気がついたらテレッテでお手上げ侍   作:TTT

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いざ、タルタロスへ

 「武器よし、薬よし、やる気よし! いやぁ~いよいよ始まるんだな、オレたちの戦いがサ」

 

 「いよいよだ」

 

 テーブルの上に置いてある物々しいアタッシュケースの中にはそれぞれの武器、ボストンバッグには大量の薬品を詰め込んである。手汗がすごく、何度もズボンで拭う。

 

 「なに? キンチョーしてるの?」

 

 「いやいや、武者震いってやつ?」

 

 「強がっちゃってさ」

 

 「男の子だからネ。ここ一番じゃカッコつけたいのサ」

 

 いよいよだ。いよいよ始まる。ゆかりと話ながらも俺の心拍数が上がっているのを感じる。飄々と余裕ぶりながら、自信に溢れた自分を演じて、それを本物にする。

 

 「戦いとは常に自分との対話だ。自分の弱さを認識し、それでも前に進もうと出きるヤツは……強いぞ」

 

 「いやぁ、真田センパイにそう言ってもらえると嬉しいな~」

 

 「なに。探索には俺もいる。いざとなれば守ってやるさ」

 

 「んじゃ、まあ、お世話にならないようにしましょうかね!」

 

 真田先輩の視線はどこか優しい。俺の内面を見抜かれているらしい。頬を両手で叩き気合いをいれる。

 

 「そろそろ時間だ。行こうか」

 

 「わかった」 「よっしゃ!」 「はい!」 「よし」

 

 大荷物を抱え、俺たちは学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 「なんか、すごい光景だったね……」

 

 「搭ってか建物がにょきにょきーって生えてきてたな……」

 

 「内部は仰々しい」

 

 タルタロスのエントランスで荷物を置きながら、湊とゆかりと周りを見渡す。実際に見ると圧倒される。

 

 「さて、探索に辺り現場でのチーム行動を仕切るリーダーを決めておきたい」

 

 「それならもう決まってるな」

 

 「そうね」

 

 真田先輩の言葉に俺とゆかりは目を合わせて頷き、湊の方を見る。

 

 「頼んだぜ、ミナっちゃん!」

 

 「自信がない」

 

 湊は俺の言葉に短く答え首を横に振る。流石の湊も不安らしい。

 

 「そのサポートをするのがオレたちってな。目の前のシャドウを倒すことに専念して指示をくれよナ」

 

 「周囲の状況とか、不意打ち受けないようにとかは、わたしと順平で警戒しとくから」

 

 「ふっ、すでに信頼関係が出来ているようで何よりだ。探索には俺も同行するが、今回は三人を援護する形で動く。好きにやってくれ。どんな状況でも力になる」

 

 「うっし! じゃ、武器と道具の最終確認をしてからいきましょーか! ミナっちゃん、準備できたら声かけてネ」

 

 ゆかりと真田先輩と三人で最終確認を行う。武器の握りの確認、薬品、召喚機を携帯した状態での動作の確認。準備運動とこなしていく。筋肉は入念にほぐす。いざというときに足をつったりしたらそれこそ一貫の終わりだ。

 

 「しかし、順平は根っからのスポーツマンだな。準備運動もそうだが、筋肉のつき方が非常に効率的だ。瞬発的に力を出せるいい鍛え方をしている。どうだ、今度一緒にトレーニングしないか?」

 

 「見ただけでわかるんすか……あぁ、いや、トレーニングは大歓迎っす!」

 

 準備体操をしていると真田先輩がまじまじと俺を見ながら言ってくる。若干、引いてしまった。反省。

 

 「でも確かにスゴいね。腕とかバキバキじゃん。男の子~」

 

 ゆかりが無遠慮にベタベタと腕を触ってくる。警戒心とかないのか、この子。

 

 「鍛えてますから! あと男の子って単純だからあんまりボディータッチしない方がいいぜ? すーぐ勘違いしちゃうんだから」

 

 「なにそれ、誰でも触るわけないでしょ。てか順平は勘違いするわけ?」

 

 「えっ? いや、オレっちは勘違いしねーけど、女子のその行動で泣いてるヤツは何人も見てるからサ」

 

 「じゃ、問題ないでしょ」

 

 「え、えぇー……? なになに、オレっちひょっとしてモテ期来た……!?」

 

 「は?」

 

 「あ、はい。調子乗りました……」

 

 俺のおちゃらけた発言には氷のような視線を投げ掛けてくるが、ゆかりの中で、俺はかなり気安い友達らしい。

 

 「ところで順平、それと岳羽もだが、ペルソナの召喚。有里のようにちゃんとできるか?」

 

 「あー……正直、これは自信あるっす。なんつーかあの時串刺しにされてたらって思うと、召喚機すらいらない気も……」

 

 「その時の経験がまだ鮮明だからだろう。記憶が薄れてきたらなにもなしでは呼び出せないかもしれない。召喚機は使っておいた方がいい。回数をこなせば、その感覚が染み付いて召喚機なしでも呼び出せるようになるかも知れないしな」

 

 湊も出来てたし、俺も召喚機なしでもペルソナを召喚できる感覚はあるのだが、記憶は置き換わったり風化するから真田先輩の言うことも一理ある。

 

 「なるほどネ……ゆかりッチは?」

 

 「大丈夫。やってみせる」

 

 「気合い十分って感じだナ」

 

 「湊と順平にばっか、負担かけられないから」

 

 ゆかりから力強い意思を感じる。ゆかりは大丈夫そうだ。俺もペルソナは呼べる。戦って、足掻いて、生きていくんだ。

 

 「んで、肝心のミナっちゃんはあんな端でなにボーッとしてるんだ?」

 

 「なんだろ。精神統一?」

 

 周りを見渡せば湊が端の方でなにもせずに立っていた。声をかけるべきか悩んでいると急に振り返りこちらへ歩いてくる。

 

 「行こう」

 

 「お、おう!」

 

 どうやら、ゆかりの言う通り本当に精神統一だったらしい。

 

 「準備が出来たか。私はここから通信で皆のサポートをする。姿は見えなくとも志は一緒だ。バックアップはまかせて欲しい」

 

 「頼りにしてる」

 

 湊を先頭に、俺たちはタルタロスの階段を昇る。ついに、始まる―――――

 

 


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