実は気づいてなかったけど、転生先がキングダムだった話、する?   作:匈奴人

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なぜかこういう文章の多いやり取りみたいなものを書いてしまう。

次話は戦闘シーン……にならない気がします。
いやなるか。

宜安戦後半なので李牧の軍もボロボロです。
ただ宜安軍32万の残りがいるので結構な数にはなるのかな。

というかなるという方針で、李牧は外において戦争を書きます。


IF 原作宜安前時に匈奴が侵攻したら
IF 第1話 驚愕の親書


《燕国 対趙国境付近 介黄・軍議の間》

 

 燕国における、北部の対趙国の重要拠点『介黄』は、夜半になっても慌ただしく議論が行われていた。

 

 六大将軍を復活させ、前年には趙国王都圏の武城と平陽を、その三年前には鄴と遼陽を陥落させた秦。

 その大軍勢が、今度は閼与を制圧し、そのまま趙北部へと侵攻を開始したのだ。

 

 侵攻軍を率いるのは、かつて列国を恐れさせた六大将軍の地位についた将の一人であり、趙軍十万の首を切った桓騎。

 そしてその後方の閼与にも、同じく六大将軍にして天賦の軍略の才を持つ王翦が大軍を率いて入っている。

 

「もうあんなところまで……!」

「このままでは秦が趙北部を攻略してしまうぞ……!」

 

 介黄の上層部たちが集まるのは、集められた情報が集約される軍議の間。

 そこに置かれた趙北部の地図を見ながら、この秦の趙北部侵攻について意見をぶつけ合う。

 

「秦は邯鄲は落としておらん。趙との戦争中に燕との戦争を始めるようなことは無いと思うが……」

 

 その中でもやはり気になるのは、秦が趙北部を支配した勢いのままに燕に攻め込んでこないかどうかだ。

 土地や城の取り合いをする趙、燕と違って、秦は全力を持って国を滅ぼそうと攻めてくる。

 その勢いは、未だ攻撃を受けていない燕にとっても恐ろしいものであった。

 

「ならばまだ猶予はあるか」

「わからんぞ、なにせ奴らには六大将軍がいる」

「ど、どういうことだ?」

 

 わずかに安堵の空気が広がりかけた一団に、一人が待ったをかける。

 彼はかつての秦の六大将軍に恐怖を覚え、その内容と脅威を個人的に調べたことがあったのだ。

 

「秦の六大将軍は、ただ優れた将軍というだけではないのだ」

 

 優れた将軍という意味で言えば、例えば趙の三大天。

 あるいは個々を見れば少しばかり劣るところもあるが、魏火龍七師。

 燕にだって、既に亡くなったが劇辛やオルド将軍がいる。

 

 優れた将軍というのは何も秦の専売特許ではない。

 

 それ以上に恐ろしいのは、そうした優れた将軍たちに、大きな権限を与える六大将軍という制度なのだ。

 それ故に、かつての秦は同格の三大天や魏火龍七師を要する他国を侵攻し、勢力を広げた。

 

「秦の六大将軍は、奴らの王都咸陽や、秦王に図ることなく自由に戦争を行うことを許可されている。奴らが必要と思えば。そして戦いたいと思えば、自由に戦争を始めることが出来てしまう」

「そ、そんな制度が!?」

「その速度が、かつての六大将軍の脅威を生み出していた。恐ろしいのはその早さであり速さだ。指示を仰ぐ必要がなく将の判断で動くので動きが早く、そして一軍に戦争に必要な全てを備えているので進軍速度が速い。趙北部が攻められているから猶予があると甘く見ていては、気がつけば燕まで侵攻されている、ということにもなりかねん」

「そ、そんなことが……!」

 

 男の言葉に、部屋に動揺が広がる。

 実際のところ、秦国は趙を滅ぼしてから次に移るつもりではあったのだが、侵攻される側からしてみれば、警戒は臆病な程にしなければならない。

 特に一部の土地や都市だけでなく、国そのものを殺そうと攻め寄せる秦に対しては。

 

「おお、しっかり盛り上がってきたのお」

 

 嫌な空気が広がる室内に、全く格の違う重みを持った声が響く。

 

「お、オルド将軍!」

「なぜにここに!? 最北の地より戻られたのですか!?」

 

 部屋に入ってきたのは、現在の趙において秀でた能力を持つ将軍、オルドである。

 共に入ってきたのは、その側近である山の民の者達だ。

 本人が山に対する造詣が深く、山の民に愛されるのが、オルドという山の王である。

 

