実は気づいてなかったけど、転生先がキングダムだった話、する? 作:匈奴人
細かい描写でちょこちょこ伏線入れてます。
後で原作からの変化を雑にまとめて投降する予定。
趙の軍勢が、秦の北東部の地に侵攻したことで起こった馬陽の戦い。
その戦いで、秦国は大きなものを失った。
馬陽という北東部の要地を守り、趙軍を国外まで撤退させることには成功したものの、秦の武威を一手に担っていた、かつての六大将軍である王騎を失ったのである。
かつて、三代前の昭王の代に、強大な軍を率い、中華全土に戦禍を振りまいた秦の六大将軍。
そのうちの五人は馬陽の戦い以前に既に何らかの形で亡くなっており、現在まで生きているのは王騎ただ一人。
そして昭王の死以降、それまでの拡大政策が嘘のように大人しくなった秦国から新たに大英雄となるような者が出現するわけもなく、一線を退き戦場に出ていない王騎が変わらず秦国第一の大将軍と見なされていたのが馬陽の戦いまでの秦国の軍事の状況だった。
そうでなくても六大将軍という名前は大きい。
蛇甘平原の戦いで魏の呉慶を打ち破った麃公将軍など他にも数名大将軍はいたが、他国に与える影響は王騎の名とは比べるべくもない。
そんな王騎が、趙の新たなる三大天、李牧によって討たれた。
これにより、中華は李牧という新たな傑物の出現を恐れ。
同時に、傑物を失った秦国を、格好の獲物だと見なすようになった。
そして今、武威の弱体化した秦国は、国境を接する国々からの無数の侵攻にさらされている。
今この瞬間もまた、飛信隊のような小さな部隊から、場所によっては将軍が指揮するような大きな戦場まで、様々な戦場で秦の兵士達が戦いを続けていた。
「戦場でしか、良き兵、良き将は育たない。王騎様も、とんでもない置き土産をなさる」
命令違反による職務放棄を咎められ一時謹慎を申し付けられた氷牙は、書簡の整理をしながらそう一人ごちる。
「ンフフフ、大王に、共に中華を目指すと言ってしまいましたからねえ。初戦で躓いてしまいましたから、何か働ければなりません。それに私が討たれたことは、むしろ秦という国の軍事の将来を考えれば、ことさら悪くはないと思いますよ? 私と肩を並べられる者が育ってくれなければ困りますから。ねえ、騰」
「は、その通りです!」
それに答えるのは、包帯ぐるぐるまきで寝具に横になった男と。
その隣で書簡の整理を行っている騰である。
「生きてるのに相手に殺されたことにしてしまうなんて、私は納得が行きません。まるで王騎様が負けたみたいじゃないですか」
「
「だって……」
そして扉を開けて入ってきたのが、恭と斗真を自称する男に呼ばれた女性である。
その女性の手には、複数の食事が載った盆が握られていた。
「ンフフフ、仕方ないですね、恭は。他の者がいる場所で呼んではいけませんよ」
「っ、はい!」
あいも変わらず、彼女にだけは甘い男である。
「騰、氷牙も食事にしましょう」
「は」
「ありがたく。恭様、ありがとうございます」
斗真に誘われて、書簡を整理していた二人も手を止めて卓の回りに集まる。
「それにしても、まさかご自身を殺す、という判断をされるとは思っていませんでした」
食事をしつつ、氷牙がそうポツリと言う。
なお卓を囲んでいるのは氷牙と騰だけで、怪我で自分で座れない斗真は、寝台にもたれかかったまま恭に食事を食べさせてもらっている。
正直氷牙としては色んな意味であまり見たい姿ではなかったが、もうそれを見るのも自然に視線をずらすのも慣れた。
「ンフフ、そうですねえ。あの局面では、私が死なねば敵が退かなかったでしょうから。仮に戦いが続いていれば、今度こそ危なかった可能性もあります」
もうわかるだろうが、斗真を名乗るこの男は、世間一般としては既に死んだことになっている秦国の大将軍『王騎』である。
なお、他国どころか自国の本営にすらも生きていることを伝えていないので、彼が生きていることを知っているのは、元王騎軍の軍長達に氷牙、騰、そして城の主としての王騎を補佐していた恭だけである。
