ユグドラルにアリティアの元剣闘士をブチ込んだ話   作:塩焼きそば啜郎

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やっと書けた……


暗黒神顕現

城門を突破し、ドルーア城内部へと突入する。……まんまあの時と変わらんな。薄暗いレンガ造りの壁に、悪趣味な装飾。冷たい空気もそのままだ。

 

「変わらんな、マルス王」

「うん。もう二度と来たくは無かっけどね……。目指すは暗黒竜メディウス!奴の元へ行こう!」

 

マルスの声に各々が呼応し、ドルーア城攻略戦が始まった。左右はトラバントとキュアンが、後衛はランゴバルトとレックス達が担当する。先頭はマルスだ。

 

「早速出てきたか!」

 

通路の向こうからジェネラルやスナイパーがわんさかと出てきた。一気に緊張状態が高まる。

 

「ここは私が!」

 

動いたのはブリギッドだった。素早く構えたイチイバルを放ち、敵の出鼻を挫く。それを合図として、全軍が敵に突撃する。とてつもない威力の神器を携えた聖戦士達に、ドルーア軍はかなり苦戦を強いられていた。

 

「おいサムソン、こいつはもしかすると……」

「もしかするかもしれん、と言いたいが……問題はメディウスとロプトウスだ。奴ら竜族の前では神器と言えども……」

「うーむ……」

 

こんな会話をしながら戦闘が出来るくらい、今は順調に事が進んでいる。だがそれも、束の間の物だった。

 

「皆の者!後ろから来るぞ!」

 

ランゴバルトが叫ぶ。振り向いた何人かが見たのは、轟音を立てて迫りくる魔竜の群れだった。……ほんとに変わらねぇな!!畜生、二度とあのブレスは喰らいたく無かったのに!

 

「念の為ドラゴンキラーを仕入れておいて良かったか……」

「お前いつの間に……?」

 

ドルーアからシアルフィを奪還する際、村に隠しておいたのを回収していたのだ。無事でよかったよ本当に。

 

「ギャアアァアッ!!」

 

魔竜が咆哮を上げてこちらに迫り来る。俺はドラゴンキラーを構えて走って行った。

 

「貴様はドルーア軍の相手でもしていろ!我がスワンチカの守護ならば、竜など敵では無いわ!!」

「あんた、竜と戦った事など無いだろう!私はこいつらとは嫌という程やって来たんだ!」

 

ランゴバルトが顔を歪める。実際竜族のブレスに耐えられるのなんてごく少数しか居ないからな。避けるのが無難だ。その点あんたはどーよ?スワンチカなんて重さの塊じゃねーか。

 

「舐めるなよ!」

 

ランゴバルトはそれでも魔竜に突撃していく。そしてブレスを喰らい……って避けやがった!すげぇ、めっちゃアグレッシブ!

 

「なんだあの親父!?」

「父上があんなに速く動けるとは……」

「聞こえておるぞ馬鹿息子共が!!手を動かせ手を!!」

「やっべ、行くぜ兄貴!」

「言われなくとも!」

 

レックス、ダナンもランゴバルトに合流する。俺もドラゴンキラーを振るい魔竜を切り裂いていった。バロンの機動力じゃマルス達に追いつくのは厳しいな……早めに終わらせるか。

 

 

 

 

「サムソン達は……後方か!」

 

前方でドルーア軍と戦っていたシグルドが、後方で魔竜を相手取るサムソンを見つけた。

 

「よそ見をしてる暇は無いぞ、シグルド!あの男ならきっと合流してくる筈だ!」

「キュアンの言う通りだ。今はここを片付けて先に向かうぞ!」

「……あぁ!」

 

ティルフィング、ミストルティン、ゲイボルグが戦場を舞う。三人の圧倒的な力と機動力の前に、ジェネラルの壁も突き崩されていった。

 

「このトラバントも忘れて貰っては困る!」

 

トラバントは飛竜の体躯を活かして単独で敵を蹴散らしていた。トラバントが討ち漏らした敵を、レプトール、アルヴィス、レヴィンが魔法で仕留める。

 

「ちぃ、こんな狭い所では我らの神器は使えぬな」

「何、ロプトウスの前なら使っても怒られぬよ」

「お二人さんよ、まずはここを突破しなきゃなんじゃ無いのか?」

 

それぞれがエルサンダー、エルファイアー、エルウィンドで道を開いていた。

 

「これでとどめだ!」

 

ティルフィングが部隊長の鎧を砕き、一先ずは決着が着いた。同時に、後方からサムソンがやって来る。

 

「サムソン!無事だったか。ランゴバルト卿は?」

「後で合流する。単純に機動力の差だ」

「そ、そうか……。とにかく、マルス様は一足先にメディウスの元に向かわれた。後を追うぞ!」

 

そう言ってディアドラを自身の白馬に乗せるシグルド。く〜ッ、羨ましい。あ、ここからは俺の地の文ね。

 

「……!?」

 

その時、巨大な地響きが。地の文でふざけてる場合じゃ無いな。俺達は一丸となって先へ進んで行った。

 

 

 

 

 

 

しばらく進むと、大広間にでた。そこにはマルスの姿もある。そして奥には、バーハラ城で見たロプトマージ。ガーネフに吹っ飛ばされてたおじさんだ。

 

「マンフロイ……!」

「みんな、こいつはもう人間じゃなくなってる、気を付けろ!」

 

