ユグドラルにアリティアの元剣闘士をブチ込んだ話   作:塩焼きそば啜郎

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構成がバチクソムズいんじゃあ〜
至らぬ部分も沢山あるかと思いますが、どうか暖かい目で見守って頂けると幸いです。高評価と感想欲しいよ……(乞食)


過去を越えて

部屋に戻って来たシグルドを見て、俺は驚いた。なんせその横にはいなくなった筈のディアドラがいたからだ。

 

「ディアドラ様!?」

「シグルド、どういう事だ!?」

 

ノイッシュや、レヴィンが詰め寄る。シグルドは皆を宥め、状況を説明し始めた。

 

 

 

「……てことは、今までディアドラは洗脳されてて……」

「危うくアルヴィス卿と結婚する所だったってのか。スケールデカすぎるぜ」

「でもまさか兄様が……」

 

アゼルは一人俯いている。そりゃ自分の兄が騒動の黒幕だったら誰でもこうなるだろう。

 

「大丈夫よ、アゼル。きっとアルヴィス卿にも何か訳がある筈だわ」

「エーディン様……」

 

エーディンが隣でアゼルを慰めた。すると、丁度アルヴィスが目を覚ましたという報告が入った。アズムール王も一緒だ。流石に大勢で詰め寄るのも何なので、主要人物であるアズムール王、ディアドラ、シグルド、アゼル、アイラの五人が部屋へ行く事になった。

 

「みんな、待っててくれ」

 

そう言ってシグルド公子は四人と共に部屋を後にした。

 

「……しかし」

「どうした?サムソン」

「何、展開が急過ぎてな……俺も傭兵家業は長いが、こんな事は初めてだ」

「何処の国でも経験した事ある奴はいないだろうよ。シグルド公子みたいな事はな……」

 

レックスの言葉に俺は深く頷いた。

 

 

 

変わって、王宮の一室。そこには、ベッドに横たわるアルヴィスと、それを囲む五人が立っていた。

 

「……アルヴィス卿、そなたの企みはランゴバルト卿から聞かせて貰った。理由を話して貰おう」

「……私が目指したのは、誰もが平和に生きていける世界……陛下は、ロプト教について、どうお思いですか?」

「奴らは暗黒神ロプトウスを信仰し、世界を揺るがした大罪の化身。そんな者を断じて許す訳にはいかん」

 

アズムールが断言する。

 

「大司祭マンフロイに声をかけられた時、私には同情心が生まれました。自分がロプト教の子孫というだけで迫害され、処刑され、挙げ句の果てには幼き子供でさえロプトウスの復活を願う……そんな物は私の理想の世界では無い。だから、私は聖騎士マイラの血を引く者としてこの理想を成し遂げようとしたのです。例え人の道を外れたとしても」

「……それなら、その理想とやらのせいでイザークが目茶苦茶になったと言うのか!!」

 

アイラが突然声を荒げる。だが、アルヴィスは首を横に振った。

 

「それに関してはレプトール卿の独断だ。私も陛下に出兵を止めるよう言ったが、止める事が出来なかった」

「……」

 

これにはアイラも押し黙るしか無かった。次に、シグルドが口を開く。

 

「アルヴィス卿、何故ディアドラが……」

「ディアドラはマンフロイ達が連れてきた。聖者ヘイムの直系である彼女と結婚する事で王家を私が継ぎ、グランベル帝国を建国しようとしたのだ。しかしまさかシグルドの妻だったとは……」

 

場の雰囲気は相変わらず重苦しい物だった。ずっと俯いていたアゼルが顔を上げる。

 

「兄様、何故です?」

「何?」

「何故、理想の為に多くの人を騙し、多くの犠牲を出したのですか!?」

 

今まで生気が無かったアルヴィスの瞳が見開かれた。

 

「……何が分かる!」

「!」

「幼くして両親を失い、強引に当主に祀り上げられた俺の気持ちが!理想を夢見て、それでも力足らずに絶望した俺の気持ちがお前に分かるものか!!俺はなんだってやるぞ、この世界を理想郷に変えてやる!!」

「……なら何故僕に言ってくれなかったのですか!?貴方は僕の事を大切に思っていてくれた筈です!だからこそ、僕を弟として迎えてくれたのではないのですか!?」

「アゼル……」

 

アゼルは鬼気迫る表情で言った。その目には涙が浮かんでいる。やがてアゼルは床にへたり込んだ。

 

「お願いです……どうか、また昔の優しい兄様に戻って下さい……お願いです……」

「……」

 

アルヴィスはベッドから起き上がる。アズムールがそれを止めたが、構わずに立ち上がった。そしてアゼルに近付き、そっと抱きしめる。

 

「すまない、アゼル……やはり私は、心のどこかでお前を信頼出来ていなかったらしい……。たった一人の弟なのにな……」

 

アルヴィスはアズムールへと向き直り、跪く。

 

「陛下、私はこれまでに多くの罪を重ね、多くの人々を死なせて来ました。これは全て私の独断です。ですからどうか、弟には寛大な処置を賜り頂きたいのです」

「安心せい。その事については、今は考えがある。少なくとも貴公の弟には罰は無いと言っておこう」

「有難き……」

 

そう言いかけた所で、アルヴィスは床に倒れ伏した。胸辺りを押さえて苦悶の表情を浮かべている。

 

「兄様!」

「アルヴィス卿、やはり無理をなさってはいけません!もうしばらくはお休み下さい!」

 

五人は何とかアルヴィスをベッドに寝かせる。

 

「アルヴィス卿、大丈夫ですか?」

「……意外だな、シグルド」

「?」

「知らなかったとは言え私はお前の妻を奪い、お前を殺そうとした男だ。罵倒の一つは聞くと思ったが」

「……貴方は私の友の兄上です。そしてディアドラからも、貴方を責めないよう頼まれました」

「貴方は今まで私を一人の女性として愛してくれました。こんな事は身勝手と承知しています。でも、それでも貴方を恨む事なんて出来ません」

「……」

「儂はこれからランゴバルト卿とレプトール卿を呼ぶ。お主も傷が癒えたら王宮に来るがよい」 

「御意……」

 

その後、部屋にアゼルだけが残り、他は退出した。グランベル再建の日は、そう遠く無い……誰もがそう思った。だがそれには、多大な時間と熾烈な戦いが代償となる。

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