一体、馬陽の戦いの終盤に何が起こったのか。
それは、蒙武と氷牙の部隊の活躍によって、王騎とその親衛隊、そして飛信隊らが李牧軍の包囲を突破した後のことである。
王騎の隣を駆けていた氷牙に、王騎が指示を出したのだ。
「氷牙」
「はっ」
「天幕を。少し横になります」
「……はっ」
もはや助からない王騎が、最後の時を、穏やかに迎えようとしている。
そう認識した氷牙は、王騎の言う通りに、元の趙荘が本陣を敷いていた場所まで後退すると、その陣地内に天幕を設置した。
その中で横になる王騎の回りには、将軍の天幕にも関わらず、彼の親衛隊の者たちや、飛信隊の信を始めとする者達。
そして蒙武らに隆国、後から追いついた騰と氷牙など、大勢が詰めかけた。
更には天幕の外にまで、入り切らなかった者が集まっていた。
その中で王騎は、遺言を遺した。
まずは自分の跡を継ぐ騰には、後の一切を任せる旨の言葉を。
副将である蒙武の謝罪に対する答えと、更なる成長への期待を。
そして、将来が楽しみな若者である飛信隊の信には言葉と、自らの矛を。
最後に、自分に従った兵たちに、戦場を渡り歩き、その苦しみと熱を全て知る王騎からの、いずれ訪れる乱世に対する言葉を。
それらを全て送った王騎は、最後に、氷牙と騰の二名、正確には、王騎の傷の手当をなんとかしようとする医官も含めた三名を天幕に残し、他の者達には離れるように指示をする。
最も長く王騎とともに戦った騰と氷牙。
その二人にのみ残す言葉があるのだろう、というのは、誰もが理解できることだったので、王騎の言葉に反発する者はいなかった。
そうして残った騰と氷牙は、王騎の最後の言葉を待った。
「
「んー、まあ死なんじゃろ。綺麗に筋肉だけ逝っとるわい。筋肉馬鹿で良かったのう。ちいと血を流しとるが、お前さんなら死なんじゃろ。取り敢えず手当じゃ」
「コココ、私の読みどおりですか。それは良い」
そんな二人を迎えたのは、王騎と医官の妙本の間で交わされる、そんな気の抜けるような会話だった。
「は……」
「殿、これはどういう……」
流石の騰と氷牙も、遺言を遺したはずの王騎の代わりようには困惑を示す。
そんな二人に、王騎は指示を続けた。
「二人共、私は一度ここで死ぬことにします。全軍にそのように、敵にも伝わるように広めなさい」
「は、はっ」
「なんと……」
王騎の指示に、二人はひとまず王騎が何を狙ってあの遺言じみた真似をしたのか理解した。
王騎は、今回の敵に討たれ自分が死んだという情報を広めるつもりなのだ。
それがどの規模までやるつもりかはわからないが。
「どの程度までやるのですか」
「本営には、どのように?」
故に氷牙と騰は、王騎の意志を全うするために、細部を詰める話にはいる。
「完全に中華から姿を消すところまでです。本営にも、私は死んだと報告を。この傷では、そう簡単には復帰できそうにありませんしね」
傷、という王騎の言葉に、氷牙と騰は手当をする妙本に視線をやる。
「でかい傷は横腹のじゃなあ。よほど綺麗に矛が入ったんか鎧と脇腹の間に挟まって筋肉がボロボロじゃわい」
「治るのか?」
「腹の腑には届いておらんわ。胸のでっかい切り傷もそうじゃ。全部筋肉で止まっとる。治るには相当かかろうが、死ぬことは無かろう」
なんの幸運が重なったのか、あるいは異物によってもたらされた蝶の羽ばたきか。
王騎の胸を貫くはずだった矛は、王騎の脇腹を切り裂くにとどまっていた。
盛大に血が出たのと、矛が貫通したこと、王騎が吐血したことで重傷だと全ての者が思ったが、その実、鎧の側面と脇腹部分に綺麗に挟まり、そこの肉を盛大にえぐっていただけなのである。
更に最後に龐煖の矛で斬られた正面の切り傷も、矛が折れており、更に龐煖の腰がひけていたことで深くは入らず、表面を切り裂くにとどまっている。
故に、王騎の命を奪うような傷は、その派手なやられ方に反して一切無かった。