「ハッハ。陛下にお伝えすることが出来てな。ついでに秦趙の大一番があると聞いて飛ばしてきたんじゃ」

「わ、笑っている場合ではありませんぞ! あの秦がこんな北部、それも宜安にまで迫っているとか!」

「もし趙が北部を奪われるようなことがあれば、次はいよいよ我々が秦国と戦うことに!」

「それはそれで面白いではないか。のうユキイ、ヲメウ」

「最高」

 

 軍の重きを担うオルドを相手に、情報に焦らされ視野の狭くなった介黄上層部たちは詰め寄るが、オルドとその側近はそれを気にもとめない。

 戦場を住処とする者たちは、戦の気配ぐらいで恐慌を来しなどしないし、そこが己のもっとも生きる場所だと知っているのだ。

 

「ふ、ふざけている場合ではありませんぞ。王からも行き違いでオルド様を呼び戻す使いが行っているはず。王都も大騒ぎになっていると」

「ハハハ。お前たちは少し慌て過ぎだ」

「な、なんですと!?」

 

 軍に入らず国を動かす上層部たちは、大局を見るあまり、その実態を知らない。

 戦争は仕掛ければ必ず勝てるわけでもなく、奪えるわけでもない。

 互いに達成する目的があって軍をぶつけ合い、勝ったほうが目的を達成する権利を得る。

 

 そして今趙には、その戦においてめっぽう強いあの男がいる。

 

「“宜安”と“番吾”。これが趙北部の要であり、王都邯鄲が落ちた場合の遷都先だ。そんな大切な城、宜安をそう簡単に秦に取らせると思うか? 趙にはあの李牧がいるんだぞ?」

「し、しかし、李牧は今邯鄲にいるはずでは。宜安攻めの軍の防衛には間に合わないかと」

 

 文官達の言葉に、オルドはその笑みを深くする。

 

「入っておるわ」

「え? あ……ひょっとして」

「ブハハ。李牧は既に宜安に入っておる」

 

 それは、文官たちの持つ間者ですら集められていない情報。

 独自の情報網を持つオルドだからこそ集められた情報だ。

 

「し、しかし、我らのはなった間者からは、そんな報告は入っておりません」

「李牧が宜安に入場したという話は……北部へ来たという情報すらない……」

「李牧がいたならば、なぜ趙北部は秦軍の急襲を許しているのだ……。秦軍はもう赤麗に到達しているのですぞ」

 

 李牧が北部、宜安へと移動した情報がない。

 更に現在の戦況から見ても、李牧が趙北部で何か軍を動かしているような様子もない。

 そういう文官に、それこそが恐ろしいのだとオルドは笑う。

 

「秦軍もお前たちと同じだ。李牧がいるとは思っておらぬ」

「で、では……」

「故に、秦軍もまた、李牧の罠に嵌るのだ」

「で、では李牧が既に策を仕掛けていると……!?」

 

 徹底した情報封鎖、及びあえて見せる情報を選び、あるいは虚偽の情報を相手に抜き取らせる情報操作。

 この時代では、ここまで大規模に試みるもののいないこれらを、自在に扱うのが李牧の恐ろしい点の一つだ。

 

「疑うか? だが前にも同じようなことを李牧はやっている」

「え?」

 

 信じがたいという文官たちに、オルドは己が山の民から得た情報と、その他中華の情報から導き出した答えを告げる。

 

「十一年前だ。匈奴の大軍勢を討った強軍の存在を、李牧はそっくりそのまま隠して南下させ、馬陽で戦っていたかつての秦の“怪鳥”王騎を討っている」

「そ、そんなことが起こっていたのですか……」

「知らない者が多いだろうがな。俺は山の民から、匈奴の大軍が死骸を晒していた合戦跡地のことを聞き、その直後に王騎が討たれたことで確信した」

 

 どの時機から用意したのか、構想を練り始めたのはいつか、どうやって情報を封鎖したのか。

 それらは李牧に聞かねばわからないことだが、何をやったかの推測は出来る。

 

「で、では今回は!」

「あの王騎ですら抗えなかった李牧の策。今度は一体誰がその“餌食”となるのか。見物よのお」

 

 秦の将が三度、李牧によって討ち取られることになる。

 その言葉に、ある程度常識の範囲内である趙との戦争よりも、死物狂いで殺しに来る秦との戦争を恐れる文官たちは、オルドの言葉に動揺が幾分かおさまった。

 

 そしてより確かな言葉を引き出し安心を得ようと、オルドに問いかける。

 

「で、では趙が北部を失うことなく、これからも北部で我らと接するのは趙である、と」

 

 『そうだ。』

 その答えを全ての文官が期待していた。

 

