ユグドラルにアリティアの元剣闘士をブチ込んだ話   作:塩焼きそば啜郎

16 / 36
番外編です。


番外編 一年の間に

俺はサムソン。シアルフィ公国の公子、シグルドに顔が似てるしがない傭兵だ。オーガヒルでの戦いの後、俺達は完全に反逆者の扱いになった。グランベルの反逆者にしては多国籍過ぎるのは置いておこう。あの時、シレジアの天馬騎士団が救援に来てくれなければどうなっていた事か。

俺達はシレジアの西、セイレーン城に逃げ延びた。今はいいが、いずれまた戦いが起こるだろう。少しでも長く平和が続けばいいが……

 

 

 

……はい。一年立ちました。たったの三行で一年スキップとか手抜きにも程があるな。

 

『うるせぇ!原作でもそうだっただろ!』

 

何か幻聴(作者の声)が聞こえた気がするが、気のせいだな。今回はこの一年で起こった事を纏めていこうと思う。ま、日記みたいな物だ。

まず直近では、暗殺されたクルト王子に子供がいたらしい。しかも女性。国王が見て一発で分かったそうだ。バーハラ王家の直系という事も分かっているし、何よりアルヴィスと恋仲だそう。これでグランベルは存続するようだ。

……そして次は、アグストリアとヴェルダンについて。戦後、アグストリア全土が反乱軍によって統一。俺達を追跡して来たランゴバルトとレプトールの大軍をも撃退し、更にはヴェルダンも占領。ガーネフが皇帝となり、ドルーア帝国が建国された。グランベルも軍を派遣したが、先の敗北とイザーク戦の消耗によりあえなく敗北。幸い帝国内の整備はまだ完了していないので、今は膠着状態だ。これを聞いた時は流石に頭を抱えたな。まーた蘇りやがったよ。

 

「グランベルの回復とドルーアの完全な復活、どちらが先か……」

 

まぁ悪い出来事はこれだけだ。その一つがでかすぎるのだが。さて、一年も同じ所で暮らしていたら当然とも言えるが、カップルが誕生した。まずはレックスとアイラ。そしてミデェールとエーディン。かなりいい感じなのはアレクとシルヴィア、アゼルとティルテュ。二人は幼馴染らしいな。後はベオウルフとラケシス。そして友達以上恋人未満なのはレヴィンとフュリー、ブリギットとジャムカだな。にしてもフュリーは素直じゃ無い。

とまぁこんな感じでかなりカップルが誕生して来ている。リア充ばっかで羨ましいったらありゃしないな、全く。

 

次は……ホリンの事だ。幸いほぼ回復し、今は訓練にも参加している。数ヶ月に渡るアイラのつきっきりの看護のお陰だ。一ヶ月も意識不明だった時は流石に冷や汗が出た。こないだ、久々に二人で食事に行った時の事を話そう。

 

 

「なぁ、ホリン」

「どうした」

「何故あの時アイラを庇ったんだ?」

「……咄嗟に体が動いた、としか言えんな」

「つまりアイラの事が好きだった、と」

「ブフォッ!?」

「吹く程図星か」

「……お見通し、という事か……。俺はイザークのソファラ出身でな。幼い頃からアイラと遊んでいた。もう十年も前の話だ。彼女が覚えているかは知らんが……俺は一人の美しい少女に惚れた、馬鹿な男さ……」

 

 

そう言ってホリンは酒を頼み、一気に飲み干した。しかもその後仕返しするかのように店主に俺が払うと伝えて出ていきやがったしな。勿論ちゃんと払ったよ?

にしてもあいつがイザーク出身とは驚いた。それをからかい続けてたら「月光剣を叩き込むぞ」と脅されたのは良い思い出。

 

後は何を話そうか……。実の所、あまり進展が無い。シレジアのラーナ王妃がグランベルへ手紙を送り続けているが、一向に返事が来ない。まぁ何も起こらない日々が一番良いかもしれんな。ディアドラが行方不明になって落ち込んでいたシグルドも、ラーナ王妃と出会ってからは元の明るさを取り戻し始めた。最近はエルトシャンとキュアンと三人で食事にも行ったりしている。

シャガールはアグストリア奪還に燃えていたが、ドルーアの建国を受けて無理だと悟ったようだ。そりゃ今はグランベルと同等かそれ以上の大国が相手だ。その判断しか無いだろう。

 

「……この位かな。ん?」

 

不意に、部屋の扉が叩かれた。

 

「サムソン殿、入っても宜しいですかな」

「ロレンス将軍。どうぞお入り下さい」

「失礼する。実は、サムソン殿の考えが聞きたいのだ」

「私の、ですか」

「うむ。……アカネイアについてだ」

「アカネイア……マルス王子の事ですね」

「彼は必ず動く筈だ。だがそれがいつになるか……」

「分かりません。二度の大戦でアカネイアが負った傷は余りにも大きい。他の者に統治を任せるとしても、ある程度は復興させねばいけないでしょう」

「サムソン殿もそう思うか。……儂は不安でしての。情けないですが、もう歳だ。いつまで陛下をお守り出来るか……」

「……」

「おっと、見苦しい所を見せてしまった。ではサムソン殿、儂はこれで」

「はい、ロレンス将軍」

 

ロレンス将軍は部屋から退出した。……この先、どれ程の戦いが俺達を待ち受けるだろうか。窓の外に広がるのは、終わりの無い曇天だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。