開祖様は転生者。   作:テムテムLvMAX

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やっぱりタイトルはしっかり決めたほうが良いのだろうか…


4話 技と技

 まさかまさかの道場をボロボロにした刑亥項、彼は反省しているようだった。

 

 

「パパッと片付けてしまって、幾らか慰謝料を……」

 

 

 言うやいなや先程の試合とは比べ物にならない速さで瓦礫やゴミを一箇所に集め、気絶してしまった弟子たちを端から回収して内気治癒を使い怪我を全快させていく、その光景を例えるなら

 

 

「神業だ……なんて強いのだ……貴方は……っ!」

 

 

 実力を隠されていたこと以上に、藍英知は感動していた。

 眼の前に有り得ないほど強いやつが居る、その事実に武闘家の本能がビンビンに刺激され敗北を塗り潰して余りある高揚感と情熱が湧き上がってくる。

 

 

「刑! 刑亥項!」

 

「ぎゃーっ! いきなり叫ぶな! 耳が痛てぇ……で、なんですが? 藍さん」

 

「感動した! この藍英知は貴方に猛烈に感謝したい!」

 

 

 先程までの冷静な人物像から打って変わってどこぞの炎柱のような煩さで感謝を伝えてくる、刑もそれを見ていた九蘭もドン引きである、門弟達も驚いていだが驚き方が少し違っていた。人が変わり過ぎなのだ。

 それだけの刺激があったのだろうが。

 

 

「すまない刑、本当の私はこっちなのだ。先程は刑を試すために演技をしていた」

 

「えぇ……わざわざそんな事を……」

 

「更に……ガスコーロンとは私の事だ、藍英知とは偽名だ」

 

「はあっ? あー、待て、つまりドッキリ仕掛けてたのか?」

 

「そこまでコミカルなモノじゃないさ、ただ本当の実力を測るために一つ芝居をしたんだがいらなかったようだ」

 

 

 藍英知、改めガスコーロン。

 刑よりも年上であり30代後半、鍛えられた体は無駄なく靭やかである。髪は全て剃り上げ、つるつるすべすべである。頭皮が輝いている。

 

 そんな男が自分よりも公に立場が下であり年齢も下な刑に対して頭を下げた、これには道場連中も驚き、刑も驚いた。

 

 

「私を弟子にしてくれ!」

 

 

 何と弟子入りを懇願された。

 

 

「ヘッドハンティングってレベルじゃねーぞ……」

 

 

 思わず言葉がぽろりと零れる、会社で例えるなら創業者兼社長が引き抜かれていったのと同じなのだ、可笑しいが過ぎる。一度考え直すように刑が説得しようとするがガスコーロンの決意は目茶苦茶硬い、岩より硬い。

 

 

「私は技を磨いて武闘家して経験を積んだ、道場を持つまでに功績も積んだ……だが……そうではなかった、こんなにも強く、また慈悲に溢れている者が居ようとは……私は天狗だったのだ……だから私は改めて師を持ち、やり直したい! あとその強さを真似たい!!!」

 

「(最後のやつが本音だな……?)」

 

 

 ガスコーロンもガスコーロンで思うことがあったらしい、この宣言を聞いた刑は弟子入りを許した。だが条件も付けた。この道場を続ける事、修行を付ける代わりにガスコーロンも刑に技を教える事、この2つだった。

 

 ガスコーロンはそれを飲み、互いに師弟となった二人はやがて大魔王とも呼ばれる存在を叩きのめす程強くなるとか……ならないとか……

 

 

 ★

 

 

 

 後日。

 

 刑とガスコーロン、互いに亥項、ロンと軽く呼び合う仲となった、たった一日で年齢の離れた者が仲良くなったのはひとえに共通点として“強くなること”を目指していたからだ。同じ強さを求める者同士、年齢は些細な事だった。

 

 

「男っていつもこうよね」

 

 