 だがオルドは、途端に表情を険しくし、壮絶な笑みを浮かべる。

 

「なっ……」

「それは否だ。趙は北部を失うことになる」 

「はっ……」

 

 断言したオルドの放つ、その壮絶な威圧に、部屋にいた文官たちは言葉を発することができなくなる。

 

「オルド様、王様に教えなくて良いの?」

「おお、そうだ。俺は燕王にお伝えせねばならぬ。預かりものもあるしな」

 

 側近の山の民に声をかけられて、オルドは放っていた威圧を引っ込めた。

 そしてそのまま軍議の間から出ようとしたところで振り返る。

 

「忘れておったわ。城や村、集落にまで燕の旗を立てておけ。急ぎだ」

「は、な、何故ですか?」

「燕と今すぐことを構えるつもりはない、とあやつは言っておった。いらん被害を受けるのはつまらん。良いな、絶対に旗を立てておけよ」

 

 一方的に指示を出すと、オルドは軍議の間を後にした。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

《燕国 王都“薊”・玉座の間》

 

 

 

 介黄を発ったオルドはその足で、燕の王都である薊を目指した。

 普段から燕北方の山岳に遠征を行い、多くの山民族と戦っては従えているオルドにとっては数ヶ月ぶりの王都である。

 

「戻ったかオルド」

「はっ」

 

 オルドとて、自国の王にはそれなりの態度を取る。

 王族に対して礼儀を持たない山民族たちは一度置いてきたし、ここで行われるのは王とその臣下の会話である。

 

「北方遠征ご苦労であった」

「俺にとってはいつものことでありますれば」

 

 オルドの返答に、燕王は表情を緩める。

 

「フッ、そう言えるお主を頼もしく思うぞ。して、オルドよ」

「はっ」

「お主を呼び戻したのは、今度の秦の趙北部への侵攻をどう見るか、大将軍であるお主に聞きたかったからだ」

 

 燕王の問いかけに、オルドが戻るまでは喧々諤々の言い合いをしていた文官達もかたずを飲んでオルドの答えを見守る。

 

「だが全て説明せよとは言わぬ。我が燕が、秦とぶつかることはあるかどうか。それだけを聞きたい」

 

 燕王は、戦は将や軍師に任せるものだと思っている。

 全てを担えぬから配下に託すのが王だ。

 だから、オルドの判断、その理由、秦国趙国それぞれの状況など全て聞こうとは思わない。

 

 今は、信頼する将であるオルドの判断を聞き、それを文官たちにも伝え、今後の対応を検討したいのだ。

 

「趙には李牧がおります。邯鄲にいるよう情報操作を行っているようですが、宜安に既に入っていると。秦軍は李牧の罠に嵌って破れ、趙北部を攻略することは敵わないでしょう。故に、燕が秦と戦争になることはありませぬ」

「おおっ!」

「真かオルド将軍!」

 

 王ではなく、その配下の文官たちがオルドの言葉に喜びの声を上げる。

 

 一方オルドの言葉に、特に安堵することもなくオルドを見ていた燕王は、その表情の常との違いに気づいた。

 

「オルド。何かあるならば申せ」

「はっ。では陛下には人払いをお願いしたく。余人に聞かれて良い話ではありませぬので」

「な、ど、どういうことだオルド将軍!?」

 

 文官たちが沸き立つが、顔をあげて自分を見るオルドを見た燕王は、オルドの求める通りに人払いの指示を出した。

 その程度には燕王は、オルドという燕国最高峰の大将軍を信頼していた。

 

「皆、一度席を外せ。丞相は残って構わぬな?」

「構いませぬ」

 

 だが全員ではなく、燕王の右腕である丞相は外さないという燕王の言葉にオルドは頷いた。

 オルドが警戒したのは、この中華の誰も知らぬ情報が、この燕国上層部に潜んでいるかもしれない間者から漏れ、特に趙の李牧に渡ってしまうことだ。

 

 李牧がこのことを知らないほうが、燕にとっては得になりうる。

 いや、それ以前に、知らせることは後からでも出来るのだ。

 一度知られては後戻りが出来ないために、まずは燕王と丞相という、燕国のために尽くす二人に明かすことにしたのである。

 

「オルド、内密の話であればもっと近う寄れ。他の臣下がいないのであればかしこまる必要はない」

「ありがたく。かしこまるのは息がつまりますからな」

 

 燕王の許可を受けて、王に報告する際の礼儀として拱手の構えをしていたオルドは、息を抜いて立ち上がり、燕王にずんずんと近寄る。

 丞相も燕王も、もともとオルドの気性は知っているので特にその遠慮の無い行動に驚くことは無かった。

 