マルスの声と同時に、ロプトマージから禍々しいオーラが放たれる。取り出したのは、ロプトウスの書だった。

 

「フフフ……ヤハリ地竜族ノ王ノ力ハ凄マジイ物ダ……コノ魔導書ニ眠ル我ガ潜在意識ヲ呼ビ覚マストハ……」

 

そして、次第にそのオーラは大きくなって行き、一つの形を形成した。大きな翼に黒い体。妖しく光る赤き眼。誰かがこう読んだ。

 

「暗黒神……ロプトウス……!」

「ソウダ……我ガ名ハロプトウス!今ハコノ霊体シカ持テヌガ、イズレハアカネイアヘト赴キ、地中ニ眠ル我ガ実体ヲ取リ戻シテクレヨウ」

 

ロプトウスが唸りを上げる。同時に、左右から大軍が攻めて来た。クソ、戦力を分散させる気か!

 

「シグルド公子、左右は歩兵達に任せろ!奴の攻撃、喰らえばひとたまりも無いぞ!」

「あぁ。そうさせて貰う。エルトシャン、キュアン、行けるか」

「君の頼みなら。だろう、エルトシャン」

「あぁ。勿論だ」

「ラケシス、行けるか?」

「勿論です、エルト兄様」

「エスリン、援護を頼む」

「分かりました。兄様も気を付けて……」

「私なら大丈夫だ。アルヴィス卿、左右の敵は任せてもよろしいでしょうか」

「任された。左右は食い止めよう」

 

こうして、再びこの世に現れたロプトウスとの戦いが始まった。各々が神器を手に取り、敵へと向かっていく。

 

「死ネ!」

 

放たれた闇のブレスを避けたエルトシャンが、ミストルティンをロプトウスに叩きつける。だが効果は今ひとつだった。

 

「くっ……硬いな」

「ソノヨウナ軟弱ナ剣デハ我ニハ勝テヌ!」

「ならば!」

 

シグルドとキュアンが同時に攻撃を仕掛けた。だがそれも効かず逆にブレスを喰らいそうになる。

 

「これもだめか……」

「兄様!」

 

エスリンの援護を受けながらも、シグルドは何とか致命傷を喰らわないように立ち回っていた。横を見ても、ドルーア軍の攻勢が収まる気配は無い。

 

「シグルド様……私に行かせて下さい」

「ディアドラ!……だがあまりにも奴は危険だ」

「それでもです。もう……貴方の後ろにいるだけでは嫌なのです」

「ホウ……ナーガノ血ヲ引ク者カ。ナラバココデ逃ガス訳ニハ行カン」

 

闇のブレスがディアドラへと放たれる。しかし、それは彼女の前で光に阻まれた。

 

「私には……偉大なる神竜(ナーガ)が、そして……大切な人がついています。光よ、希望よ……暗黒神に裁きを!」

 

その瞬間、誰もがディアドラを見た。ナーガの書から溢れ出す光はやがて、ロプトウスと対になるように竜の形を模していく。

 

「ナーガ……マタシテモ我ノ邪魔ヲスルカ!!」

 

放たれたのは、最大級の闇のブレス。しかしナーガも対抗して、眩い光のブレスを放った。

 

二体の竜による激しい戦いは城内を揺らし、その衝撃は凄まじい物だった。誰もが戦う事を忘れ、その攻防に目を奪われる。

 

「クッ……忌々シイ!」

 

ロプトウスはブレスの噴射を止め、羽ばたく事で光のブレスを回避。その鋭い鉤爪でナーガに切りかかった。

 

「何ィ!?」

 

しかしナーガはロプトウスの攻撃を避け、逆に牙で腕を噛みちぎる。ロプトウスから苦悶の声が上がった。

 

「グアァァァ!ナーガァァァ!!」

「闇よ……再び地の底へ!」

 

飛び立ったナーガが眩い光球となり、無防備なロプトウスに直撃した。その体を、光が包み込んでいく。

 

「オノレ……許サヌゾナーガ!必ズヤ!コノ世界ハ闇ヘト堕チテイク運命ナノダァァァァァ!!!」

 

その断末魔と共に、ロプトウスの霊体は消滅した。地面に落ちた魔導書が、淡い光と共に焼けていく。

 

「な、なんだ!?」

 

レプトールが声を上げた。先程まで戦っていたドルーア軍が、急に地面に倒れ始めた。その衝撃で外れた兜の中身は無かった。ただ、小さな黒いオーラが抜け出ていく。

 

「……恐らく、我らはロプトウスが操っていた死者共と戦っていたのだろう。そしてロプトウスが消えた事でその支配から解放された……」

「いや、まだだ」

 

アルヴィスが構える。その先には、一人立ち上がった騎士がいた。騎士は剣を取らず、ただディアドラの方を向いている。アルヴィスも不思議に思い、魔導書を閉じた。

 

「……さぁ、行くべき所へ還るのです。貴方は、もう自由ですよ」

 

ディアドラがそう語りかけた。騎士はゆっくりと片膝をつき、ディアドラに頭を垂れる。その姿勢のまま騎士の鎧は崩れた。

 

「終わった、のか……ロプトウスとの戦いは」

「あぁ、終わった。だが……まだ戦いは終わって無い」

 

城の奥から響き渡るおぞましい咆哮。それが最後の戦いの合図となった。

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