ユグドラルにアリティアの元剣闘士をブチ込んだ話   作:塩焼きそば啜郎

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マスターデュエルとデュエプレしてたらいつの間にか二週間経ってたゾ


ほんとにすみませんでした


シレジアの空に

ディートバ隊との戦いの後、俺達は雪原と森を抜け、トーヴェ城の目前まで来ていた。途中魔導士のブリザードに襲われたが、幸いにも被害は少なかった。だが一つ問題が。

 

「くっ……橋が落とされている……」

「これじゃ渡れませんね……マイオス公が落としたのでしょう」

「どうするか……」

「おいらに任せといてくれよ」

 

馬の間を、盗賊のデューがすり抜けて来た。

 

「デュー!任せるとは?」

「突撃する準備をしていてくれよ。こんな鍵、おいらがちょちょいのちょいと………ほらね」

 

すると、落ちていた橋が再びかけられた。これにはシグルドも唖然としている。盗賊が得意な事はアカネイアでもユグドラルでも変わらんらしいな。

 

「……よし、突撃するぞ!デューは下がっていろ!」

 

シグルドが驚きつつも突撃を仕掛ける。城の前に待機していた重騎士団は慌てて向かって来たが、機動力はこちらの方が大幅に上だ。騎兵が敵を包囲し、俺達歩兵が囲まれた敵を一気に叩く。魔導士もいたが、魔法を放つ前に撃破された。その勢いのままに城内へと突入していく。

 

「マイオス公!貴方の野望も終わりだ!」

「く、くそ……こうなれば貴様も地獄に道連れよ!」

 

マイオスは魔導書を掲げる。

 

「死ね、トルネード!!」

 

すると巨大な竜巻が現れ、シグルドに向かって来た。ミデェールが矢を放つも、竜巻に軌道を乱されてマイオスには当たらない。

 

「シグルド公子!」

「くぅぅっ!?」

 

シグルドはなんとか竜巻を避けた。だがマイオスは既に次のトルネードを構えている。

 

「ぬぅ、なんだこの炎は!?」

「炎……アゼル、君か!」

「今です、シグルド公子!」

 

突然マイオスの足元から上がった炎により、トルネードは消えた。その隙にシグルドが一気に距離を詰め、炎に気を取られたマイオスは剣を振り下ろす。

 

「がぶっ!……」

「……倒れたか……」

「マイオス公は以前からトーヴェで圧政を行っていました。トーヴェの民も喜ぶ事でしょう」

 

オイフェが言う。まぁいかにも悪人面してたからな。その後シグルドは長老と話し、俺達はトーヴェに留まりつつ、ワープの杖等でセイレーンへと少しづつ兵を帰還させる方法を取った。いつザクソン城でダッカーが動き出してもおかしく無い。全軍で移動しても背後を突かれたら終わりだ。

こうしてグランベル……いや、元グランベル軍は束の間の休息を手に入れた。

 

 

 

 

 

「へぇ、へぇ……お前ら!やっとこさシレジアが見えて来た、もう少しだ!」

 

険しい雪山の山道を、シレジアの風魔導士に連れられたヴェルダン軍が歩いていた。皆厚い毛皮を纏っているが、その表情は震えていた。

先頭を歩くガンドルフが指差す。遠くに見えたシレジア城目指して数人の兵士が駆け出した為に、全員が雪玉と化して斜面を下る事になったのはまた別の話。ようやく到着した頃には、ヘトヘトになっていた。

 

「てな事があったんだ。ここは寒すぎるぜ!」

「ヴェルダンはユグドラルの南にありますからね。遠路はるばる、お疲れ様です。今日はゆっくりとお休み下さい」

「そうさせて貰うぜ」

 

城を案内されたガンドルフはラーナ王妃に挨拶をし、部屋を出た。

 

「……そう言えばあの方、王族だったかしら……」

 

哀れガンドルフ。

 

 

 

二日後。シレジア城には二つの知らせが届いた。一つはシグルド公子率いるグランベル軍がトーヴェ城を落とした事、もう一つはザクソン城からパメラ率いる天馬騎士団がシレジアに向かって出撃した事。

 

「よし、お前ら仕事だ!俺達は地上から敵を叩く。間違えてもシレジア軍に矢を放つなよ!」

「我らの使命はシレジアを護る事。苦しく辛い戦いになるだろうが、頑張ってくれ。マーニャ隊、出撃する!」

 

シレジア城の庭ではガンドルフがヴェルダン兵に、マーニャがマーニャ隊の天馬騎士に指示を飛ばし、シレジアから出撃した。

 