「私の死の報が流れれば、十中八九敵は退くでしょう。もし退かなかった場合は、すぐに騰の権限で軍を馬陽まで下げなさい」
「はっ」
「では、後は頼みましたよ、二人共」
そういうと、王騎は気を失った。
いくら命に関わらないとはいえ、結構な傷と失血量である。
むしろ最後の華を咲かせるフリをするために、かなり気合を入れて意識を保っていたのだ。
「ほれ、はよ行ってこいつが死んだことを伝えてこい。ついでに棺桶も持ってきておけ。生きてるのがバレたら困るからのう」
「爺、相変わらず口が悪いな」
「こやつの無茶は昔からじゃからのう。悪態の一つも出るわい」
ちなみにこの妙本という医官は、普段は氷牙の軍で活動しており、今回念のために氷牙が連れてきた者だった。
元は王騎軍で王騎とも親しくしていたのだが、それ故に王騎の無茶振りにも合わせられたのである。
その後、天幕を出た騰と氷牙は、王騎が亡くなったことを伝えつつ、王騎を静かに眠らせるためにと、棺桶が届くまで天幕を開けさせようとはしなかった。
それに違和感を抱いたのはその場では隆国ぐらいであり、その隆国も、二人の行動になにか理由があるのならば、とその場で口にすることはなかった。
そうして、王騎の死の報を受けた李牧は撤退を速やかに指示。
王騎軍では、一部録嗚未軍が王騎の死の報を聞いて暴走し、対面していた万極の軍をボコボコにしたものの、それ以外は皆敵の撤退を意気消沈しながら見送り、馬陽まで撤退したのだった。
これが、あのとき馬陽で起きていたことの真相である。
なお、軍長達と王騎の護衛を担うごく一部の兵士達には、後ほど騰と氷牙、そして病床の王騎自身から王騎生存に関する説明が行われた。
その過程で氷牙と騰は軍長達から一発ずつありがたい一撃を貰ったりもしたが、それは置いておいて。
「私が死んでいた方が、六国は秦を弱い獲物だと見て攻め込んできます。それはすなわち、秦の将や兵達がより多くの経験を積む機会に恵まれる、ということです」
「殿が一線を退いている間も、殿の威光であまり他国が攻めてきませんでしたからな」
「ココココ、そういうことです。それでは、これからの将や兵が育ちませんからねえ。私達の名前が天下に轟くのも考えものです」
王騎が自分を完全に殺した理由の一つが、これである。
王騎という武威を秦国が失うことで、その領土は他国からの侵攻にさらされることになる。
それを練兵、及び修練の場として、中華の統一を夢憧れではなく、明確な目的として目指す大王の意志に沿うに足る軍を鍛え上げる。
これが、軍の将来を見たときの王騎の判断だ。
「私一人が気を吐いても、まあやれないことは無いでしょうが、中華は広いですからねぇ。六大将軍でも足りなかったのならば、もっと数が必要となるでしょう」
「は、その通りです」
「そこまでの傑物が育つかはわかりませんが、おっしゃることはわかります」
実際、王騎が一人大王の求める戦果を挙げ続けてしまえば、他の将と軍が育たない。
秦という国家を一時的に安寧に保つだけなら、王騎一人の武威でも十分だろうが、今の大王嬴政が目指すのは武力による中華の統一である。
ならば、優秀な将や兵は育てば育つほど良い。
故に一度王騎がいなくなった上で、新たな力の台頭を待つ必要があるのだ。
そしてその後に王騎が復帰すれば、台頭した力と王騎とで、秦の軍事力は何倍にもなる。
そして王騎が狙う、自分を殺した理由はもう一つある。
「それに、今回の敵の策は私にとっても目から鱗でした。私もそれをやってみようと思いましてね」
「伏せた駒として、殿自身を秦に隠しておく、ということですか」
氷牙の問いに斗真は頷く。
盤外に秘めた戦力を用意し、それを隠し、戦場に突入させる、というのは、戦術規模だけでなく、戦略の規模で有力な手となる。
特に敵国の戦力を読み切り侵攻を行う総力戦において、隠れた戦力がいるのは、それだけで戦略の崩壊を招く場合もあるほどだ。
