モモンガ様、総愛され物語   作:風煉

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アルベドがかなりキャラ崩壊しているのでご注意くださいw


異形種ども、集結する【女悪魔暴走編】

「それでは、本日の定例会を始める……」

 

モモンガはいつになく声を低く、凛とするかのように場を静まらせる威厳を発揮する。

国造りのため、モモンガを始めとしたメンバーは日々、準備に追われていた。

この日は新たに仲間入りした建御雷とブループラネット、そしてコキュートスの顔合わせも兼ねている。

比較的喜ばしい展開なのだが、骸骨は雰囲気が最悪すぎると心の中で嘆いた。

お祝いムードとまでいかずとも、明るい話題であるのに会議室として使っている応接間の空気は暗い。

何故か、それはモモンガの傍らにピッタリと立つ麗しき美女が原因だった。

見る者を魅了する美貌はいつも通り映えているが、その背に纏う覇気は修羅そのもの。

笑顔を張り付かせ、虎視眈々と狙いをつけるかのように、アルベドは睨みつけていた。

 

「……あ、あの」

「姉ちゃん、悪かったって言ってるじゃねぇか。 そんなに怒るなよ」

「いいえ、私は怒りなどしていません」

「ナラバ殺気ヲ鎮メテハドウカ。 コチラノ無礼ハ謝罪シタハズダガ……」

「あら? 貴方の中では主人を襲った相手に一言謝れば許されると、そんな生温いことを考えているのかしら?」

「ヌウ……」

「待て待て、俺の息子はモモンガさんには手を出してねぇ。 怒るなら俺だけにしろ」

「ですから怒ってなどいません。 今すぐに圧殺してやりたいだけでございません」

「アルベド、それはそれで止めなさい、モモンガさんに嫌われてしまうぞ」

「お父様は黙っていてください!」

 

萎縮しきったブループラネットは見るからに怯え、建御雷は頭を掻いて謝罪を繰り返す。

それでもサキュバスの憤怒は静まらず、コキュートスの弁明すら墓穴を掘る始末だ。

だが言葉の意味に同意をしてしまったのか、蟲王(ヴァーミリオン)は実質発言を封じられてしまう。

それを主人たるネフィリムが庇うも、今度は明確に本心を笑顔のまま曝け出した。

手に持つ手斧が証拠とばかりに、今にも飛びかかりそうなアルベドに父たるタブラは呑気すぎる指摘をする。

こんな状況下であるため、たっちやウルベルトたちはもちろん、デミウルゴスたちも口を噤んでいた。

シャルティアも珍しく黙っているのだが、彼女としてもモモンガと争ったという事実に怒りを覚える。

しかしそれはアルベドを認めきれていないため、彼女と同じというのは真祖として受け入れられなかった。

故に余計なことを話さないよう必死に堪えており、それも相まって混沌としている。

モモンガは困りきっていたものの、自分がなんとかしなければと声を出した。

 

「アルベド、いい加減にしなさい。 私は無傷なんだ、これ以上建御雷さんを困らせるな」

「ーー恐れながら申し上げます。 モモンガ様はご自身を軽んじておられます」

「はっ?」

「何故、そのような一大事を私に相談もなくお決めになられたのですか? どうして、パンドラズ・アクターに一任されなかったのですか? 御身自らが前に立ち、戦う必要性はなかったと愚考いたします!」

「それでは意味がない。 建御雷さんは私の実力を知りたいと言ったんだ。 それを代役で済ませるなど、彼に対して不義理すぎるだろう」

「それでも! 私は納得などできません!」

「アルベド!」

「では万が一、その相対でモモンガ様がお怪我をされたらどうされるのですか!? そんなことになったら、私は正気でいられません! 私は、私だってモモンガ様のためにこの身を鍛えに鍛え、易々と傷つかない身体を手に入れたのですよ!」

 

モモンガの言葉に、アルベドが悲痛とも言える叫びを上げる。

内容はとても良いのだが、所々で気になる単語を美女は発していた。

挙句の果てには、自らの鍛えた肉体の頑丈さを溌剌と伝えるのはどうなのかと疑問が生まれる。

だがその頑強さは真祖の本気パンチを跳ね返したという事実が、全てを証明していた。

『それはそれで興味がある』、などとちょっと危ない発想を武人主人は思う。

直後、ギュルンと首が回転するかの如く絶世の美女が睨みつけてきた。

 

「な、何だ??」

「モモンガ様! この者、私に邪な視線を向けました! 殺します良いですか良いのですねありがとうございますおらぁぁぁぁっ!」

「何ヲスル貴様!?」

「えぇぇぇぇっ!? 何してんのこの子!? しゃ、シャルティア、取り押さえて!?」

「は、はいでありんす!?」

「アウラ達も協力して!?」

『はっはい!?』

「……デミウルゴス」

「セバス、お前も頼む」

『ぎょ、御意に!?』

 