 九蘭はアホらしくなってその輪には入らなかったが。

 

 ガスコーロンの道場を壊した分は弁償し、どうせならと刑と九蘭の部屋も敷地内に離れて建てられた。ガスコーロンは金を持っていた、というか逃がすつもりがないらしい。それをあとから聞いた二人は長く見積もって5年は東の都を離れられなくなったと顔を見合わせていたとか。

 

 

 

「さて、ロン。俺が教える前に九蘭と組手してみろ」

 

「よし! ガスコーロン! こい!」

 

「待って話が早すぎるっ! 私の意見!」

 

「問答無用だっ! ちぇりゃっ!!!」

 

 

 ドラゴンボール特有の深いボディブローが直撃した重低音が鳴り響く、アレ本当に鳴るんだと刑が感心しているとガスコーロンがみぞおちを両手で抑えながら子鹿のようにぷるぷると脚を震わせていた。

 

 

「ごっ……うご……ぉぉぉ……っ」

 

「九蘭加減した?」

 

「2割」

 

「え? それどっち? 2割で殴ったの? それとも2割しか加減しなかったの? ……おーいロン生きてる?」

 

「ひ……ひにほぅ……(訳∶しにそう)」

 

 

 これでは話をできないで素早くガスコーロンを治してやる、そこからやっと刑の話が始まった。

 

 

「ロン、さっき体験してもらったのは気と言う力だ。色々質問があるだろうが最後まで説明させてくれ、これは大事な話だ」

 

「分かった」

 

 

 ガスコーロンは聞きの姿勢に徹するようで何より。此処から先は習うより慣れろ、ただ力の在り方の説明でしか無い。

 

 原理? 知りません。全部気があれば出来ます。空も飛べます、身体能力も大きく上昇します、なんなら気を高めるだけで圧倒的なパワーを得られます、とにかく自分の体を痛めつけて鍛えまくったら勝ちです。鍛えてください、気を僅かでも掴めたら後はこっちのもんなので入口は開けてあげます。

 

 大変雑な説明を雑に纏めるとこうなる。

 

 

「脳筋か?」

 

 

 一言目に出たガスコーロンのコメントは間違いではなかった。気を使えるようになると実質的に技が廃れていく。技は力の延長線であり、言わば戦いの補助輪だ。そもそも技の有用性は身体能力に著しい差があれば消えてしまう。

 

 山を蹴っ飛ばして動かせるやつの攻撃をいなすのはハッキリ言って無理だ。技では解決しない。しかも技は時間を掛けて磨くものである、気のように成長させることが出来ない。

 

 

「言い方は悪いがレベルを上げて物理で殴れ。と言うとても原始的な結論に至る」

 

「なるほどなぁ……」

 

 

 それだけ気とは力を引き出すのだ。そこを知った上で刑が続けて話をする。

 

 

「かと言って技が腐る訳でもない、あくまでも圧倒的に差がある場合の話だ。気を使う戦いに置いては見た目や気配は当てにならんのでね、より上手く気を使いこなしたものが勝つ。それだけ」

 

 

 以上で刑の話は終わりだった。

 刑はこの説明と一緒に記憶にこびりついた原作を思い返していた、体つきや大きさ等は気というエネルギーを扱う戦闘に置いてそこまでアドバンテージを為していない事を。今はまだ手足の長さは影響はあるかもしれない、そんなモノを埋めて余りある戦術がわらわらと出てくるだけだが。

 

 かめはめ波に始まり気円斬、どどん波、魔貫光殺砲、繰気弾、これらの技が使えるようになればもう手足のリーチは関係なくなる。やはり気こそ全てなのだ。

 

 

「では、まずは気を体感してもらおうかな」

 

 

 このあとガスコーロンは悲鳴を上げて倒れたようだ。

 

 理由? 刑がひたすら浴びせ続けたからだ。

 

 哀れ、あわれ。

 

 

 

 

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