故に斗真は、敵への意趣返しというわけではないが、それを自分もまたやろうと考えているのである。
敵が、秦の有力な戦力が枯渇した、と考えて戦力を集中したところに、出来た隙間にかつての六大将軍。
控えめに言って敵からすれば悪夢である。
「と、なれば、殿。趙が他にも戦力を隠している可能性も出てくるかと思いますが」
「そうですねえ。私自身が伏せ駒となることを考えれば、他国で同じようなことが起こっていないとも限りません。諜報はこれまでにも増して、網を広げねばなりませんね」
先んじた騰の言葉に、斗真が頷いて返す。
斗真と騰は、常に同じ目線でものを見ている。
戦略も、戦術も。
故に騰が、王騎の副官を務め、王騎はもうひとりの自分がいることで、存分にその力を発揮することが出来た。
こればかりは、同じぐらいの時間王騎とともに戦ってきた氷牙でも騰に及ばないところである。
「ん、そう言えば、なんで氷牙は王騎様の危機に気づいたんだ? 趙の軍勢は王騎様も気づけ無いぐらい隠されていたのだろう?」
ある種、かつての王騎軍というくくりで見れば部外者である恭の言葉に、他の三人がピシリと固まる。
それは三人の中では、ある種禁忌に相当するような話だったのだ。
氷牙自身が話したがらなかった、というのもあり、その情報自体は非常に有用であり、また氷牙も信頼に足る人物だった、というのもあり。
結局そこには触れることなく、氷牙が持ってくる情報のみを扱っていたのだ。
「……恭、その話は──」
「王騎様」
三人がそれぞれに触れないようにしてきた氷牙の秘密。
故に、恭を制止しようとした斗真、否、王騎を、氷牙が止める。
なお、王騎の生存を知る者達の間では、基本的にこれからの王騎のことを斗真として扱う事になっている。
故に、例えば過去の話をするならば王騎と呼び、今と先の話をするならば斗真と呼ぶ。
少々ややこしいが、王騎の生存を隠すための小細工だ。
「これまで秘密にしていたことを、お話しさせていただきたく」
「……良いのですか?」
「は、これより王騎様が復帰されるのであれば、私も全てをもって尽くさせていただきたく思います」
氷牙の言葉に、騰が恭を促して退出しようとする。
その二人を、氷牙自ら制止した。
「二人にも聞いてもらいたい」
「良いのか? これまで王騎様にも話してこなかったような秘密だろう?」
「構いませぬ」
二人も改めて座ってもらい、氷牙は三人に向けて自分と、自分の持つ情報源の秘密を話し始めた。
「私の出身は、中華の国ではありません。中華より北方の地に根付く騎馬民族、匈奴が私の出身です」
氷牙の話に恭はいきなり口を挟みそうになったが、他の二人が静かに見守っているのを見て、口を閉じる。
その沈黙の中を、氷牙は言葉を続ける。
「その匈奴が、中華に張った情報網が『黒尾』です。私はこれを利用して、これまで情報を集めておりました」
それはあるいは、国家への反逆とも取られかねない告白。
故に氷牙も、覚悟を秘めてその言葉を発した。
「その情報網の性質の前に、氷牙」
「はっ」
「あなたの忠誠は誰にありますか?」
王騎の言葉に、ぎょっとした視線を恭が向ける。
が、他の三人はそれに反応を見せず、やり取りを続ける。
「今も昔も、王騎様に」
「ならばこれまでのことは不問にします。その情報網について、あなたの知ることを教えていただけますか?」
「はっ」
王騎の言葉に深く礼をした氷牙は、改めて黒尾という情報網について説明をする。
その情報網を構成するのは、中華に侵入した多数の匈奴の民、そして場合によっては、その匈奴の民によって勧誘された中華の民。
それらが、持てる情報を提供し、代わりに匈奴からは対価と、他の黒尾を利用する者が提供した情報を得る。
そしてそれらの情報を、各地の集会所へと運ぶ役割を担う者たちがいて、情報が常に国境を越えて中華を駆け巡っている。