「ガンドルフ殿、地上から援護を頼む」

「任せときな。だがこっちは弓兵も抱えてるんでな。悪いが弓兵の守備を優先でやらせて貰うぜ」

「構わない。我らの力をお見せしよう」

「マーニャ様、遠方にパメラ隊を発見!」

「よし、上昇だ!」

「行くぞ!シグルドの援軍を驚かせてやれ!」

 

ヴェルダン軍が走り、マーニャ隊が空を翔ぶ。やがて、二つの騎士団が向かい合った。

 

「パメラ、久しぶりね。貴方とは共に修行を積んだ仲だったけど、まさか戦う事になるとは思わなかったわ」

「フン、滅びゆく運命の王家に忠誠を誓う愚か者め。しかも蛮族の残党というおまけ付きか。シレジア四天馬騎士のトップは私が頂く」

「愚かなのは貴方よ。この上は共に騎士として恥ずかしくない戦いをしましょう」

「甘い奴……パメラ隊、突撃せよ!」

「マーニャ隊、迎撃するわよ!」

 

その瞬間、シレジアの空に無数の怒号が飛んだ。マーニャ隊は剣を、パメラ隊は槍を巧みに操り、空中で激突する。両軍の実力は拮抗していたが、ヴェルダン軍の支援を受けたマーニャ隊が若干有利だった。だがそれも、あっという間に逆転する事となる。

 

「ガンドルフ様、あれを!」

「ん!?……ありゃあグランベルの紋章!しかも弓騎士団じゃねぇか!?」

「どうやら援軍が来てくれたようだな」

「パメラ、貴方……!」

 

遠くから、数十騎の弓騎士が駆けて来る。しかも全員が勇者の弓を構えていた。

 

「チィ、マーニャ!天馬騎士は任せる!」

「分かった!」

「お前ら、全力であの弓騎士団を撃退するぞ!!」

 

弓騎士団の先頭にいる男が呟く。

 

「ほう……確かあれはヴェルダンの蛮族共か。丁度いい、ユングヴィを侵略された恨みもある。天馬騎士団と共に始末してくれよう。ゆくぞ!」

 

号令と共に、先頭の男……ユングヴィ家当主、アンドレイ率いるバイゲリッターが動き始めた。雪原を駆けながら、弓を構える。

 

「まずは蛮族共からだ!」

 

一斉に放たれた矢は風を切り、一直線にガンドルフ達に向かって行く。だがその矢は巨大な盾に防がれた。

 

「なんだと!?」

「へっ、天馬騎士対策にこの盾を仕入れといて良かったぜ。弓兵!まずは馬の足を撃ち抜け!」

 

盾の間から弓兵が矢を発射する。予想外の展開に驚き、動きを止めたアンドレイ達には効果てきめんだった。数本の矢が馬に刺さり、馬は次々と暴れて騎乗している騎士を落として行く。ある者は馬に踏み潰され、またある者は逃げようとした所をヴェルダン兵に仕留められた。

 

「馬鹿な……!」

「お前ら突撃だ!」

 

あっという間に瓦解したバイゲリッター目掛けて、ヴェルダン兵が斧を持って突撃した。アンドレイとその他数騎の弓騎士は矢を放ちながらなんとか距離を取って行く。道中の残兵を始末しながら走ったガンドルフだったが、ここで引き返した。

 

「もう奴らに力は残ってねぇ。それよりもマーニャの援護だ。こっちも追う途中にちと痛手を貰ったからな」

 

ガンドルフは何人かのヴェルダン兵の死体を一瞥しながらマーニャ隊に加勢した。その後、シレジア城にパメラ隊の撤退とマーニャ隊、ヴェルダン軍の勝利の報がもたらされた。

 

 

 

「……どうしたんだ、何か気になる物でも見つけたか?」

 

夕暮れ。怒号と断末魔に包まれた雪原は、嘘のように静まり返っていた。それを、マーニャがシレジア城から見つめる。

 

「ガンドルフ殿……今回の戦い、私の隊もパメラ隊も少なくない犠牲を出した。……あんな戦いに意味なんて無いのに……」

 

マーニャが見つめる先には、雪原に広がる無数の死体があった。いつ攻撃が再開されるか分からないという理由でそのまま放置されていたのだ。

 

「確かにな。だがよ、本当に意味のある戦いなんて世界中探したってあるか分からないだろ?」

「……そうだな。なら責めて、倒れた者達が納得出来るような未来を目指そう」

「それがいいぜ」

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