすげぇ

オリキャラ注意な(今更)


3話 拳

 刑、17の時。

 

 一年世話になった村を惜しみながら出立、次なる目的地は更に東。話によれば東の都には武術を極めた男がいるらしい、それに飛びついた刑は一ヶ月は軽くかかる距離を舞空術ですっ飛ばし東の都に来た。

 

 

「でっか、デカ過ぎる」

 

「亥項亥項! あっちに焼餅専門店あるよ! 向こうは小籠包だって! 美味しそー!」

 

 

 流石に都と言うだけあってどこよりも栄えている、ここまで来ると人がゴミのようだと言いたくもなる。

 目移りするような品の数々や店の多さに目的を忘れそうになるが、ここへ来たのは武道家を探すためだ。我流の刑が本物の武術にどこまで渡り合えるのか見ておこうという試みもある。適当に訪ねてみれば意外にもすぐ見つかった。

 

 

「武道家の名前はガスコーロン、結構若いみたいで人気者らしいわ、人前でよく武術を披露しているらしいわね」

 

「どこに聞いても似たような事ばかり、あとは直接あってみるしかないか」

 

 

 二人はガスコーロンの居場所を探す間でもなく突き止めた、なんせとても目立つ、赤い屋根に真っ白な壁の建物がデカデカと居座っているんだから。有名人だけあってガスコーロンの道場は大きく、門弟も数千人は居た。これも彼の人気によるものだろう。

 

 

「たのもう! ガスコーロンはここにいるか!」

 

「なんだお前たちは!?」

 

「門弟か? ガスコーロンに会いたい、俺は刑亥項、こっちは九蘭鈴」

 

「どうも~」

 

 

 刑が真正面から道場へ突き進む、一応巷で名前が通っている二人なので中には入れたがガスコーロンは出てこなかった。

 この道場でNo.2と言われる、ガスコーロンの右腕が代わりに出てきた

 

 

「これはこれは刑亥項様、私は藍英知(あいえいち)と申します」

 

 

 あからさまに身なりの良い、豪華な服装の男性が刑の前に現れた。藍は二人を道場の奥にある応接室まで案内し茶まで出した。非常に余裕のある常識的な対応だ、刑の目的を聞けば

 確実に引くだろう。

 

 

「刑様は何故にここへ? ガスコーロンになにかようで?」

 

「目的っては別に大したことじゃない、ただガスコーロンと試合がしたいんだ。自分の腕試しを兼ねてね」

 

 

 刑がそう言うと藍は下から上までじっと舐めるように観察を始めた、何度か経験した事だがこの男は少し違う、何と言うか中を覗かれているような感覚を覚えた、見た目や年齢ではなく実力を見ている、そんな感覚だ。

 

 

「成る程、噂通りのお方だ……ですが貴方では、ガスコーロンと戦わせられません」

 

「そこを一つ何とかやらせてくれないか?」

 

「無理ですね、無様に負ける所を想像できてしまったので。もしどうしてもというのなら……」

 

「言うのなら……?」

 

 

 藍の目がきらりと光る、鋭い目つきになり闘気が放たれた。この男は戦いが好きなようだ。それを感じ取った刑もまたニヤリと返す

 

 

「まずは私と戦い、納得させてみなさい」

 

「上等……!」

 

 

 

 

 ★

 

 

 

「どちらかが音を上げるまで……気を失ったら負けと致しましょう」

 

「へへ……なかなかの戦闘狂じゃないですか」

 

「刑様も似たようなものでは?」

 

「違いない」

 

 

 

 二人は道場で最も広い場所、外の練習場を丸々貸し切って試合をすることにした。そこで先程まで武術の訓練をしていた様々な年齢の門弟達が固唾をのんで見守る。軽く騒ぎになったので外からも野次馬が雪崩込んできた、塀を超えて覗き込むものもいる、やはりこの世界の人間は少しバトルが好きすぎるような気もする。

 

 

「さ、始めましょうか」

 

「よし、いつでも大丈夫だ」

 

 

 刑、人生初の対人戦が始まった。

 まず二人の構えから見ていこう、藍は左足と左手を前へ出し、少ししゃがみ込む姿勢だ、素早く間を詰めて低い位置から攻め入るつもりのようだ。

 対する刑はその場に棒立ち、腰に手を当てて立っている。トテモ戦う姿勢じゃないので場外からは野次が飛び交う。

 

 

「まともにやる気あんのかー!」「藍師範にボコボコにされろー!」「道場破り気取りはカッコ悪いぞー! ばーか!」

 