 何より、山の民からは『山の王』と呼ばれるオルドは、けして表立っては認めぬが、燕王と対面して話すことが出来る程度の格があるのだ。

 

「陛下、こちら親書です。ご確認を」

「……丞相」

「はい」

 

 オルドの放った『親書』という言葉に、燕王は一瞬瞠目するが、すぐに丞相にそれを受け取らせ、自分のところまで持ってこさせた。

 

「どこの国だ? 趙王か?」

「……」

「オルド?」

「いえ……」

 

 答えに詰まったオルドは、もったいぶるように間を開けると、燕王を見つめて問に答えた。

 

「匈奴国の王、アイショウよりの親書です」

 

 その言葉に、今度こそ燕王と丞相は目を見開き、唖然とした。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

《燕北方山中 山民族の住処》

 

 

 

 ときは、秦は六大将軍桓騎の軍が北方へ進出を始める前まで遡る。

 その当時、いつもの如く燕北方の山界へ遠征を行っていたオルドは、馴染みの山民族の集落で休息を取っていた。

 

「……ユキイ」

「はいはいなんですか、オルド様」

 

 集落の一室で休憩をしつつユキイに言葉をかけるオルドの言葉は、いつもよりほんの僅かに硬い。

 

「今日の山、何かおかしくなかったか?」

「そうデすカ?」

 

 オルドの問に、ユキイは特に何も感じていないと首をかしげる。

 だが、オルドはたしかに感じていた。

 明確にこれ、と言語化出来る違和感ではない。

 

 だが山に生まれ山に育ち、山読みの才に長けたオルドには、今日の山がいつもと違うことが感じられた。

 それがなんなのかは明確には出来ないのだが。

 

「あーでモ」

 

 そんな中、ユキイがふと思い出したように言う。

 

「ナんかピリついてる感じはしマしたネ。どっカで戦でもやっテるノかな」

 

 それか、とオルドは思う。

 だが戦ではない。

 それとはまた違う空気。

 まるで山が、自然が。

 

 何かにおびえているかのような空気。

 

 オルドがそう考えた直後、部屋の扉がノックされた。

 

「オルド様」

「なんだ」

「客人が来てますけど……」

「客ぅ?」

 

 扉を開けた山の民の男の言葉に、オルドは首をひねる。

 この燕北方の山界に来て客人とはおかしな話だ。

 

 これまで会った、あるいは従えた山民族なら普通に名乗るだろうし、逆に燕国の者ならこんなところまでは来ない。

 

「何か名乗っていたか?」

「え、はあ……『山の王と草原の王で語らおうではないか』とか言ってます。隊長みたいなのが一人と兵士がそれなりにって感じで。隊長が話したいことがあるらしいです」

 

 相変わらずわからずに首を捻ったオルドは、次の瞬間目を見開く。

 が、首を振る。

 『草原の王』と聞いて浮かんだものがあったが、いやいやそんなわけがあるまい、と。

 

「わかった、通せ。それと、酒とつまめる物を用意しろ。客人はもてなすものだ」

「は、はい」

 

 それに、酒を飲める機会は逃してはならないのだ。

 

 

 

 少しして、オルドの滞在している館の中に一人の男が通されてきた。

 後ろには護衛だろう男が一人ついている。

 どちらも、燕国の大将軍であるオルドから見ても見事な体躯をしている。

 

「突然の訪問失礼した。オルド殿が北方に来られていると聞いて、いてもたってもいられず来てしまったのだ」

「……人の名前を呼ぶ前に、まずは自分から名を名乗るものだろうが」

 

 オルドの言葉に、はっとしたように表情を崩した男が拱手をして挨拶をする。

 

「これは失礼した。匈奴国の単于、アイショウである。以後、よろしく頼む」

 

 その名乗りを飲み込むのに、オルドを持ってしても数十秒は必要としたのだった。




本編の更新は今日か明日の夜です。

https://twitter.com/kyoudozin
まじでキングダム二次創作関連のアカウント。
調べたこととか二次の構想とかその他呟くだけ。

キングダム関連の小ネタとか歴史知識とか呟いてます。
ぱっと思いついたネタもメモ程度に書きます。
ちょっと書いてみたいって人は使ってください。

というかキングダム二次創作増えてーお願いー

最新話の後もう一戦南東胡とする戦の描写、欲しい?

  • 欲しい(趙・匈奴の戦いレベルでしっかり)
  • 欲しい(今回の戦ぐらい短めで)
  • それより早くあの将軍と会え
  • 合従軍まだ?
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