建御雷の思惑を読み取った、ように見えて口実を探していたのかもしれない。

アルベドは自分の都合で始末しようと、返答を待たずに手斧を持ち飛びかかった。

突然のことにコキュートスが素早く斧槍で受け止めた途端、熾烈な攻撃が繰り広げられる。

ちなみにモモンガはと言えば、『えっ? はっ、おっ、ちょぉぉぉぉっ!?』と、ついていく事ができていなかった。

それでも目の前の事態に反応して、ペロロンチーノ他主たちの命令で従僕たちがサキュバスを止めにかかる。

流石に同格レベルの相手を複数人相手にするのは分が悪かったのか、アルベドは地面に組み伏せられる形で取り押さえられた。

 

「タブラさん、アンタの娘どうなってんだよ!?」

「いやまぁ、こういう子なので♪ あっ、デミウルゴスにも似たような術式組み込んでるので、発動させます?」

「ぇ゙っ」

「巫山戯んな!? 今すぐ解呪の仕方を教えろ、俺の息子にトンチキな行動させたら炭にするからな!」

「……あの、うちの子たちがすみません」

「あぁっ、うん、気にしなくていいぞモモンガさん……。 ちょっと戦ってみたいとか考えた俺が悪かったみたいだからな……」

 

落ち着いたように見えるが、支配者たちの足元では未だ攻防戦が繰り広げられている。

あんまりなサキュバスの行動にウルベルトが突っ込むと、タブラがとんでもないことを言い出した。

まさかの自分にも火種が舞うとは考えていなかったデミウルゴスも、思わず冷や汗が垂れる。

そこは父として、創造主として理想の下僕のために声を張り上げた。

要するに、いつも通りの様子にモモンガは建御雷に謝罪する。

やや気になるものの、自身にも非があると武人が言葉にして、この話は一応の落着を迎えた。

 

 

「さて、建御雷さんについては良いとして」

「そうですね、次に行きましょう」

「ブループラネットさん、でしたっけ? 貴方はモモンガさんとは何処でお知り合いに?」

 

一旦の休憩を挟み、面々は再び話し合いの席につく。

ちなみにアルベドは同席しているものの、言葉を話せなくする魔法を行使されていた。

そのため、まさに麗しき女神とも言うべき表情のみで見る者を魅了するだろう。

時折その背に漂う殺気にも似た覇気さえなければの話だが。

だが気にしていたら仕方ないと切り替えつつ、異形種たちは武人の次に学者を名乗る異形種へと話題を移す。

ブループラネットについてはこの場にいる中で、現状モモンガだけが知り合いだ。

紹介も兼ねて、ブループラネットは己語りを始める。

 

「えっと、改めましてブループラネットと申します。 ()()()()の皆さま、どうぞお見知りおきを」

「おいっ!?」

「ウルベルトさん、耐えてください」

「私は普段、トブの大森林で調査・研究をしています。 平たく言うと、自然ならほぼ全般ですね」

「トブの大森林って、あの秘境の? ということはブループラネットさんは、いわゆる主って奴ですか?」

「それは違いますね。 あの森には3体の大型魔獣がいまして、『森の賢王』、『東の巨人』、『西の魔蛇』と、それぞれの領域で縄張りを形成しているんですよ」

「ほぉっ? それは初耳ですね、森の賢王は聞いたことあるのですが、他の2体は聞いたことがないな」

「たっちさんでも知らない魔物か。 で、ブループラネットさんはそんなところで生活を?」

「ええっ、たまに3匹が阿呆なことをするときがあるので、ちょいちょい教育をしているくらいですね」

「おいっ、不穏な気配しかしねぇぞ! てめぇ俺のこと言えねぇじゃねぇか!?」

「あ゙ぁ゙ん???? こちとら魔法を使わず物理で分からせてんだよ、文句あっか!?」

 

ブループラネットはモモンガを始めとした面々に頭を下げる、ただ一人最上位悪魔を除いてだが。

彼の語る内容にペロロンチーノと茶釜は興味を惹かれ、たっちももたらされた情報に関心を持つ。

そうして鳥人が尋ねると、やはり異形種らしい行動原理を発揮しているようだ。

人のことは言えないとウルベルトが突っかかると、巻き舌でブループラネットが啖呵を切る。

従僕に続いて支配者格たちの争いになるかと思われたが、骸骨様の前では全てが制定される運命だ。

 

「ほらほら、喧嘩しないでください! ブループラネットさんは俺たちにはない情報をくれる貴重な方なんですから!」

「そうですね、頭脳係の私も少しは助かりますね」

「ブループラネットさん、だったか? アンタはモモンガさんとは前から知り合いのようだが、トブの大森林で顔見知りに?」

「えぇっ、まぁ、あれはある意味衝撃的な出会いでしたね……」

 

あっという間にウルベルトとブループラネットな怒りを鎮め、話の続きをモモンガは促す。

流石の手腕とタブラは心で称賛を送り、ブループラネットを迎えることに賛成の意を示した。

それは同じタイミングでやってきた建御雷もだが、彼に振られた話題に自然学者が思いを馳せる。

そんな忘れもしない瞬間を思い出すように、皆へ語るのだった。

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