そうやって駆け巡った情報網を閲覧することで、氷牙は王騎でも掴めていなかった情報を度々運んできていた。
「今回は中華内部での情報ではなく、匈奴からの連絡でした。匈奴北部の雁門で匈奴の大軍が趙に大敗し、十万以上の兵が討たれた。そこに集結した趙兵のうち数万が南下を開始したため、秦の国境近くに住む者は注意しろ、という内容の連絡でした」
「それが、私を狙って南下したあの伏兵というわけですか」
「はい」
斗真は思考を巡らせる。
氷牙の説明を聞くならば、それはもはや諜報網ですらない。
ただ巨大な情報が走るだけの情報網。
故にこそ、その対処がむずかしい。
だが一方で、活用すれば、それは大きな力ともなりうる。
一方恭は、その壮大さに規模を想像するのがいささか困難となっているらしい。
戦が得意で、かつて戦場に出ていた頃は戦術も武も秀でた恭だが、戦略や諜報といった面はいささか不得手だった。
「その情報網については、今は対策が思いつきません。氷牙、後ほど詳細をまとめてください。後で話し合いましょう」
「はっ」
ひとまず、氷牙の告白は、特に不和を生むこと無く穏やかに終わった。
再び食事の続きを取りつつ、四人の会話は続く。
「王騎様が復帰するなら、私も復帰しても良いんですよね?」
「ココココ、あなたにも困ったものですね、恭」
恭、と呼ばれる彼女もまた、今の王騎と同様に、死んだという報を流しつつその身を隠していた存在だ。
ただ彼女の場合は、王騎のようにあえて身を隠したのではなく、その出自や身分の特殊性、重要性と、戦から身を引く前に負った怪我によって長期間療養する必要があり、また怪我が治っても復帰できるかわからなかったので、死亡した、という形で報を流したのである。
そんな彼女も、九年前の怪我は流石に治り、妙本と彼の教え子の考案した機能回復運動によって、かつての動きを取り戻すことが出来た。
昭王が亡くなったことで秦から戦の機運は薄れ、王騎も一戦を退いてしまったために復帰する機会を失っていたが、王騎が戦争に復帰した暁には自分も共に復帰しようと考えていたのである。
それも、突然の趙の侵略への対処で間に合わず、その間に今度は王騎が討たれてしまったのだが。
「私は、あなたを大切にしたいのですが」
「私にはこれしかありませんから」
「ンフフ、そう言うと思いましたよ」
斗真の思いを知った上でも、恭は戦に出たいと思う。
そしてその恭の思いは、斗真も理解する事が出来る。
こればかりは夫婦のやり取りなので、騰も氷牙も口を挟むことは出来なかった。
「しかし、これからの中華の戦は加速していくでしょう。なにせ我らが王は、あの昭王以上に激しく中華の統一を望んでいます。恭、あなたの力が必要となるときは必ずやってきます」
「っ、はい!」
「それまでは、私とともに身を潜めていましょうか」
自分も戦に出ても良い。
そう斗真が許可してくれると思った恭は、斗真の言葉に頬をふくらませる。
「ムー……」
「コココ、あなたが出ては若者たちの出番が無くなってしまいますよ。あなたもまた、私とともに秦の隠された駒となりましょう」
「王騎様が、おっしゃるなら……」
仲睦まじい夫婦の光景に、目の前で見せられるのに慣れていない氷牙は気まずげに、慣れた騰は、どうどうとその様子を見ているのだった。
最新話の後もう一戦南東胡とする戦の描写、欲しい?
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欲しい(趙・匈奴の戦いレベルでしっかり)
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欲しい(今回の戦ぐらい短めで)
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それより早くあの将軍と会え
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合従軍まだ?