ユグドラルにアリティアの元剣闘士をブチ込んだ話 作:塩焼きそば啜郎
アカネイアからの援軍
どうも、サムソンです。無事にザクソン城を制圧し、ダッカーの野望を打ち砕いた……と思ったら、今度は東のリューベック城がランゴバルトの軍に制圧されてしまった。また連戦か壊れるなぁ(精神)
因みに盾は以前より大きな物を制作してもらい、革のベルトで腕に巻き付けてる形だ。勿論三本指でも持ってるけどね。
「シグルド様、東から騎士が一騎、こちらへ向かって来ています」
「何、敵か!?」
「いえ、リューベックから追撃が出ているので、恐らく味方かと」
「ならば助けなければな。……!?」
隣でオイフェと話していたシグルドが、西に何かを発見した。俺もそちらを見る。今は城門の前だ。
「……おいおい、まさか……」
そこから向かって来たのは一つの騎士団。先頭には、青髪の男性がいる。俺はその精悍な顔つきをよく知っていた。
「マルス王子!?」
「あの方が!?」
「あぁ、それにアリティア騎士団もいる……」
やがて、話せる距離まで近付いてきたアリティア騎士団を前に、シグルドは馬から降りる。
「貴方は……」
「始めまして、シグルド公子。僕はアリティアから来た、マルスという」
「シアルフィ公国公子、シグルドと申します」
「そんなかしこまらなくてもいいさ」
シグルドが緊張でガチガチになっていると、エルトシャンとシャガールがやって来る。
「シグルド、なんの騒ぎだ?」
「アリティアからマルス王が来られた」
「!?!?!?」
「何事だ!?」
「シャガール王、アリティアからマルス王が来られました」
「!?!?!?!?!?」
「マ、マルス王子……いや、今はマルス王でしたな」
「ロレンス将軍!?」
やべ、王族組はあたふたしてるしマルスはロレンス将軍と合って思考停止してるし……あーもうめちゃくちゃだよ!
「マルス王!何故このユグドラルに?」
「君はサムソン!久しぶりだね。このユグドラルでドルーア帝国が復活したと聞いて、やって来たんだ。勿論アカネイアもあるから限られた戦力しか無いけど……もう少しで、彼女も来るはずだ。……ほら」
マルスが指さした先からは、数騎の龍騎士が飛んで来る。
「ミネルバまで!?」
「うん。彼女にも無理を言って来てもらった」
「サムソン、ミネルバと言うと……」
「マケドニアの王族だ。本人はその地位を捨てたと言うが……」
「大物が来すぎなのでは?(疑問)」
「それはそう」
しかしこれなら討伐軍相手でも何とかやって行けそうな予感はする。
「サムソン、久しぶりだな」
「カインか。相変わらず真っ赤な髪な事だ」
「地毛さ」
奥からはアベルもやって来た。しばらく話していた所で、ユグドラルの王族達とマルス、ミネルバが並び立つ。
「突然の訪問ですまない。僕達アリティア騎士団は、君達グランベル軍と共にバーハラに向かい、ドルーア帝国討伐を呼びかけようと思う」
「私、ミネルバもマルス王の命でマケドニア竜騎士団を率いて来た。宜しく頼む」
両軍から歓声が上がった。やっぱ英雄王の名はユグドラルでも轟いていたって事だな。今回はアリティア、マケドニア勢を加えた全軍で進む。シャガールは何気に初陣か。
「フフフ、ようやっと儂の出番よ!ロレンス、頼りにしておるぞ」
「はい、陛下よ……」
「うーむ……」
「どうした、サムソン」
「いや、シャガール王は重騎士団だ。機動力はどうなのだ?」
「そこなんだが……」
シグルドは東の丘を見た。そこには敵の重騎士団やシューター部隊がわんさかいる。かなりの大軍だ。
「情報によると、ランゴバルト卿はイザークの反乱鎮圧に向かっていた息子のダナンを連れ戻し、グラオリッター全軍を集めたらしい。しかもその前にあの前線の重騎士団の包囲網だ。嫌でもシャガール王に頼るしかあるまい」
「……かなりきつい戦いになりそうだな」
「うむ」
グラオリッター……ドズル家が誇る斧騎士団か。
「シグルド公子」
「レックス!」
「今回の戦い、多分兄貴と戦う事になる。その時は、どうか殺さないでくれないか。無茶な頼みってのは分かっている。だがあんなんでも俺の家族なんだ。しかも、ドルーア帝国もあるしな。今は諸侯どうしで争ってる暇は無い」
「……分かった。分かり合える未来を信じよう」
「……すまない、シグルド公子」
レックスはその場を去って行った。シグルドが戦場を見る。……そろそろか。
「これより、リューベック城へと進軍するぞ!アグストリアの力を見せつけてやるのだ!!」
シャガールの号令で、重騎士団が一斉に動き出す。緑広がる平原を、鉄の塊が覆い尽くした。敵もこちらの動きに気付いたのか、シューター部隊が構え始める。
「ジャムカ隊はシューター部隊を攻撃するぞ!重騎士団はシャガール王と兄貴の部隊に任せる!」
「ブリギットさん!」
「行きますよ、ミデェール!」
「聖戦士の血を引く方が味方とはありがたい!」
今回は歩兵中心となる進軍だった。重騎士団を先頭に、ジャムカ隊が横に並ぶ。騎士団は弓兵達の護衛だ。そして剣士は……
「斬鉄剣!!」
「俺の銀の大剣、受け止められるか!」
「銀の剣だって忘れてもらっては困る!」
混戦状態の戦場を駆け回り、一撃離脱を繰り返して行く。正直行ってとんでもなく辛い。シャガールの重騎士団をぶつけなければ物量で押し込まれていただろうな。それ程大軍だった。
「ホリン、無事か!」
「当たり前だろう。しかし数が多い!」
「畜生、てめぇらが羨ましいぜ!」
「ガンドルフ!」
「斧はリーチが短いってんだ畜生!」
「なら剣に変えるか?」
「遠慮しとくぜ!」
文句を言って置きながらも、ガンドルフは敵の懐に入り込んで鎧をかち割ってる。ヴェルダン男児は伊達じゃないって訳か。
「ん、後ろからも重騎士団が来てる!?」
「何!?」
やばい、後ろの敵を完全に忘れてた。ザクソン城が落ちたらそれこそ終わりだ。
「シグルド公子!!後方から敵だ!」
「なんだと!?」
「なら、マケドニア竜騎士団に任せろ!」
「ミネルバ殿!」
「シューターが邪魔で飛べなかったからな。マケドニア竜騎士団、出るぞ!!」
ミネルバの後を竜騎士達が追っていく。ひとまず安心になった。それよりもここをどうにか切り抜けなきゃ……。切っても切っても鎧が押し寄せて来る。だがそれも無限では無かった。何とか向こう側の景色が微かに見えて来る。
「ホリン!」
「あぁ!」
ここぞとばかりにペースを上げ、何とか鎧の嵐を切り抜けた。すると周りの景色も良く見えるようになった。シューター部隊の所から巨大な竜巻が発生している。トルネードの比じゃなさそうだ。
「おぉ、あれは……」
「レヴィン王子のフォルセティだろうな」
「あの人神の血引いてたの!?」
「そんな事も知らんのか!?」
「知らねぇ!!……来るぞ!」
俺は、再び迫りくる敵に剣を向けた。
こっから原作とは大分かけ離れていきます。バーハラは回避しなくちゃ……(使命感)