「……口が悪い、後で説教ですね。

(それはともかく見立て通りなら私より少し強い程度、速攻を仕掛け翻弄すれば倒すことは可能、多少武術を習い力押しする輩と同じ……甘いですね)」

 

 

 藍は考え、倒す算段をしっかりイメージした。そしてあとは実行するのみ。

 

 

「キェェェッ!」

 

 

 試合は藍が先手で始まった、素早い踏み込みから突き上げるように右手の貫手を胴体めがけ繰り出す。

 刑はそれを見てから半歩後ろに下がって体をそらす、避けられるのは承知していた藍は流れるように足払いを仕掛ける

 

 

「おっはえっ」

 

 

 刑はそれを軽く飛ぶことで回避し、その僅かな対空時間で一回転し姿勢を整え藍の側頭部へ回し蹴りを入れる寸前で止めた。あと一ミリズレたら頬を砕いて頭をボールのように蹴り飛ばしていただろう、それだけの迫力と威力がその何の変哲もない蹴りに込められていた。それを感じ取れるのは実際に受けたもののみだが。

 

 

「っ!?」

 

「見えたか? 冷や汗かいてるぜ?」

 

「ふ……甘いなっ!」

 

 

 寸止めされた脚を掴み、全身を使って飛び上がり関節を決めようとする、常人ならばバランスを崩し脚を壊されている攻撃だがそもそも姿勢は変わらず、まるで巨木のように全く動かなかった。

 

 

「(動かないっ!? 硬い……! そして重い! 何と言う体幹だ! いや! 何かあるはずだ! 重りではない……! 全身が全く動かなかった!)何をした……! 刑亥項っ……!」

 

「成る程察しがいい、ガスコーロンにも期待が持てる」

 

「質問に答えてはくれませんかっ……!」

 

 

 問答で気を紛らわせ無理矢理に姿勢を崩そうと掴んでいる脚をそのままに軸足を蹴るがびくともしない、むしろ藍の蹴った足が痛む。巨石を蹴ったかのような重厚感、先程読んだ気配よりも数段強いのだ。一体何をして何を隠されているのか検討もつかなかった。

 

 

「藍英知、ここからどうする?」

 

 

「藍様ー! おしゃべりはいいからやっちまってくだせぇ!!!」「藍師範ー! いけー!」「やれー! 藍英知ー!」

 

 

「野次が飛んできているぞ」

 

「ああ簡単には終わらんよっ(一か八か、隙を創り出す!)」

 

 

 藍は脚を手放し素早く後ろを取った、そして服の上着を頭に被せ視界を塞ぐ。これで感覚を乱した、次は背中に飛び膝蹴りを入れてダメージを与える! 

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

「あれっ……! そんな……! 師範の膝から血がっ!」「きゃーっ!? そんな藍様ぁぁぁぁっ!」

 

 

 藍が放った膝蹴りは藍自身を痛めた。渾身の蹴りはそっくりそのまま藍に帰ってきたのだ、実際の所を藍英知が起こした行動は全て見切られていたが敢えて受けていた。刑亥項は初撃の回し蹴りで降参するかと思っていたが、思いの外諦めの悪かった藍に称賛を送った、煽りになるので心のなかでだが。

 

 

 さて、圧倒的な実力を見せつけた刑だったが……やりすぎたのか、門弟たちから物凄い形相で睨まれていた。今にも殺されそうだ、というか血気盛んな門弟たちは襲いかかってきた。

 

 

「ズルをしたな! 鉄板を服の下に仕込んでいるのだろう! 外道めがぁぁぁ!」

 

「やっちまえっ! 卑怯な手口を使ったやつをぶち転がせ!」

 

「うおおぉぁらぁぁぁぁぁ!」

 

 

 暴走した門弟達は遠慮なく刑に殴り掛かる、こうなれば乱闘も乱闘だ、九蘭はすぐに止めようとしたが……その前に刑が動いた。

 腕をクロスさせ力を貯めると一気に気合を解き放った! 

 

 

「むぅん……カァーッ゙!!!!!」

 

 

 ドン! 

 

 

 一発の気合が空気を激しく弾き門弟達を軽くふっ飛ばした、ある者は屋根に激突しある者は塀に叩きつけられある者は野次馬を巻き添えにゴロゴロと転がされた。

 

 

「……やりすぎたか? (悟空さの気合砲真似してみたが……こんなことになるとは……相手は選ばないとな……)」

 

 

 その中心人物たる刑はいつもの調子で頭を掻いていた。

 

 門弟とNo.2を降した今、ガスコーロンが残るのみだが……それよりも先にこの惨状の収集が先かも知れない。

 

 ガスコーロンとの対決はもう少しお預けのようだ

 

 

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