時は何年も前。中国の軽慶市にて、突如として発光する赤ん坊が生まれた。それを境に世界の至る所から生まれる赤ん坊達もそれぞれ特殊な能力を持ちながら生まれていく。
人類は当初はそれらを超能力と捉えてきたが、あまりにも多く一般的になってきてしまったため、いつしかその能力は『個性』と呼ばれるようになった。
だが、中には個性を持たず生まれてきてしまう哀れな者もいた。
個性が蔓延る世の中で無個性という者はまさに足枷でしかなく、その者は時には自分を産んだ親や世間を恨み、時には全てを受け入れて生きていくなど人によって様々な道を進んでいく。
そんな中、とある町にも残念ながら個性を持たずして生まれてきてしまった一人の男がいたのであった。
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将来の自分。それは早いものであれば小学校から、遅いものは高校から本格的に考え始める。
皆はどうだろうか?
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秋田県のとある町の中に佇む一軒家。
ジリリリリリリ!!!
ドガン!!!
「わあ!!!遅刻遅刻ぅぅぅ!!!」
けたたましい目覚まし時計の音が鳴り響いた直後に乱暴にドアを開け、騒がしい音と共に一人の少年が駆け降りてきた。
「ヤバイヤバイヤバイ!HRまであと40分だよぉ!!」
その少年はすぐさまリビングを通り過ぎると制服を纏って通り過ぎていく。
「ちょっと〜!ご飯あるわよ〜?」
「ごめん!!もう行かないと間に合わないからぁ!!」
「そう?じゃあ行ってらっしゃい。ねじれちゃんにもよろしくね〜!」
背後から聞こえてくる母親の声に少年は靴を結びながら答えると、すぐさま玄関のドアを開けて外へと飛び出す。
「行ってきまぁぁぁぁす!!!!」
『神堂 拳太郎』(じんどう けんたろう)
ごく平凡な高校1年生………かも。
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「あ!おばさん!おはようご____」
「あらおは_____今日も速いわねぇ〜もう見えなくなっちゃった」
通学路の道中に出会った初老の女性に挨拶しながら、少年は通学路への道を駆け抜けていく。
その少年が道を下っていくと、少年と似た色のブレザーを纏った男女の姿が見え始め、皆は次々と校門を通り過ぎていった。
「まずいまずいまずぅぅぅぅい!!!!遅刻だぁぁぁ!!!!」
その少年はスピードを上げていき、ようやく見えてきたその校門を__________
_________通り過ぎていった。
そして、その少年はその場から土煙を巻き上げながら南へと向かっていったのであった。
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「到着ぅぅぅ!!!」
それから数十分後。少年はとある山の中に聳える高校の教室のドアを乱暴に開けながら入り込んだ。全身は汗だくであり、制服は蒸れており額からは大量の汗が流れ出ていた。
「つ…ついた……」
ようやく教室へと到着したその少年は息を切らしながら席へと座る。
すると
「どうなってんだよお前の身体能力は…」
目の前の席に座っていた一人の紫色の髪を持つ少年が呆れながらこちらへと目を向ける。
それに対して少年は首を傾げる。
「え?いや…ただ普通に走ってきただけだよ?まぁ今回は寝坊したから全力疾走してきたけどね」
そう言い少年は鞄から取り出したタオルで顔を拭きながら少年に返す。
だが、
「……は?」
その少年は表情を一変させると首を横に振った。
「いやいやいや!!!お前なぁ!!何回も言うぞ!?___
__________秋田県から走ってきてんだからな!?この静岡県まで!!!しかもたった20分で!!!」
「へ?」
その紫色の髪を持つ少年の言葉に、席についた拳太郎は一瞬ながら呆気に囚われると、すぐさま持ち直し笑みを浮かべる。
「いやいやいや!そんなもんヒーロー科の人達に比べたら全然でしょうよ〜!」
「んな訳あるかぁー!!!」
その狂った感覚を混じらせた言葉に紫色の髪を持つ生徒『心操 人使』は叫びながらツッコむのであった。
神堂 拳太郎
身長:155
雄英高校普通科所属 1年生
個性は________なし。